イワナガ城攻城戦のようですよ!?
5月11日(水)の投稿になります。
新シリーズ、『笑わない少女は血薔薇と舞う』を始めました。そちらもよろしければご覧いただけると幸いです。
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イワナガ城、天然の要塞である山城。
四方を岩山と崖に囲まれ、侵入路は正面の細い道のみ。
大軍を展開する事が出来ない地形は大軍で囲む事が必須の城攻めに対して絶大な効果を発揮する。
その正面の道は騎馬が五騎並べば良い方で、攻城兵器を展開するのは難しい。
そこで、攻撃には大盾を構えた歩兵隊を主力とし、大盾隊に守らせた弓兵による攻撃で城壁上からの攻撃に対応予定である。
「問題は城門への攻撃だな。」
「生半な攻撃ではあれはビクともしませんぞ?」
イワナガ城の城門はかなりの防御力を誇っている。
「破城槌を使うには距離が足りんしのう。」
ならば。
「私が魔法で破壊しましょうか?」
との問いにスガク侯爵が頷いた。
「それしかありませんな。姫が前線に出られるのは避けたかったのですが…」
とはいえ、現状で城門を破壊出来る攻撃手段があるのは私だけみたいですし。
「特に城壁からの弓矢にはお気をつけください。」
「よし、明日の夜明けを待って攻撃を行う!各自それまで休息を取っておけ!」
その夜、私達はパーティーで固まって休息を取っていた。
「思っていたより早く来れたねえ。」
ニーニャさんがお酒を飲みながら話しかけてきた。
そんなに飲んで明日大丈夫なんですかね?
聞くとちゃんとセーブするとのことですが…ついジト目で見てしまいました。
「ハル様には矢の一本も掠らせもしません!」とヤツバさんが意気込んでいる。
いつも頼りにしてます。
兄様は明日のアメン教との戦いに想いを馳せているのだろうか目を閉じて瞑想しているようだ。
カザリは明日のために情報を整理に余念がない。
「やはり、不確定要素はスレイマンですね…結局アペプの能力も不明ですから。」
たしかに鑑定出来たのはコピーというか抜け殻の方だけだ。本体を鑑定した訳ではない。
「分かっているのは分身を作って身代わりのように出来る。蛇を操るのもアペプの能力なのかな?ぐらいですか。」
うむ、ほとんど分かってないのと同じですね。
「私はあの時スレイマンと共に消えたゴロツキ達の事が気になりますね。」
カザリが書類を見ながらそう言った。
そして、その懸念は現実の物となる。
「全軍進め!」
整然と歩兵隊が城門目掛けて進む。
しかし…
「待て!あれはなんだ?」
グシ伯爵が城門前を見て待ったをかける。
そこにいたのは…
半ば腐り落ちた身体を引きずるようにして蠢くアンデット達。身体的特徴からイカルガ人ではなさそうです。
その内の何人かは頭部が欠けてそこからいつか見た蛇が顔を覗かせている。
まさか、あのとき消えたゴロツキ達!?
「死体も操れるのかっ!?」
ヤツバさんが恐怖に顔をひきつらせる。
「怯むな!相手は死人とはいえ数はこちらが上だっ!」
号令と共に歩兵が槍をかまえて突撃する。
しかし…
ゴロツキの死体達はその攻撃を難なく受け止め歩兵に反撃してきた。
攻撃が効いていない!?
「あれはまさか同種食いと同じか!」
兄様がその光景を見て唸る。
私は目に力を込めてゴロツキ達を見る。
「あった、魔核!」
まさかすべてのゴロツキ達の死体に魔核を?
「不味いね。並みの兵士じゃ荷が重いよ!」ニーニャさんはそう言って剣を抜く。
既に前線は混戦状態のため、魔法を打つことは出来ない。
どうすれば。
「なんとか操っている奴を探すしかないですね。」
ヤツバさんの意見に頷いた。
多分スレイマンが操っているはずですが。
そうこうしている内に戦況はこちらが押されだしている。
このままでは…
「突っ切るしかないな。」兄様がそういってきましたがなんとか城までたどり着けば可能性はあるでしょうか?
「城壁までたどり着けばこの人数ならなんとか私が上まで上げます!」と、カザリが請け負う。
よし!
「スガク侯爵!私達はなんとか城壁まで行きます。少しの間耐えてください。」
「姫!?無茶です!おやめください!!」
「しかしこのままではジリ貧です!」
「ぬうっ!しかし…」
問答している暇はありません!私は馬首を返し走り出す。
後ろでスガク侯爵の引き止める声がしたが無視ですっ!
私を守るようにして皆が周りを囲むようにして一丸となって突き進む。
いざ!イワナガ城!