お母さん…のようですよ!?
5月18日(水)の投稿となります。
完結までラストスパート!
新シリーズ、『笑わない少女は血薔薇と舞う』を始めました。そちらもよろしければご覧いただけると幸いです。
こちらは21時更新となっております。
http://ncode.syosetu.com/n3647dh/
もう一つ『私の厨ニ病を返せっ!』
も始めてみました。
こちらは、別ジャンル(乙女ゲー)っぽいため、興味ある方のみどうぞ。
http://ncode.syosetu.com/n6557dh/
ーきちゃだめ!ー
私の意識に呼びかける声。
それはいつか聞いた懐かしい…
ーおいでなさいー
それはおぞましい…
ーちかづかないで!ー
ーそばにきてー
ーあたしのー私のー
ー愛しい娘ー
目を開き前を見据える。
そこには、まるで千手観音のように無数の手がある女性の姿があった。
その手の殆どはその身を守るかのように貝が閉じるかのようにその身に纏わりつき、残りはこちらに手を伸ばしてくる。
ああ、そうなのね。
彼女はこうしてずっと苦しんでいたんだ。
彼女の魂は純真だった。真っ白だった。
だからこそ、世界に溢れる悪意は彼女目掛けて押し寄せた。
あの腕の一つ一つがこの世界で悲惨な最後を迎えた魂の欠片。
ナハトルマが私を蘇がえらせなければ彼女を苦しめるモノとなっていたのだ。
前を向く。意識を前へ。神なる者として。
彼女を救う。悲しき魂を。
前を向く。意識を前へ。彼女の娘として。
お母さんを救う。愛しき魂を。
ーだめだよ!こっちにきちゃ!ー
私は一歩踏み出す。
ーこないで!こないで!ー
呪に捕らわれた腕が私に伸びる。
しかし…
『マスターには触れさせません。』
紗鳴が顕現し私を守ってくれる。
『マスター。あなたの思うままに。』
ありがとう紗鳴。
紗鳴により弾き飛ばされた腕。
そこに出来た隙間を私は駆け出す。
ーどうして?どうして?あたしは…ー
世界を歪めた。わかってる。呪いで人を狂わせた。わかってる!
でも、でもそれでも…
お母さんを救いたい!
覚えていたんだ!生まれすぐ私を見て柔らかく微笑んだ顔を!
こわごわと抱きしめられた事を!
そして私に謝りながら息を引き取った事を!
転生者なめんな!
あの時言えなかった言葉があるんだ!
私を産んでくれて…ありがとう