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贖罪…のようですよ!?

4月7日(木)の投稿になります。

はるか昔、栄誉を極めたボルトーニア帝国の前身は、ボルトン王国という太陽神ラーファトを信仰する国だった。

ボルトン人は魔法特性こそなかった代わりに優れた身体能力があり、その王族てあるラーの一族はさらに獣人をも超える者もいた。

それ故に、強き者が弱き者を助けるという考えがあり、最も強き者が王であるべきという考えになったのは必然であったのだろう。

民は強き王に尊敬の念を抱き、貴族は弱き民を助け強き王によく仕えるという平和な国だったという、ある男が生まれるまでは…

その男の名はククセト、王族であるラーの一族として生まれのちにボルトーニア帝国の皇帝として君臨するアメン・ラーの幼名である。

ククセトは生まれた時から異質な赤子であったという。色素の薄い、所謂いわゆるアルピノとして生まれ、また生まれてすぐに言葉を理解している素振りを見せたという。

喋るのも、立って歩くのも常人より早く優れた王になるのではと期待された。

しかし身体が弱く、成長しても身体的にはたいしたことがないと分かると期待は一転、彼に対して惨い仕打ちをするようになっていった。

彼がアルピノゆえに太陽の下に出れないというのも太陽神を崇める彼らにとっては気に入らないものであったのも要因だろう。

しかし彼は気にすることなくさらには独学で魔法が扱えるようになった、魔法の資料などないボルトン王国にも関わらずに。

私は彼が転生者であったのではないかと考えている。アメン・ラーという名前を彼が名乗った物であるということを聞いてさらにその考えが強まった。

さてその後は、ボルトン王国に侵攻してきた国を見事に知略と魔法でもって撃退し、王としての力を見せたククセトは王座についた。

最初は特に問題はない治世であったらしい。

しかし彼が幼き頃よりそばにいて彼を愛し助けてきた女性を妻にめとり、その王妃が亡くなってからおかしくなっていった。突然他国に侵攻を始めいくつかの国を攻め滅ぼし、いつしかボルトーニア帝国と名乗るようになっていた。

この時、イカルガ帝国はボルトーニア帝国の名乗りを許し、他の5国も了承している。

その後のことは歴史書に詳しい通り、亜人や魔法を使えない者を奴隷として扱うという所行。これはボルトン人も例外ではなかった。

栄華は永遠に続くかと思われたが、大規模な魔法の実験に失敗した隙を突いた反乱によりアメン・ラーは討たれボルトーニア帝国は滅んだ。

大規模魔法の影響で肥沃な土地だったボルトンの地は砂漠となりはてていたが、ボルトン人はアメン・ラーを生み出してしまったことを罪として自らこの地に止まり続けた。そしてラーの一族はアメン・ラーが残した恐るべき遺産をこの世から消し去るために動いているという。

ザック兄様からその話を聞いて私はなんだか悲しい気分になった。

その魔法の実験内容は聞いた限りだと死者を蘇えらせる反魂の法であった。

彼は多分奥さんを蘇えらせたかったのだろう。しかしそれは上手くいかず、そもそも神ならぬ見で人を生き返らせるなど不可能だ。

それ故に彼は狂っていったのだろう。

叶わぬ願いに身を焦がしながら…

王妃を殺したのは彼を心よく思わないラーの者だ。兄様は苦しそうに呟いた。

だからこれは贖罪だと、虐げられた人々に、そしてなによりアメン・ラーに…




死者を蘇えらせることは出来ない…なら私は?

私はなぜ蘇ったの?神の血を引いているからなのか、それとも蘇えらせたのは神その物なのか…

兄様からこの話を聞いた時から時々考えるようになった。私というこの世界の異分子のことを。

夜は更けていく。その夜の先にあるのは…

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