獣人戦士登場のようですよ!?
2月16日(火)一回目の投稿となります。
モンスターの死体から、焦げた肉のイヤな臭いが鼻を刺激する。唖然としていた意識を戻したその時。
「ギギィー!!」
背後から不快な叫び声が聞こえた。慌てて声のした方に振り向くと、目にしたのは私に襲いかかろうとナイフを振りかざしたゴブリンと、いつの間にかその側に移動していて、ゴブリンの首を跳ね飛ばした女戦士だった。
私はびっくりして腰砕けたように地面へと座り込んだ。
あっあっあっあぶなっ!?
コイツ男性にナイフ刺してたヤツかっ!忘れてた…
「油断大敵だよ。魔法使いさん?って、あたしが言えた事じゃないけどね。」
苦笑いを浮かべながら此方へと手を差し出してくる女性。
「あっありがとうございます。」
私は差し出した手を取りながら立ち上がった。その時、改めて女性を見直してみた。
小麦色に焼けた健康的な肌、女性らしくも程良く筋肉がついた身体、その胸はかなりの重装甲をお持ちでいらっしゃいます。 こちらを見つめる顔はかなりの美人だ。
猫を思わせる緑色の瞳、太陽を受けて輝くショートにした赤毛の髪、その頭にちょこんと乗っかるネコミミ…
ネコミミ!?こっこれはまさか!?
『彼女は猫科の獣人だと思われます。』ナビ先生の素早い回答ありがとうございます!獣人キター!目線を下げると腰のあたりから伸びる尻尾も見える。
初めて見る獣人娘に内心狂喜乱舞していると、怪訝に思ったのか心配そうに聞いてきた。
「大丈夫かい?もしかしてどこか怪我でもしたのかい?」
私は慌てて答える。
「あっいえ…大丈夫、です。」
女性はまた心配そうにしながらも、うなずいた。
「ならいいんだけど。自己紹介がまだだったね。あたしはニーニャ。ランクCの冒険者さ。」
「あ、私は…ハルと言います。えーと、た、旅人です?」
街へと歩いている間に考えていた設定を、つっかえながらも答えた。何故最後に疑問形になったし…
「旅人?へえ冒険者じゃないのかい?あれだけすごい魔法が使えるのに。」
ニーニャさんが質問してくるのに答える。
「いち、おう街につ、着いたら登録、しようかな…と」
なに?なぜたどたどしい話し方なのかって?べ、別にコミュ障なんかじゃないんだからな!ちょっとシャイなボーイな『マスターは現在ガールと表現すべきかと。」だけ…ナビ先生うるさいよ!?
「なるほど、この近くだとマハルの街かい?ならあたしも街に戻るから一緒にどうだい?助けてくれたお礼もしたいしね。」
「あり、がとうごさ、いま…す。」…うむコミュ障では断じてないがこの喋り方だけでもどうにかならないかなぁ。
「じゃあちゃっちゃと片付けるからちょっとまっててね。」
そういってニーニャさんは倒れた男性の所へと歩き出した。
あ…そうだ、あの男性はすでに事切れてるのだろう。ニーニャさんの仲間だったのかな。もしかして恋人だったとか…
そんな事を思っていると、男性の懐をまさぐっていたニーニャさんがカードらしき物を取り出すと男性の死体にかざした。すると男性の死体がそのカードに吸い込まれた!?
え?なにそれ?魔法?異世界すげー!?
続けてニーニャさんはモンスターの死体に自分の懐から出したカードをかざすと、やはり死体がカードに吸い込まれていった。
「これでよし!ん?驚いた顔してるね?ギルドカード見るのは初めてかい?ちょっとしたもんだろ?これはランクによって容量が変わるけど、異空間にアイテムなんかをしまっておけるアイテムボックスって特殊な魔法がかかっていてね。」
ほえー、冒険者ギルドすげー!これはぜひギルド登録しなくては!
「待たせたね。んじゃいこうか?」そういってニーニャさんはほほえんだ。