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激戦!のようですよ!?

3月13日(日)の投稿になります。

ヤツは、人為的に作り出された同種喰いは、ゆっくりとなぶる様に歩いてくる。

「逃がしてくれる気は…なさそうだね。困ったな、こんなことならマグスとジャーウの戦士コンビを連れてくるべきだったか?」

アーデルさんがそんな軽口を言うがその表情は冴えない。

「せめてヤツに攻撃が通りさえすればねぇ!」

ニーニャさんは悔しそうだ。

「まだあきらめるには早いはずです!」

ヤツバさんの気合いのこもった声がむなしく響き渡る。

もう打つ手なんかない…魔法だって通じない…伊都尾羽張イツノオハバリだって通じるかどうか。なぜこんなことになったのだろう?

異世界に転生して、チートみたいな力を手にして、そうしたらこの世界のお姫様の記憶を持ってるっていうトラブルはあったけど、ゴブリンイーターだって倒せた。ちょっと苦戦したけど終わってみれば一撃だった、なのに…アイツには攻撃がまったく通じない、現状最強魔法の伊都尾羽張イツノオハバリも今は使えない。ヤツバさんはまだあきらめてないようだけど、その両腕は今だ動かせないほど重症なのだ。私達になにが出来るというのだろう?



まさか…これが、ナハトルマの狙い?持ち上げて落とすその絶望の様を見て喜ぶそんな…


『マスター!しっかりしてください!!』

意識を引き戻したのはナビ先生の焦ったような声だった。何時もの冷静な、感情の感じられない声とは違うその声に記憶が揺り動かされる…どこかで聞いたような声。

『マスター!』再びの声に慌てて周りに目をやる。

アーデルさん達が見事な連携でアイツに攻撃をしているが通じていない、反対にギャリドさんがヤツの攻撃で吹き飛ばされる、カザイルさんの防御魔法が間に合ったようだが意識を失ってぐったりとした様子で、地面に横たわっている。

カザイルさんがギャリドさんの元へ駆け寄る、アーデルさんとナズローさんはそのフォローに。抜けた穴を見事にフォローする動きは、さすがBランクといった感じだが、アイツには通じない、ニーニャさん達だって結局はアイツに倒されてそれで…

私は再び現実から目を背けるように…

『マスター、マスター!目を逸らさないで!諦めないでください!まだ手はあります!』

ナビ先生はそういうが一体なにがあるというのか、ほらニーニャさんがアイツの攻撃で吹き飛ぶ、カザリが吹き飛んだニーニャさんを抱えて衝撃を逃がして着地したが無駄なことじゃないですか…

ヤツバさんだって腕が動かないんじゃ…って!?ヤツバさんは口で刀を咥えて前線へ行こうとしていた。

「ヤ、ヤツバさん!?なにをしてるんですかっ!ムチャです!?」

私は慌てて止めたが、ヤツバさんは一旦刀を咥えていた口を離すと。

「たとえムチャでもハル様の逃げる時間くらいは稼いで見せます。」

そう言って笑った。

カザリがいつの間にか側に寄ってヤツバさんの肩に手を置く。

「私も同じ考えです。姫様は逃げてください。」

そんなこと…そうだニーニャさんは?

「彼女なら意思は確認しました。逃げるんなら後ろは振り向かずに、真っすぐに、だそうです。」

そんな、そんな、なんでどうして私なんかのために…

『マスター。』ナビ先生も逃げろっていうの?

『いいえ、何時もの私であれば、間違いなく撤退を推奨したでしょう。ですが…ハル様(・・・)あなたはあの時も逃げなかった(・・・・・・・・・・)。どんな時も誇り高く前を向いておられた。』

あの時とはゴブリンイーターの時の事でしょうか?ナビ先生は話を続ける。

『ですからハル様、思い出してください。あなたの名を。』

名前?私はハル・スメラギ、別に忘れてる訳じゃない。ならどうして…

準備が出来たのか、ヤツバさんがカザリと共にオーガイーターの元へ。

両手が使えないんじゃまともに戦えないのにそれでも立ち向かおうとするヤツバさん、誇り高いっていうのは彼女のような人をいうんじゃないですか。

カザリも、ニーニャさんもほかの皆だって。

私がここでグダグダやっている間にも彼女らは戦っている。

ふと、戦場の隅にゴブリンとの闘いで咲いた氷の花が目に入った。

戦場には不釣り合いなその美しい花は、今だ見事に咲き誇っていた。



その時。

花、咲き誇る、誇り高き、刃、私の名、私の名前、真名マナ、神連なる血!

なにかがピッタリと嵌ったような感覚。



『…成った』どこかで誰かの声が聞こえた気がした。



「皆!一度離れて!!」

私の声に従い離れる皆を目にした後に詠唱、いや自らの内に話しかける。

「春雷より生まれし、花を愛し誇り高くありたいと願う者。その思い刃より鋭く、その願い大地に咲き誇らんとする。弱きものも強きものも等しく耳を傾けるがいい。   我が名は木春開耶姫コノハルサクヤヒメなりっ!」

そう唱え終えるとともに、オーガイーターの体に雷でできた蔦が絡みつく。

『こんな魔法で!…ぐっ、なぜほどけない!!』

まだまだ!蔦は所々から蕾を生みそして花開く。

雷で出来たその花は、紫色をしていてとても美しい花だった。だがオーガイーターにとってはそんなことは関係ないだろう。なぜなら…

『ぐぎゃああああああああああっっ!!??』絶叫が辺りに響き渡る。どんなに叫んでも蔦に絡みつかれた体は動かない。絶叫を漏らす口だけが自由に動かせるだけだった。

そして花が開けばやがて散る。

雷の花があった部分には何もなかった。ごっそりと肉や骨の一部ごと散り消える。

「あんなに硬かった同種喰いの体があっさりと…」

「あれほどの威力のある魔法…魔法?あれは、顕現なんてレベルじゃない。」

そんな声が聞こえてきたがやがて。

体のあちこちが虫食い状態になったオーガイーターの体、その胸に大穴が開いている、が蔦が消えた後、ゆっくりと地面に倒れた。

これで、倒せた?

他の皆は声も出せないようだった。



しかし…

倒れたオーガイーターの体、大穴の開いた場所から何かが浮き出て来た。

あれは、魔核?前に見たものより大きくまがまがしい光を放つそれは、見ただけで吐き気を催すおぞましい文字を浮かび上がらせ、再びオーガイーターの体の中へと。

そして、オーガイーターの体がいきなり膨れ上がる!?

まるでデタラメに成長したかのように、右手と左手の大きさも違う、2mくらいだった身長は5mほどにもなりチグハグな手足をばたつかせながら四つん這いに起き上がる!?

「うそだろ…まだ動けるのか。」ナズローさんが恐怖に顔をひきつらせる。

起き上がったオーガイーターは前の面影はなく、どこか歪なドラゴンを思わせる姿に、そしてその目には知性の輝きがなかった。

ラスボスでもないのに二段階変身とかカンベンしてください…

もうちょっとだけ戦闘回は続きます。


文才どこかに落ちてないかな…

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