事件の終わりのようですよ!?
4月1日(金)の投稿になります。
各章にタイトルをつけてみました。
「兄様?」私の声に、ハゾンのいた方を見やっていた兄様がこちらを向き、顔を強ばらせこちらに駆け寄ってきた?
そして、私の頬に手をやり両手で挟み込むようにして顔を上向かせた。
グキッ!?…急な動きに首の骨がイヤな音を立てましたが、そんなことを言う雰囲気ではなかったので我慢です…痛い。
「誰だ?」
は?
「誰がハルにこんな…」
兄様の発言と視線に慌てて自分の状態を確認するが。
そういえばコスギ子爵に触られたときの服の乱れがそのままでしたね…あっまさか兄様勘違いしてる!?
「違うんで…」
「コスギか?そこの男が…殺すか。」
スッとその手を離すとコスギ子爵へと剣を向ける。ちょ、まってまって!
「お待ちをザック殿。」
カザリが兄様を止めてくれた。良かったカザリは冷静のようだ。
「コスギ子爵には聞きたいことがありますので、殺すのはその後でお願いします。」
よく見るとカザリの目から殺意が感じられる。その対象はもちろん…
「ムグゥ!ムググゥゥ!?」縛られたままでなんとか逃げようとするコスギ子爵だが、カザリの拘束によりまったく身動きが取れないようだ。
「違います!何もされてませんっ!」
私がそう叫ぶと、皆落ち着いたようだ…ニーニャさんとヤツバさんも剣を抜いてたよ。
よくよく考えてみたら別にコスギ子爵を庇う必要性はなかった気がしますが、だからといって今更、よし殺そう!などとは言えなかった。
「それよりも兄様、その剣は?」
神のなり損ないとはいえ、強力な再生力を持ったハゾンをあっさりと滅ぼした剣、ラーの腕と言いましたけど。
兄様はそのラーの腕を鞘に収めながら口を開く。
「さっきも言ったが、これはラーの腕、アメン・ラーの残した魔剣だ。その力は同じ禍津の力の吸収。俺があっさりと倒せたのもそのせいだ。」
つまり力の大元が無くなったせいで消滅したという訳でしょうか?
「とにかく、無事でよかった。」
そう言って兄様は私のおでこ辺りに口づけを…!?
「ふえっ!?に、兄様!?」いきなりの兄様の行動にパニックになり慌てて飛びすさる!
その急な動きが悪かったのか、神域解放の影響か、私は意識を手放し倒れてしまった。
そして目が覚めて思う。ザック兄様が、カザリがなぜマハルの街にいたのか。もっと早くその事に思い付いていればきっと…
きっと…
ニーニャさん達の説教攻撃に晒されることはなかったって!
「聞いてんのかいっハルッ!!」「聞いてますかハル様!」
「き、聞いてます。」
ニーニャさんとヤツバさんの叱責に私は姿勢を改める。
どうしてこうなった…
後で聞いたことだが、そもそも兄様やカザリがマハルの街に来たのは、アルペゾ商会が不審な動きをしているとギルドから依頼を受けていたからだそうだ。
私と再会したのは偶然だったんですね。
ちなみにカザリが依頼を受けて兄様が手伝いをしていたようだ。
そもそもカザリはコスギ子爵がアルペゾ商会に接触していたという情報を得て受けたらしいが、マハルの街で私に再会したため依頼を兄様に託したと、まあその後、そのアルペゾ商会の護衛任務に付くとは思いもよらずだそうだ。
兄様も長年追っていた帝国の遺産関係が絡んでいると知り調べていたと。
マハルの街ではギルソールがハゾンと接触していたことを突き止め、その事を調べていた後カザリから連絡を受け、慌てて私達を追って来たようだ。
カザリが王都でしばらく忙しそうにしていたのはそのせいだったんですね。
それにしても…
そろそろ勘弁してくれませんかねぇ!?そろそろ眠くなってきたんですが。
「「話はまだ終わってないよ!」ませんよ!」
まだまだ私は眠れないらしい…
しかし、皆に心配を掛けたことは事実なので甘んじて受けようと思う。あと少しのあ、いだ…は。