同種食い登場のようですよ!?
3月2日(水)投稿となります。
「こいつっ!」ヤツバさんがゴブリン亜種の攻撃を受け止めましたが…
亜種は、刀で受け止められたことなどなかったかのように容易く振りぬいた。
ヤツバさんはその力に逆らわずに後ろに飛んだ。
私はその間に鑑定でゴブリンを調べます!
「名前は…ゴブリンイーター?」これがあの亜種の名前ですか。
『マスター、あれはは同種喰いと呼ばれる危険な存在です。』
同種喰い?たしかにゴブリンを食べていたみたいですが。
『普通の野生動物と違い、モンスターはどんなに飢餓状態でも同種を食べることはしません。人間のように理性で抑えている訳でもなく、本能がそれをさせないのです。』
でも実際はあのゴブリンは同種を食べた…
『そうです。そして本能を破り同種喰いを行なった種は、非常に強力な個体になります。』
私はもう一度ゴブリンイーターを見るすると…
ランク、B!?ゴブリンが? ステータスに表示された危険度はランクBを表していた。
『現在のマスター達では、このゴブリンに対応出来ないと思われます。私は撤退を推奨します。』
そうナビ先生はいいますが。 簡単に逃がしてくれますかね。
取りあえずゴブリンイーターと切り結んでいるヤツバさんにゴブリンイーターのことを説明しないと!
「ヤツバさん!魔法いきます!!」
その声に反応したヤツバさんは、一度強く踏み込み一撃入れた後、後ろに飛びのいた。
「我が左足に在りしは神鳴り響く雷鳴!轟け!鳴雷!」
私は左足を前へと踏み出し呪文を詠唱する。
天から降り下りた雷光がゴブリイーターへと襲い掛かる!当たった瞬間凄まじい雷鳴が響き、ゴブリンイーターの視界を奪う。
その隙にヤツバさんにアイツのことを簡単に説明した。
「同種喰い!?あれがそうか!」
どうやらヤツバさんも知ってるようだった。
「どうします、撤退しますか?」私がそう問いかけるがヤツバさんは首を振る。
「いいえ、どうやらそうはいかせてくれないようです。」
ゴブリンイーターの方を見るといつの間に視力を回復したのかこちらを睨み付けていた。というか魔法のダメージが全くなさそうなのですが。
「あれの皮膚は恐ろしく硬いです。自分がまだ十分に力を発揮出来てないとはいえ、イシカホノリでも全く刃が通らない。幸い刃こぼれはおきてませんが。」
ヤツバさんの攻撃もダメ、私の魔法も通じないとは、積み増したかねこれ?
『マスター撤退を提案します。』とはいえどうやって逃げるか…
『ヤツバさんを足止めに使えば、マスターが逃げる時間は稼げ…』
ナビ先生?私はその言葉を遮った。胸の奥がなにかゴロゴロする感覚、とても不快でそして悲しい。それ以上はナビ先生でも許さない。
ほかの誰かを犠牲にして生き延びるなんて、私自身が許せないそれに、私の血が許してくれない。そう確信した。
『申し訳ありません。さっきの意見を取り消します。 あなたはやはり、どこまでも誇り高い』最期はよく聞こえませんでしたが謝罪は受け取ります。
その間、ヤツバさんは再びゴブリンイーターと切り結ぶ。
「ええいっ!なんとも硬い皮膚だなっ!!」
ゴブリンイーターの攻撃はすべて避けれているようですが、ヤツバさんの攻撃は全く効いてないようです。
しかしいつまでも避け続ける訳にはいかないでしょう。
「ぐっ!?」
攻撃が当たらないことにイラついたのかゴブリンイーターは出鱈目に腕を振り出した。
予測が難しいその攻撃にとうとうヤツバさんの体に当たる!?
「ヤツバさん!」
「大丈夫です!傷は浅いですので。」
私はホッと息を付いた。このままではじり貧ですね。なんとかしないと…
手はなくもないですが、時間が掛かるからその間、ヤツバさんに対応してもらう必要があります。
ゴブリンイーターは攻撃が届いたことに気をよくしたのか、手を振り回す速度をさらに上げた。
「デタラメすぎるだろう!?」
その攻撃は周りの木々を粉砕していく!木が折れる、ではなくまさに砕けていきます。これが脅威度ランクB…
こんな攻撃を喰らってしまえば。
思い悩んでる暇はありませんね。
「ヤツバさん!私に手があります。お願いします時間を稼いでください!」
ヤツバさんは大きく頷くと。
「自分にもヤツの皮膚にダメージを与えられる技がありますが、攻撃後の隙が大きすぎて使えませんでした。ハル様やりましょう。」
「はい!」言って私は魔力を活性化させる。神呪詠みになったこと、そして【魔導操作】のスキルを理解出来たことで行なえるようになった活性化、でもこれだけじゃ足りない。もっともっと魔力を!
私は体内だけでなく、外にあふれる自然界の魔力をかき集める。
そして…
「ヤツバさん、準備出来ました!」
「ならばっ!」
逃げに徹していたヤツバさんが攻勢にでる!
「いくぞ!斬像!」
そう掛け声を上げたヤツバさんの後ろにヤツバさんそっくりな人が現れた!?
ヤツバさん達?はそれぞれゴブリンイーターに切りかかる!
その攻撃は、ゴブリンイーターの左腕の肘関節を切り裂く!が…
「関節もその硬さかっ!?どうやって曲げているんだ!まだまだ!」
さらにヤツバさんの分身が現れた!
「斬像・双葉!」
「三つ葉!四つ葉!五葉!六葉!七葉!」
三人、四人、五人!ヤツバさんが気合いの声を上げるたびに分身が増えていく!
「そしてこれが我が名の元となった技!アラハバキ流が奥義が一つ、八刃・八葉!!!」
八人となったヤツバさんがほぼ同時にその刀を振るう!その攻撃は…
ギギャアアアアアアアアアア!!!!
凄まじい苦痛の叫びを上げるゴブリンイーター!その右腕が切れ飛んでいた!
いまなら!
「我が頭に大雷、胸に炎雷、腹に黒雷、女陰に咲雷、左手に若雷、右手に土雷、左足に鳴雷、右足に伏雷、我が身に宿りしは八雷なり!顕現せよ!伊都尾羽張!!!」
ゴブリンイーターの頭上に雷光を集めた巨大な剣がその姿を現した。
それはゆっくりと、だが何者も動くことをゆるさぬと言わんばかりにゴブリンイーターへと落ちていく。その剣を驚きと、動けぬ身に恐怖を宿した目を見開いて剣を見つめたままで。
音もなく消滅した…
戦闘シーンは本当に難しいですね。