作戦開始のようですよ!?
5月9日(月)の投稿になります。
「斥候からの報告によると無事にオオトリイ城から数騎出ていったようです。」
副官の報告を聞いたスガク侯爵は数名に合図を送ると移動を開始する。
「よし、手筈通りに。」
現在、オオトリイ城を包囲する五千の兵。
指揮するは、マツガネ伯爵。
「激しく、激しく攻め立てよ!」
マツガネ伯爵が包囲中の兵に激を飛ばす。
見事に統率さた五千の兵は激しい攻撃を繰り広げている。
一番大事なのはここにいるのは五千ではなく、二万の軍であると錯覚させること。
ゴンじいが言っていた事ですが。
現実問題として、一兵も逃さないというのは不可能なので逃げた兵には間違った情報を流してもらう。
5騎の早馬がカカザキ城へと走る。
それを回り道して崖上から眺める千二百の騎馬。
暫くして、城門が開き騎馬のみで構成された兵が出てくる。
その数二千。
「ふむ。足の速さを優先させたか。」
「後背を突くつもりでしょうな。」
グシ伯爵とその副官がその姿を見やりながら話している。
二万もの軍と言えど後ろを突かれれば脆い。さらに中と呼応されれば崩壊する危険性もあるだろう。
しかし…
「後背を突ければ、の話だがな。」
グシ伯爵は静かに腕を振り下ろす。
「前進!」
グシ伯爵の軍はカカザキ城へと向かう。
情報通りなら二千の兵が抜けたカカザキ城の残存兵力は残り五百前後。
十分この兵力で落とせる筈。時間との勝負ではあるが。
スガク侯爵率いる一万八千の軍はカカザキ城からの軍を待ちかまえていた。
「斥候からの報告!騎兵のみ二千が現れた模様!」
「よし!槍盾兵は配置につけ!」
スガク侯爵の命令に長槍と大盾を装備した兵が道一杯に配置される。
「ハマナ子爵。敵兵が!」
ハマナ子爵と呼ばれた男は前方に展開している槍兵を見て不敵に笑う。
「ほかの騎兵ならいざしらず。我ら兎馬で揃えた飛馬隊に通じるものかよ!構わんそのまま前進だ!」
兎馬とは、ルーチュの一部地方で生産される特殊な馬で、まるで兎のようなジャンプ力で飛ぶことからついた名前だ。
その兎馬で揃えた騎兵。
「ハマナ子爵か。羽根飛び武士と呼ばれた男か。情報通りだな。」
集団の先頭を走る武士を双眼鏡で確認したスガク侯爵が笑う。
二千の飛馬隊は、槍兵と接触さる寸前高く飛び上がり槍兵の頭上を飛び越える。
「そんな長槍で頭上を突けまい!これぞ飛馬隊の神髄よ!」
飛び上がった馬上でハマナ子爵は抜刀し真下の兵を切り捨てようとするが…
大盾によりその後ろに隠れていた兵が槍を上に構えているのを目の端に捉え絶命した。
先頭が罠に掛かった事を知り馬を止める者、その馬に激突し落馬する者。様々であったが。
「今だ、矢を射掛けろ!」
号令と共に矢が降り注ぐ。
作戦は見事に決まったようです。
私は神眼を閉じ一息ついた。
後始末に二百の兵を残し私達はカカザキ城へと急ぐのだった。