外なる法のようですよ!?
5月15日(日)の投稿となります。
新シリーズ、『笑わない少女は血薔薇と舞う』を始めました。そちらもよろしければご覧いただけると幸いです。
こちらは21時更新となっております。
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身体中切り傷だらけになって片膝をつくスレイマン。
兄様はそれでも油断なく静かに詰め寄る。
「ぐっ、よる年波には勝てぬか。」
どこか達観した様子で呟くスレイマンだが、なにか異変を感じたか歩みを止める兄様。
私が兄様に意識を飛ばした時にはこのような状況だった。
「…なにを企んでいる?」
その言葉にスレイマンは、笑い出す。
「クククッ勿論たくらんでおるとも!」
そう言ってスレイマンは、私達のいる天守閣にその槍で指し示す。
「あそこに何が居るのかわかるか?」
「…何だと言うのだ?」
そう問われたスレイマンは嬉しそうに答えだした。
「あそこには偉大なるアメン・ラーの生み出した全ての技術の結晶!外なる法にて呼び出し愚かなるスオウ公爵へ定着させたモノ…外典のモノが居るのよ!」
「外典だと!?」
はっとして兄様は天守閣の方を見やる。
「そしてっ!」
再びスレイマンに視線を向けた時には遅かった。
彼はその槍で自らの身体を刺し貫いていた。
スレイマンを貫いた槍は、その姿を巨大な蛇に変えスレイマンに纏わりつく、
スレイマンの背中から出た頭部は直ぐにスレイマンの頭にかぶりついた。
「ちいっ!」
兄様はすぐさまその蛇に斬撃を飛ばすが、す素早い動きでかわすとシャーという威嚇音を出す。
頭部を喰われたスレイマンの死体はボロボロになり、灰の様になって消えた。
鋭い威嚇音を出していた蛇だが、何時しかその威嚇音は笑い声に変わっていた。
その蛇の顔はいつの間にかスレイマンの顔へと変わっており不気味であった。
「人を捨てたかスレイマン!」
「この段階では、そうなるな。」
スレイマンの言いように兄様は眉根を寄せる。
『マスター!』
兄様に向けていた意識が紗鳴によって強制的に戻される。
見ると外典のモノは天守閣の外、スレイマンのいる方向に視線を向けていた。
そして…
スルリと壁をすり抜けて外へ出た!?
「なっ!?こいつ!」
私達は慌てて下へ駆け下りていった。
なぜ外へ?まさかスレイマンが呼んだ?
私達が外へ到着した時に見たものは、スオウ公爵の顔を喰らい、外典のモノと一体になったスレイマンだった。