ランクA冒険者が爆弾発言をするようですよ!?
2月22日(月)の投稿となります。
「じゃあまずは、昨日の武具屋にいってから道具を揃えようか?」
私もヤツバさんも、どうしてもいきたい所があるわけではないのでニーニャさんの意見に頷いた。
そしてとくに何もなく武具屋に到着した。いえなにかあってほしいわけではないんですけどね。
店内に入ると、ヤツバさんは感嘆のため息をついた。
「ほう、これはなかなかの品揃えだ。ん?これは…刀か!」といいながら、一振りの刀を手に取る。
「これは、降ろし刀か?少々小ぶりだが…」降ろし刀?ヤツバさんの斬刀とは違うのでしょうか?ヤツバさんのよりも長いようですが。
「ヤツバの持ってるヤツとは違う刀なのかい?違いが分からないけど。」
「そうですね。降ろし刀、正確には振り下ろし太刀と言いますが、自分の刀、斬刀といいます。とはまず長さが違います。斬刀は長さが大体60cm前後で、反りのある片刃の物をいい、降ろし刀は長さが1m前後の直刀で、主に馬上で歩兵相手に振り下ろして使用していたことが名前の由来です。あとは…」
と、自分の刀とその降ろし刀を鞘から半ばほど抜きその刀身を見せる。
「降ろし刀はこちらの大陸の剣のように、勢いと重さで叩きつけるように使用するためこのように刀身が太目で刃が研がれていません。斬刀のほうは名前の通り、まさに斬るために作られた物で、刀身は細く刃が研がれています。」
「へえ、たしかに細いね。でもこれじゃすぐ折れてしまいそうだね。」
と言ってニーニャさんは斬刀の刃に軽く触るが。
「あいたっ!?」慌ててひっこめた指先から、ほんの少し血が出ていた。
「切れた!?ちょっと触っただけだよ?あんたの刀は魔剣かなんかか!?」
「一応、このイシカホノリは魔剣といえる物ですが、切れ味は普通の刀とあまり変わりませんよ。その代わりある程度の腕前と、欠かさぬ手入れが必要ですが。」
などと騒いでいると、奥からデクスさんとアルセムさんが出てきました。
「騒がしいと思ったらニーニャか。」
「やあ、おはようニーニャ。剣の手入れは終わってるよ。」
アルセムさんが差し出してきた剣をニーニャさんが、感謝感謝と言いながら受け取っていた。
「ローブのほうも直し終わっているぞ。どうする?売るんなら高く売れる所を紹介してやってもいいぞ。」デクスさんもロ-ブをカウンターに置きながらそう告げた。
「いや、そのローブはハルに渡しておくれ。」報酬で貰う予定だったので遠慮なく受け取ります。さっそく着てみることにする。
ちょっと大きいけれども、そんなに動きの邪魔にはならないようで安心しました。これと昨日貰った杖で、一端の魔法使いに見えるでしょうか。
「ハル殿、すごく似合っているぞ。白い色がぴったりだな。」「なかなかいいね!これぞ魔法使いって感じだ。」
二人が口々に褒めてくれるのを、面映ゆく感じながらお礼をいいました。
会計を済ませお店を後にします。ヤツバさんはアルセムさんに、降ろし刀について色々聞いていたようですが。
その後ニーニャさんから質がよく、比較的値段の安いお店を紹介してもらい、たりない生活用雑貨を買いそろえ冒険者ギルドへ向かいました。
ギルドの中に入り、ニーニャさんはヤツバさんを連れてギルド登録をするためにカウンターへ向かいます。
私はどうしましょうか。取りあえず掲示板をみてどんな依頼があるのか見てみましょう。
えっと…ランクEの掲示板は、ここですね。ランクE用の依頼書が張ってある所にたどり着くと早速見てみる。ランクEだとモンスターの討伐依頼が多いみたいですね。色々と物色をしたところ、なかなかよさそうな依頼を見つけた。
ゴブリンの討伐依頼…ゴブリンなら戦ったこともあるし、3匹倒せば報酬を貰えるらしいのでこれにしましょうか。
私が依頼の紙に手を伸ばすと背後からバカにしたような声がした。
「おいおい!お嬢ちゃんそれはランクE以上しか受けれねえヤツだぜ!見たことねえツラだが、ド新人は薬草でもちぎって草遊びでもやってな!」
と言いゲラゲラと笑い、男の周りにいた数人も同じように笑いだしました。
これは所謂テンプレという物でしょうか?
テンプレ的にはここで男達をコテンパンにする所なのですが、如何せん私は身体能力は並み以下なので、魔法で対処と行きたいところですが、雷神魔法は威力がありすぎ手加減できそうにありません。どうしましょうか。
などと考えていると、無視されたと思ったのか男は突然怒りだしました。
「てめえ!この街では名の通ったランクD冒険者のドキュラ様の忠告を、無視たぁいい度胸だ!忠告の礼にお酌させてやろうと思っていたが、へへっそんなもんじゃすまさねえぞ。」
下品な笑顔をみせながらドキュラと名乗った男は、こちらに近づいてくる。
気持ち悪い! 私は思わず肩を震わせた。それを見てさらに気をよくしたのか笑みをさらに深くして、こちらの不安を煽るためかゆっくりと足を運んでくる。
とそこに入口から一人の男性が入ってくるのが目に入った。
それまでドキュラをはやし立てていた者、眉を顰めるが関係ないとばかりにそっぽを向く者、なにやら賭け事を始める者などがいた。ニーニャさん達は騒ぎに気付いてこちらに向かおうとしていたが、男性が入ってきた瞬間、嘘のように静かになった。
男性は、身長2m近い長身に、赤銅色の肌の鍛え上げられたであろうその体は、がっしりとしているが鈍重な印象を与えず。鈍い銀色の肩にかかるくらいの長さの髪は左前に一つに纏めていた。そのくすんだ青い瞳が私の方を向いた。そのとき、左頬に大きな傷があるのが目に入った。
「まさか『暴竜喰らい』か!?」「マジかよ、あのザック・ラーか!?「ボルトン人」「ランクA冒険者の?」「戦闘民族ボルトン…」「ドラゴンハンター、ザック・ラーか。」私の方を見た瞳が周りを見やるとざわめいていた周りが静かになる。そして私の側にいたドキュラに向かって。
「ジャマだ。」そう低い声でいわれ、ドキュラは慌てて逃げ出した。
そして一拍の間をおいて男性は口を開いた。
「なぜ…こんな所にいる?イカルガの姫よ。」
やっと話が転がり出してきた気がします。
刀の種類などはあくまでイカルガの名称、種類であり実際の物とはわざと違うようにしております。降ろし刀は大太刀と幕末刀のイメージですが。