待ち構えるは大神官のようですよ!?
5月12日(木)の投稿になります。
新シリーズ、『笑わない少女は血薔薇と舞う』を始めました。そちらもよろしければご覧いただけると幸いです。
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前線は混戦状態になっている。
槍で突いても刺さりもしない不死の化け物を相手に、次第に後退せざるを得なかった。
そこに駆け抜ける人馬があった。
「ふんっ!」兄様がその長剣を振るうと、アンデットが見事に真っ二つとなり崖下へ落ちていく。
「ほいっと!」少々気の抜ける掛け声を出しながらもニーニャさんが馬から飛びアンデットに蹴りを入れ、その反動で高く飛び上がりまた馬上に戻る。
ヤツバさんは、堅実に刀で敵と切り結び倒していた。
そうしてようやく前が開いた。
「みんな!」
私の合図で皆が私の前から離れる。
よし!
「…炎雷!」
炎を生み出す雷が前を塞ぐアンデット達をなぎ倒す!
「今だ、駆け抜けるぞ!」
なんとか城壁まで!
兄様を先頭にして、殿はニーニャさん。
もう少しで城壁へたどり着く時、前方の地面から五体のアンデットが出て来た。
兄様は馬の速度を速めるとその剣を横凪に振るう。
「はあっ!禍津乃斬撃!」
それは、禍々しい光を伴った衝撃波でアンデットが触れるとその身体が粉々になった。
そしてようやく城壁へとたどり着きました。
「お任せを!」カザリが懐からカギツメの付いたロープを取り出し城壁の上へと投げる。
見事に引っかかるが、それに気付いた敵兵がそのロープを切ろうと駆け寄るが。
馬上から飛び上がり、城壁を駆け上がった兄様が兵士を打ち倒す。ってすごっ!?
「私の見せ場が…」カザリがなにかショックを受けているようですが、早くしないと兄様が孤立無援になります。
しかし。
「ひいっこいつボルトン人だっ!?」
「ばっばか!?逃げるな、戦え!」
周りにいた兵士を易々と切り捨て残りは逃げていきましたね。
カザリがスルスルとその身を城壁へと登らせ、ニーニャさん、ヤツバさんもカザリが掛けたロープで登って行きました。
私?只今ロープを腰に括って引っ張り上げて貰ってますが?
非力で申し訳ないです。
さて…なんとか内部に侵入出来ましたが、どうやら簡単には通してくれないようです。
降り立った私達の前に待ちかまえていたのは、元Sランク冒険者のアメン教大神官スレイマンだった。
「ようこそ!我か贄達よ!」
そう言ってスレイマンは、爬虫類を思わせる笑みを浮かべるのだった。