この世界について思うようですよ!?
3月21日(月)の投稿となります。
「そういえば、マサキさんの苗字って…」
ある日、その日の修行が終わって暇そうにしていたマサキさんとバッタリ会ったので、前から気になっていたことを尋ねてみた。
「うん?ああ農家の出身で苗字あるのが不思議か?もちろんこれは貴族になった時に付けた苗字さ。転生者に見つけてもらいやすくなるようにって考えもあったがな。」
この世界は所謂貴族などの特殊な階級でないと苗字がないのである。まあ国にもよるんでしょうが。
少なくともこの大陸の国はそうですね。
「それにしても、この世界を不思議に感じたことはないか?」
うん?どういう事でしょうか?たしかに前の世界からしたらファンタジーな世界からですが。そういう事を言っている訳では無さそうですね。
「ああ、例えばレベルがあってスキルがあってモンスターがいて、とてもゲーム的だろ?なのになんか地味と言うかリアル寄りと言うか。」
どういうことでしょうか?
「大体こういった転生物ってさ、チートで無双とかできるだろ?」
出来てると思うんですがね無双。ああ、でも大群相手とかちょっと今のままでは無理ですかね。
「出来てませんかね?無双。同種食いとか倒せましたし。」
マサキさんは静かに首を振る。
「あー言い方がまずかったかな。例えばスキルを手に入れてもまともには使えなかったんじゃないか?」
言われてみれば、最上位スキルを手に入れてもすぐには使いこなせなかったですね。
「ほかにもさ、俺は最初、刀を使ってみたかったんだが、これがまともに使えなくてさ、スキルがあるのにだ。まともに刃を立てないと切ることすら難しい。すぐ折れる。んですぐに刀を使うのを諦めた。ショウコのやつは前世で剣術を習っていたから扱えるようだがな。」
ゲーム的だけどゲームじゃない。でもそれは現実だからなのでは?
「まあそういう事なんだろうがな。それを意識してないとあっさり死ぬぞ。まあハルは分かってるようだがな。」
この世界は確かにゲーム的というか物語の中の世界のようだ。
でもあくまでそれっぽいだけだ。刀が無敵の武器という訳でもない。魔法でどんな事でも出来る訳でもない。
「だからこそハルの力は異常なんだ。」
え?マサキさんはポツリと呟いた。
「話に聞いただけでも、ハルが倒した同種食いはSクラスに手が届いたかもしれん。下手な竜種より脅威度は上だろう。それを一撃で倒した。竜種クラスを一人で倒すなんて俺でも無理だ。あの噂のザック・ラーなら出来るらしいが。」
変な所でザック兄様の名前が出てきましたが。
今度はショウコさんも含めて話し合おうと言う事で、マサキさんと別れ自分にあてがわれた部屋へと戻る。
失われた帝国の魔の手が徐々に忍び寄ってくる事に気づけないままで。
同種食いの出現、ザック兄様が、カザリがなぜマハルの街にいたのか。もっと早くその事に思い付いていればきっと…
気を持たすような引きで申し訳ないです。




