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国一番の鍛冶師らしいですよ!?

2月20日(土)の投稿になります。

これから向かう武具屋は、ニーニャさんがいつも利用している所らしい。なんでも武具を作ってるのは、このマハルの街ではあまり知られていないけど、ニーニャさんいわく国一番の鍛冶師だそうだ。

「まあ知る人ぞ知るってやつだね。後、たぶんハルが想像してる鍛冶師像の真逆をいってると思うよ。」

鍛冶師といえば、定番の頑固な職人気質な人とか、豪快なおやっさん系を思い浮かべるけど…もしくはドワーフとか。色々想像しながら歩いてるとその武具屋に着いた。

「ここがそうですか?」

そこはこじんまりとしたお店だった。看板には剣と兜の絵が描いてあり、これが武具屋を表しているらしい。ちなみにこの看板は、商業ギルドがギルド加盟店に出しているもので、これらの看板がない店は無許可の違法店となるらしいので注意が必要だということらしい。法外な値段でボッタクられるとか、犯罪に巻き込まれるとか、まあ危険にあえて近づく必要もないしね。

それにしても…看板に描かれている絵だが、マジックアイテム的なやつなのだろうか?時々絵がアニメーションのように動くのだ。商業ギルド秘匿の技術のようでこれで、偽造を防いでいるという。

文明や技術は地球の中世っぽいけど、魔法があるから現代より進んでる所もあるなあ。

などとぼんやりと考えてると、既にお店の中に入っていたニーニャさんが手招きしてきた。

「なにやってんだい?早くおいで。」

「あ、すいません。」

そういって私も店の中に入る。

店内は想像していた武具屋とはうって変わって、綺麗に整理されて武器などが並べてあった。店の大きさからあまり数はないが、種類も豊富で探しやすいようにしてある。

「やあニーニャ来ていたんだね。」

店の奥から一人の男性が出てきた。歳のころは二十代後半くらいだろうか。茶髪に細身な体付きのなかなかのイケメンである、滅びろ!

てなことを私が考えてるとは知らず、ニーニャさんが男性に声を掛ける。

「アルセム、鍛冶場じゃなくて店にいるなんてめずらしいね。」

アルセムと呼ばれた男性は優し気な笑みを浮かべる。

「ああ、造った武器を鍛冶場から持ってきたんだ。兄さんは休憩中だけど呼ぶかい?」

「頼むよ。ちょっと見てもらいたい品があってさ。」

わかったと告げてアルセムと呼ばれた青年は奥に引っ込んで一人の男性を連れてきた。出てきたのはアルセムさんに似た、ちょっと年上っぽい人だった。

「ニーニャか。いらっしゃい、見てほしい品があるらしいな?」

「休憩中のとこ悪いねデクス。これなんだけど。」

そういってニーニャさんはギルドカードを出し、そこからデクスさんの前になにやら品物をアイテムボックスから取り出していく。

出てきたのは、1mほどの杖に小剣、あとはローブである。

「ほう、小剣のほうは造りは悪くないがまあ普通だな。杖は魔具か。魔力増加と…後は、魔力制御の効果がかかってるな。付与が二つ付いてるとはなかなかのものだ。ローブのほうは、魔力回復が付いてるが、背中のとこに穴があいてるな。手直しが必要だがこれもいい品だ。」デクスさんが品物を見ながら言ったが…なんだろう?彼の眼から違和感を感じる。

『マスター、この男性は【鑑定:物品】のスキルを使用しています。』とナビ先生が教えてくれた。ふむ、つまりあの違和感は鑑定スキル使用時に感じるものなのかな?

「それでどうしたんだ?迷宮にでも潜ったのか?」デクスさんが言った後をアルセムさんが続けた。

「でもこの近くには迷宮はなかったはずだよね?」

その二人にニーニャさんは首を横に振りながら答える。

「いいや、それは他の冒険者の遺品さ。遺体保護報酬で貰った分さ。」

「ああ、そういう事か。」デクスさんは納得したようだ。たしかギルド規約で習ったな、カードのアイテムボックスにはモンスター以外の死体は入らないらしい。そもそもモンスターも入ったとき素材になって収納されるんだとか。

しかし例外もあって冒険者本人の遺体は、本人のギルドカードの中には収納され、そしてギルドのほうでそのことが分かるようになっている。そして遺体を持ち帰ってきた人に遺体保護報酬が支払われる。ちなみにこれを利用して、冒険者を殺して報酬を貰おうとしても、遺体を入れたときに死亡原因がカードに記載されるらしいので犯罪に使用するのは難しいとか。なんというか異世界技術すごすぎだろう。

「まあそんな訳でローブの手直しをしてほしいんだよ。後アルセムにはあたしの剣の研ぎ直しをお願い。」

「ふむ、これなら明日には直せるだろう。」

「了解、じゃあ剣はここで預かるよ。こっちも明日には研ぎ終わってるよ。」

後で聞いたが、アルセムさんが例のこの国一番の鍛冶師だそうで驚いた。だって文系の大学生ってイメージだったのだが学者って言われたほうがしっくりする。

本当に私の想像の真逆をいってた。

「わかった、じゃあ明日店にいくよ。」

「ところで…そちらのお嬢さんは?紹介がまだだが。」

デクスさんが私を見やってニーニャさんに尋ねる。

「ああうっかりしてたよ。この子はハル。ギルド期待の新人さ!ここでハルの装備を揃えるつもりでもあったんだ。」

私は二人に挨拶をする。そういえば挨拶してなかったな。

「ハルといいます。今日登録したばかりの新人ですがよろしくお願いします。」

二人に挨拶を済ませた後、細々とした装備品、短剣やら冒険に必要な品を買った。そのときに魔具の杖を渡された。ローブも手直しした後くれるそうで、お金だけじゃなく装備までと断ったが、これはお礼ではなく保護報酬のちゃんとした私の取り分だそうなので、ありがたく貰うことにした。支払いを済ませ私達は店を後にした。

さあ、次はどこかな?


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