転生の話のようですよ!?
3月16日(木)の投稿になります。
「ニーニャ殿?」ヤツバさんがニーニャさんに尋ねていたが。
「知らない知らない。あたしはアレーナから姉がいるなんて話は聞いてないよ!」
とのことだった。うーむそっくりな顔だし双子だと言うのは嘘じゃなさそうだけど、それより…
アミーナ・ナカグァー、ってことはまさか?
「うんそうだよ。私はマサキのお嫁さんさっ!」
尋ねるとそう答えてくれた。なんかアレーナさんより子供っぽい感じがする女性ですね。
「えーとマサキさんはご在宅ですか?」アポは取っているが念のため聞いてみる。
「勿論いるよー。私が案内するから付いてきて!」
そう言ってアミーナさんは屋敷の中へ案内してくれた。
玄関先で靴を脱ぐ行為を戸惑ったのはニーニャさんくらいだった。まあイカルガも家の中では靴を脱ぐ風習だし当然ですね。
板張りの廊下を進み、客間へと通される。そこにいたのは。
「オッス、オラマサキ!よろしくな!」間違いなく転生者と分かる、宇宙の野菜戦士風の挨拶をしてきた一人の男性だった。
客間は普通に洋式の部屋だった、ただし入口はふすま…
とりあえず挨拶をしようとしたが。
「こら!マサキくん、だめでしょ!挨拶はきちんとする!!」
アミーナさんがマサキさんを叱り出した。
「へいへい。」「ハイは一回!」「ヘーイ」
アミーナさんはその返事に満足したのかマサキさんの横へと…というか、ハイとはいってないような…
「改めて、ようこそ。俺がマサキ・ナカグァー伯爵、ランクS冒険者のといった方が君達にはいいのかな?」
初めて見るマサキさんの印象だが、平凡な人といった見た目である。とくにイケメンではない普通の顔立ち、黒髪黒目は珍しいが、イカルガでは普通だし中肉中背の体はとてもSランクの冒険者には見えない。だがなんだろうか?彼の見た目と違い印象は異なる。とても魅力的というか、只者ではない印象を感じる。
『マスター、彼は魅了系最上位のスキルを所有しているようです。』なるほどこれはスキルの効果ですか。
私達はそれぞれ挨拶を済ませ、勧められるままにイスへと腰掛ける。
「さて、アレーナから話は聞いている。そこのニーニャさんだったか?彼女を鍛えてほしいと。それに間違いないな?」
そのマサキさんの問いにはっきりと頷くニーニャさん。
そこでヤツバさんが挙手をした。
「はい!そこの…ヤツバさんだったか?」
ヤツバさんは席を立つとマサキさんに頼み込んだ。
「自分も、自分も!マサキ殿にご指南いただきたく!!」
マサキさんはニヤリと笑うと。
「ああ、それも聞いてる。俺の修行は厳しいぞ!なあ王子?」
そういってアルロッド王子へ目をやる。
王子は苦笑にながら頷いた。
「まあ、普通にキツイですが。乗り越えられれば大きな力になりますよ。」
と言ってくれた。
そして私のほうへ目をやり。
「さてハルさん、君はなにか俺に聞きたそうな顔をしているな?」
するどいというべきか、私が顔に出やすいというというべきか…
「はい、答えていただけるのであれば…」
マサキさんは一つ頷くとアミーナさんに。
「ミーナ、悪いが他の人たちを持て成していてくれ。俺はハルさんと話がある。」
「いいけど、悪さしちゃだめだよ?」とアミーナさんが言うと。
「するかっ!?いいから頼むぞ。」
と言って、私を促し席を立つ。
私は皆に心配ないことを伝え、マサキさんの後を付いていく。
暫く歩き一つの部屋へ。
「どうぞ、ここなら防音もカンペキだ。」
その部屋は小さな茶室になっていた。なんちゃって茶室だけどなとはマサキさんの言。
「まず俺から質問というか確認だ。ハルさ…まどろっこしいなハルでいいよな?ハルは転生者だな?」
私はコクリと頷いた。
「ではマサキさんも?」
「ああ、俺も異世界からこっちの世界に転生した転生者だ。」
やっぱり、マサキさんも転生者。
マサキさんは目を瞑り思い出すかのように語った。
「俺は前の世界で会社員でな。まあテンプレよろしくトラックにはねられて真っ白い部屋で目を覚ました。そこで会ったのさ神に。」
ナハトルマ…
「転生神、生と死を司る女神レトにな。」
え!?ナハトルマじゃない?どういうことだろう?人によって神が違うのだろうか?
私はそのことを尋ねてみた。
「ナハトルマ?聞かない神だ…いやどこかで聞いたな?ああ遊戯の神だったか。またマイナーな神が出て来たな。」
マイナー?
「マイナーというか、この世界は所謂娯楽、ゲームというか、が少ないからな。必然的に遊戯の神なんてあまり人に知られてないんだ。貴族くらいか?信仰してるかはともかくとして。」
なるほどマイナーとはそういうことですか。
「それよりだ。始めは前の世界の身の上話談義で盛り上がるつもりだったが…ちと事情が変わったな。ハル、そのナハトルマの話もっと詳しく聞かせてくれ。俺が知ってる限り、転生させる力を持ってるのは転生神レトのみの筈だ。」
マサキさんはそう言って瞑っていたその目をこちらへと向けた。
こういう引きは多用するべきではないんですかね。




