ルカンタ到着のようですよ!?
4月10日(日)の投稿になります。
さて、前方の盗賊達はほぼ兄様が倒した。なんというか今まで見てきた誰とも違うその動きは不思議な感じだ。
予備動作を感じさせないというのだろうか?
ぜひヤツバさんの意見も聞きたいとこ…「ハールーさーまー?」
「はい、反省してますっ!」どうやら誤魔化されてはくれないらしい…
「そもそも馬車の方にリーダー格が乗っていたらどうするのですかっ!」
ヤツバさんのおっしゃる通りです。
これが盗賊団のすべてという保証はないのですし、それを調べるためにもリーダー格の盗賊は捕らえるべきですしね。
まあ手加減をしたので生きてはいるはずだし、攻撃前に鑑定でそれらしいスキル持ちがいないのは確認してはいましたし、一応とはいえ、組織立った動きをしてきたのだから統率系のスキル持ちはいるはず…そうですよね。ナビ先生?
『…マスターの考えで間違いないと思います。』
ちょっと強引だったかな。だけど何時までもこのままではいけない訳ですし。
心なしか、ナビ先生の声も震えていたような気がします。
ちょっとずつでもいいからまた、元のような関係に戻りたいですね。
『マスター私も…』
うん。
そんなこんなのうちに盗賊は片づけられたが。
「姫様、どうやら盗賊はこれで全員のようです。それと、この先の岩場に彼らのアジトがあるそうですがどうしますか?」
手慣れた感じで盗賊達から尋問を終えたカザリが、こちらにやってきた。
アジトですか…
「多少は略奪品もあるようです。まあ気にするほどではないようですが。」
ふむ、そろそろ懐具合が寂しくなって盗賊行為に出たというところですかね。
そういうことなら、次の街の衛兵のでも話しておけばいいでしょう。
時間を優先しましょう。
「わかりました。では生かしておいた盗賊はどうしますか?」
うっ!?そうですね…拘束している者を殺すのは気は引けますが、それは甘えですかね。
「彼らは喰い詰めた農民だったりします?」ここらを最期の線引きとしよう。もし仕方なく盗賊をやっていたんならやり直す機会を。
「残念ですが、彼らは全員殺人の前科持ちのようです。」
私の甘い考えを見抜いていたのか、カザリはそう言った。
「…街の衛兵に引き渡す数人を除いて殺しましょう。」
次の宿場街へ到着して、街の衛兵に盗賊を引き渡しアジトの場所を教えてすぐに宿屋へ。
ナビ先生、これでよかったのかな。
『私では、それに答えることは出来ません。ですがマスターは正しいと思ったことをおやりください。』
分かっていたけど、ここは命の価値が低い世界。モンスターは殺せて人間はダメというのは通じない。悪人であるならなおさら。
こんな時は寝るに限りますね。なんだか最近すぐに寝る習慣がついたようですが、おやすみなさいナビ先生。
『おやすみなさいませマスター。』久しぶりのナビ先生の挨拶を受けて私は眠りについた。
残りの旅はあっけなく終わり、とうとうラナルカンド最大の街ルカンタに到着した。
ルカンタは他国との貿易港でもあり海洋国家ラナルカンドの陸の首都でもある。
陸の…というには理由があり、実際に王がいるのはここではなく、王城船ラーナリオと呼ばれる巨大な船に王や主だった貴族が乗り込んでいるそうだ。
潮の香りを乗せた風に鼻孔をくすぐられながら、宿屋の手配のためにカザリが雑踏に消えていった。
私達はその間、冒険者ギルドで情報収集とイカルガへの定期便の出立時刻などを調べるためにさらに人数を分けた。といっても船は兄様ひとりでいいということで、ニーニャさんヤツバさんと一緒にギルドに向かう。