話し合いは大事なようですよ!?
3月7日(月)の投稿になります。
次の日、私達は王都に向けて出発する商隊に合流する前に、一度話し合おうということになった。
集合場所は、私が泊まっていた宿屋『若草のゆりかご亭』だ。女将さんには出立の挨拶は済ませてある。いつでも泊りにおいで、と快く送り出してもらった。
ちなみにカザリは昨日、私の部屋に泊まった。
朝二人で食堂で待っていると、二階からヤツバさんが降りて来た。
「おはようございます。ハル様、カザリ殿。」
ヤツバさんが丁寧にお辞儀をしてくれた。何時も礼儀正しい人です。
笑死も挨拶を返す。
「おはようございますヤツバさん。」
「おはようございます、ヤツバ殿。」カザリも私に続けて挨拶する。
とりあえず席に着きニーニャさんを待つ。すると間もなくニーニャさんが現れた。
「ありゃ?あたしが最期かい?おはよう、三人とも早いねえ。」
「おはようございます。まあ遅刻した訳でもないので、問題なしですよ。」
ヤツバさん達もそれぞれ挨拶を済ませ、食堂のテーブルを借りて話し合う。
「まずはお礼を、急にパーティーに入れろという無茶なお願いを聞いていただいてありがとうございます。」
最初にカザリが二人にお礼を言う。
「ああ、いいよいいよ堅苦しい!アンタにも事情があるんだし。パーティーに入ることになったらもうそう言う事はなしにしようよ。」
ニーニャさんが顔の前で手をパタパタさせながらカザリに言った。
「自分も構いませんよ。ハル様の知人であるなら悪い人ではないでしょうし。」
ヤツバさんの言葉に、今度は言葉を返さず一度頭を下げた。
「まあそれは兎も角、だ。カザリ、アンタは冒険者なのかい?」
ニーニャさんの質問に頷くとギルドカードを懐から取り出し皆に見せる。
「はい、大分前に取ったきりで暫く活動してませんでしたが。ランクはCになりますね。」
ギルドカードを確認してニーニャさんは満足そうにうなずいた。
「よしよし。ちょうどギルドランクも同じCだし、依頼受けるときも問題なさそうだね。じゃあ次は自分が得意なことっていうか、何ができるかについてだけど。」
なるほど情報の共有は大事ですからね。
「まずあたしから、あたしはスピードと手数が売りの軽戦士だよ。スタミナが心もとないってのが難点だけどね。」と最期は苦笑いになった。
続いてシュバっと手を上げるヤツバさん。次は自分がということでしょうか。
「自分は、イカルガの戦士系の特殊職である侍です。どちらかというと攻撃より受け、防御の方が得意と言えますね。まだまだ精進が足りませんが。」
うんうん。ヤツバさんはたしかにBランク相当のゴブリンイーターの攻撃をうまく捌いていましたし守りが得意なのは分かります。あの猛攻を受けてケガらしいケガをしてませんでしたから。とはいえ攻撃も十分スゴイと思うのですが。
「なら次は私が、私もイカルガの特殊職で、忍者といいます。得意なのは奇抜な動きで相手を攪乱して死角から攻撃する、こちらでいうところの盗賊系ですか。まあ戦闘よりは情報収集などの方が得意ですけどね。」
カザリが続ける。そうかサムライにニンジャか…というか四人中三人がイカルガ人なんですねぇ。偏ったパーティーな気がします。
「最期は私ですかね。魔法使い系の特殊職…になるのかな?神呪詠みで得意な魔法は雷神魔法と、あと回復魔法も使えますよ。ニーニャさんじゃないけど体力には全く自信がありません。」
そうそう、実はゴブリンイーターを倒したり三人で討伐依頼をこなしているうちにかなりレベルが上がりました。なんと24に!なので増えたスキル枠で回復魔法を取りました。回復役が0ですからねこのパーティー…
「ならとりあえず、あたしが攻撃役でヤツバが盾役、んでカザリが遊撃。ハルは魔法でサポートが無難かな?」
それで問題なさそうですね。細かい動きは実際に戦いながらでということになり
そろそろ商隊に合流しようと合流場所まで移動することになりなした。
女将さんにもう一度お世話になったお礼をして、合流場所である街の北門へ。
北門に向かうその途中で、ザックさんが私達を待っていた。
「今日出発だったな。」
寄りかかっていた壁から身を離しこちらへと向かってくる。
「なんだい見送りかい?まさかアンタもいくってのかい?」
とニーニャさんの言葉に首を横に振り。
「いや俺はまだ依頼が残っている。だからここでお別れだ。」
カザリがすまなそうにザックさんに話し掛けた。
「ザック殿、申し訳ありません。最期まで協力できずに…」
なんの話でしょうか?カザリもその依頼に協力してたんですかね?
「かまわん、色々情報収集の面では助かった。それにもともと自分ひとりで受けた依頼だ。相手とは少々因縁がありそうだしな。 ハルを頼む。」
依頼については教えてもらえませんでしたが。また会おう、と言葉を残しザックさんは立ち去っていった。…もうちょっとこう、色々話したかった気もしますがまた会えるということで気持ちを切り替えます。
少し時間を食ってしまったが問題なく集合時間に間に合った。
そしてそこにいたのは…このマハルの街で有名な(自称)ベテランDランク冒険者のドキュラだった。
あれ?出す予定のなかったドキュラがでてきたぞ?




