そして……のようですよ!?
5月19日(木)の投稿となります。
最終回に向けて連続投稿一回目です。
ーこっちに……くるなぁー!ー
さっきとは比べものにならない拒絶の力。
それは禍々しい刃となって私に……
「無茶するなぁ」
刃はことごとく雷を纏った剣が弾き飛ばした。
ナハトルマ?
私の側にはいつの間にかナハトルマが立っていた。
「君は前を進む事だけ考えて」
そう言って襲い来る攻撃をいなしていく。
ナハトルマのお陰でお母さんまであと少しまでの所になったとき、ナハトルマの足が止まる。
「あ、時間だ」
見ると、ナハトルマの足にどこからともなく伸びてきた鎖が絡みついていた。
これは?
「ル・シャラがやらかしたせいで神が人界で力を振るうとうるさい神が多いんだよ」
そう言って苦笑いを浮かべる間にも鎖は彼の身体に巻きついてくる。
ナハトルマ……
「大丈夫!たんに拘束されるだけで死にはしないから」
ナハトルマはニッコリと微笑むと鎖に絡まれた腕を伸ばし私の頬を撫でた。
「ハナのことお願いするよ。僕の愛しい娘」
そして鎖はナハトルマの全身に絡みつき虚空へと引きずっていく。
僅かに見える顔は私を安心させるように微笑みを絶やさない。
ありがとう。お父さん……
前を向こう。前に進もう。
ーくるな!くるなぁー!ー
怖いんだね?寂しかったんだね?
ーあたしに……ちかづくなあー!ー
あと少しあと少しなのに稚気として進まない体にイラつきながらも私は諦めない!
ーうわああああああああああああーー!ー
これまで以上に濃厚な負の力が、幾多の力の塊が私を襲う。
でも、大丈夫!
「はあっ!」
イシカホノリの斬撃が塊を切り裂く。
「ほいっとね!」
炎と氷の力を秘めたニ刀が塊を切り裂く。
「せいっ!」
私に降り注ぐ負の欠片を小刀で守ってくれる。
そして、そして……
「ハル待たせたな」
私の前に背を向けて立ち、剣を振り上げるのは。
「悪しき力よ、退けっ!」
兄様の振るうラーの腕が、砕け散りながらお母さんに纏わりついていた狂気の腕を全て吹き飛ばした。
「さあ、ハル様!」
ヤツバさんが私の手を取る。
「いってきな!」
ニーニャさんが私の背を押す。
「思い切り甘えて来て下さい」
カザリが微笑んでくれる。
「必ず帰ってこい」
兄様……
ーああ、あああぁ!ー
『マスター』
いこうサナリ!
私はお母さんに向かって駆け出す。
そして……