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私の記憶、俺の記憶のようですよ!?

2月23日(火)投稿となります。

[なぜ…こんな所にいる?イカルガの姫よ。」

え?なにを言って?   イカルガの姫って…

その男性は、表情の窺えない表情で私を見ている。


怖い、その顔を見ているとそう思ってしまう。まるで、無価値なものを見ているかのような瞳が私は怖い…


初めてあった時もそうだった。戦功褒賞後のパーティーの時、お爺様に紹介されたときに、わたくしは怖いと感じたのだ。冷たい瞳だと、感情もなく人を殺せる男だと、でも違った、この人はだれよりも優しくて、とても心配症で…だから、だからそんな彼の、彼の、彼ってだれだ!?今なにを考えた?なんで俺はこの男を知ってるって思ったんだっ!?今浮かんだこの記憶は一体だれのものだ?

私はだれなのです?私は死んで、そして転生して今ここにいるます。

この記憶はなんなのですか?イカルガの、姫?美しい白亜の王宮、厳しくも優しい皇帝たるお爺様、そして姉とも慕っていた専属侍女のサナリ、  シンじテたのにアンナイタクテクルシクテオソロシ・・・ナノニナゼアナタハソンナクルシソウナカオヲスルノ?






「ハルっ!?」気が付いたらニーニャさんが私の肩を揺すっていました。

「良かった、正気に戻ったようだね。」肩から手を放しながら、安心したようにした後、ザック兄様(・・・・・)に向き直った。

「ここじゃなんだ、場所を変えよう。」ザックさんが頷くと、ニーニャさんはギルド職員から個室を借りた。その部屋にニーニャさん、ヤツバさん、ザックさんそして私が入りドアを閉めるとニーニャさんが口を開いた。

「久しぶりだねザック。あの男共からハルを救ってくれた礼とか色々後回しにして…ハルになにした?場合によってはあんたでも許さないよ?」ニーニャさんがザックさんを睨み付けながら啖呵を切った。

「危害を加えたつもりはない。ただなぜ姫がこんな街に来ているのかと思っただけだ。」ぽかんと口を開けるニーニャさんとヤツバさん。むしろヤツバさんは顔を青ざめさせています。

「姫?そんなハル殿がイカルガの姫殿下!? 大体、姫殿下は内乱の騒ぎで…む、まてよ?殿下のお名前はなんだったかな、そうだ!ハル、ハル・スメラギ殿下だって   あああ!?」

こちらを指さし叫ぶヤツバさん。ヤツバさんはもう少し冷静な方だと思ってたのですが…

「いやいや待ってよ!育ちがいいんだろうなとは思ってたよ?でも帝国の姫?そもそもハルが姫だってなんで知ってるのさ?」

ニーニャさんがザックさんに食って掛かる。

「かつて俺はイカルガの王宮で世話になっていたことがある。そこで姫と顔馴染みになっただけだ。」

ザックさんが何でもない事の様に言いますが、そもそもの原因は兄様だと思うのですが。



・・・ナビ先生?   『・・・なんでしょうかマスター。』これはどういうことなのですか?私の中にあるこの記憶は?私は本当にイカルガの姫なのですか?もしそうなら俺は一体だれなんだ?すめらぎ春人はるとの記憶はなんなんだ?どっちが偽物の記憶でいや両方とも…『マスター、残念ながら私にはその情報を開示する権限がありません。どうしても知りたいのであれば、イカルガへ、彼の地へ行かれることを推奨します。』

イカルガへ…

「ハル?」どうやら思考に没頭していたせいで皆に心配を掛けたようですね。

とりあえず。

「その、実は記憶が曖昧なのです。ザック兄様の記憶もあるし、姫であった記憶も一応あるのですが現実味がないというか。」必殺異世界テンプレ術、記憶喪失の術、で時間稼ぎです。私ももう少し考えをまとめたいですし。姫の記憶自体あやふやな所もあるし、そしてナビ先生の言った事も…

「兄様、か。」そういってザックさんはフッと笑う。   トクン、と私の胸が鳴ったような気がしました。笑った顔がすごく優しいのは記憶の通りなんですね。

「記憶が、ね…はぁ、冒険者は過去を詮索しない!冒険者の鉄則、忘れるところだったよ。あたしはこれ以上聞かない、いいね?」

ニーニャさんが吹っ切った顔でそう言ってくれた。

「俺も冷静ではなかったな。鉄則を忘れるとは。」

ザックさんがそう続けた。

ヤツバさんを見れば…

「そもそも、ハル殿の髪の色を見れば一目瞭然ではないか!紫がかった黒髪なんて、雷と戦の神マナトハルの血を引く皇帝一族にしか出ない色じゃないか。あああ、思えば殿下に色々無礼を働いたような…このままでは我がアラハバキ家の恥。いっそ腹を掻っ捌いて…」

ちょっと!?切腹しようとしてるよ、この子!?

私達は慌てて、ヤツバさんの手から短刀をもぎ取り、切腹をやめるよう説得した。

結局、時間も遅くなってしまい、私の初依頼は明日へ持ち越される事となった。

まあ、この精神状態で依頼を受けてもいい結果にならなかったとは思いますが。

考えを纏めるのにちょうどいいと思いましょうか。



ヤツバさんは少しポンコツでした。

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