ラーの遺産のようですよ!?
3月31日(木)の投稿になります。
「姫様ご無事で何よりです。」兄様の背後からカザリが、ガチガチに縛られ身動きの取れない様になっているコスギ子爵を引きずって現れた。
というか、あの爆発の中生きてたんてすねコスギ子爵…
「お前の妄執も、くだらんアメン・ラーの妄想の産物もこれて終わりだ、ハゾン。」兄様はゆっくりと背中にある剣を抜きやりながらハゾンに告げる。
「「「終わりだと?何を言っている!む?貴様は…ザック・ラーかっ!貴様ぁ!!偉大なるラーの血を、皇帝の血を受け継いでいながらなにを言うか!妄想の産物などとっっ!」」」
ザック兄様がアメン・ラーの血族?
私達は兄様に視線を向けた。
兄様はその視線に苦笑しながら答える。
「ラーとは、ボルトーニア帝国の前身、古代ボルトン王国の王を示す言葉だ。アメン・ラーはボルトン王家の血を引いていた。…俺もだが。」
「「「そのラーの血族が偉大なる遺産を妄想の産物とはどういうつもりだ!」」」
ハゾンが激しい口調で詰るのを眉をひそめながらも無視して兄様は続ける。
「俺は、俺たちボルトンの民は追っていた。お前たちのような存在を。その邪悪なるアメン・ラーの遺産を欲する者を止めるために。何百年とな。それがアメン・ラーう生み出してしまったボルトンの贖罪だ。」
ハゾンは攻撃することも忘れ兄様の答えに反発する、
「「「贖罪だと?まるでアメン・ラーの成した事が過ちのようではないかっ!神を目指す事のなにが悪いっ!神成れば人間の罪など小さな事ではないかっ!?」」」
「これ以上問答をするつもりはない…だが、アメン・ラーは神に成れずそして貴様も。それが答えではないのか?」
兄様はハゾンの問いを断ち切るように告げた。
「というか、そんな気持ちの悪い神様がいてたまるかい!」「神は神でも邪神だよねー。」ニーニャさんとアミーナさんの声が空から聞こえる。ハゾンはその声に釣られ空を見上げた。
そこには、エアーステップでアミーナさんが、アレーナさんの魔法によりニーニャさんが空中へと駆け上っていた。そして反転しアミーナさんの作った空気の足場を蹴りつけその身を地上へと。あの攻撃は!
「「必殺!ダブル!アクセルキックッ!」スラッシュ・炎・氷!」
二人の攻撃はハゾンの身体を捉え吹き飛ばし、凍りつかせ、燃やし尽くした。
吹き飛ばさたハゾンは何とか空中て体勢を整え、体に纏わりつく炎を吹き飛ばすとニーニャさん達を睨みつける。
「「「おのれ!雑魚の分際でっ!」」」
などと悪態を付いている合間に、体にあった傷は瞬く間に塞がり癒えていった。
「ふむ、同種食いとは違って体がとてつもなく硬い訳ではないようですね。しかし強力な回復力があると…こういう場合は!マサキ!ショウコ!やっておやりなさい!」冷静に分析していたアレーナさんが二人に指示を出す。
「なんかレーナの部下になったような扱いだなおい。」
「昔に戻ったって事ではないか?懐かしいな。」
その指示になんだか嬉しそうな二人は構える。
「こういうヤツは回復が追いつかないような攻撃を」「畳みかけるのがセオリー、だったな!」
そして二人の剣が眩しいほどの気に包まれる。
「「練気・集気…発気!!変換・焔!」」二人の気が白く燃え盛る炎へと変換される。
「「諏訪一刀流異界奥義!真打・白炎斬!!」」
二人が同時に放った攻撃は、避けようとしたハゾンの右半身を切り裂いた!
「「「があああああぁぁぁ!?」」」
たまらず膝を着くハゾンに。
「全く出番がないかと思いましたよ。」「その罪死して償なえ!」カザリとヤツバさんが続けて攻撃する。
「八刃・八葉!」「影身分身!」
それぞれ八体に別れた分身がハゾンへ襲いかかる。
残っていた左半身もその攻撃でズタズタになる。
しかし…
「「「馬鹿がっ!!」」」そう叫ぶと一瞬でその身体が再生され、元にもどってしまった!?
なんという回復力なの…これは一瞬で滅ぼさないといたちごっこになりそうですね。
「これで倒せないとか、ドラゴン以上の回復力だな。」「むしろ再生ですね。」
マサキさんの愚痴にアレーナさんが訂正を入れる。
「「「調子に乗りおって!貴様らゆるさんぞっ!!神の裁きを受けるがいい!」
ハゾンは黒い光の腕を生み出してそれぞれに攻撃する。
「…の契約により我にその力貸し与えたまえ!汝が名は西風のゼピュロス也!ストームウォール!」
その攻撃を見越していたのか、素早く詠唱を終えたアレーナさんの魔法がその攻撃を防ぐ。
「「「おのれおのれ!雑魚の分際でぇっ!おとなしく死ね!死ね!死ね!死んでしまええええええぇっっ!!!」
ハゾンの絶叫とともに身体中から生まれた数十本の黒い光の腕はしかしザック兄様の剣の一振りにて凪払われる。
「「「な、なんだと…な、なんだ?その剣はっ!?」」」
兄様の持つ剣は、黒い光を不気味に輝かせながらまるで呪詛のような唸りを上げる。それはまるでハゾンの持っていたラーの瞳と同じような…
「これがアメン・ラーの呪われた遺産の一つ、禍津剣ラーの腕だ。そして、お前を滅ぼすただの下らん玩具だ。」
「「「滅ぼす?なにをいって…」」」ザクンといつの間にか側へと近づいた兄様が無造作に剣を振り下ろす。
「「「は…あっ!?」」」との声を上げた後、ハゾンの身体が砂のようなりサラサラと崩れていき、そしてその砂も風に吹き飛ばされて無くなってしまった。
ハゾンの終わりは、、幕切れは至極あっさりとしたものだった。
今回の戦闘回はこれで終わりです。