家庭訪問 *8(岸原 友里音)
友里音ちゃん目線の方が進めやすいと思って視点を変えたのですが、書きはじめたら何故か時間が戻っていました。お陰で物語が進んでいません。(初めての視点で書いたせいでキャラを掴むのに手間取ったのが原因だと思われます)
というわけで、物語の重複が苦手な方はご注意下さい。
……それからテストが近いので、また少し消えます。
*Side:岸原 友里音
今日はお父様の提案で友人を家に招く予定が入っていたこともあり、珍しく早起きした。
普段は誰も起こしに来ないので思う存分惰眠を貪っていたため起きられる自信がなかった。しかし、結果としては、普段以上に心地よい目覚めだった。
無理に早く起きて眠気が残っては困ると、早目に床についたことが理由だろうか。
あたしは、何時もなら欠伸を噛み殺しながら進める食事の準備を鼻歌まじりに行いながら、友人――癒織が来たら何をして遊ぼうかと色々なものを思い浮かべた。
「……はぁ」
その時、部屋の向こうが騒々しくなった。
並べられる丁寧な言葉たちと不機嫌そうな声。
……お兄様の起床時間のようだ。
こちらも何時もならこんな時間には起きないのだが、使用人に起こさせていることから察するに何か用事があったのだろう。
「全くついていない」と呟きかけたところで、思い直した。
この時間に出掛けるなら、癒織と鉢合わせる可能性はかなり低くなるはずだ。一つの懸念事項が無くなったと楽観的に考えることにした。
「……それにしても、煩いの。あたしは防音加工を頼むべきなの?」
眠気がとんだのか騒がしさが倍増した扉の向こうに、思わず溜め息をこぼした。
あたしは、約束の時間より少し早く公園に行った。
癒織は既にそこで待っていた。
何処に住んでいるのかは知らないが、いつもあたしが行った時には居るのできっと家は近場なのだろう。
……いつか、あたしも癒織の家に行ってみたいの。
当分口にする予定のない言葉を舌の上で転がしてから、癒織に声をかけた。
車から降りてから、辺りを興味深そうに見ている癒織を連れて部屋に向かった。
最初はいつもと違う場所ということもあってか二人ともどこかぎこちなかったが、会話しているうちにそれも無くなった。
漸く和やかな空気になったところで、別の問題が発生した。……お兄様が帰ってきたのだ。
無意味に面倒な行動をとる兄にげんなりしながらも、あたしを優先してくれる癒織を見て気にするのが馬鹿らしくなった。しょっちゅうこういうことがあるので、諦めたり無視することに慣れたともいえる。
申し訳なく思う気持ちもあったが、折角回避出来たと思っていた面倒事が再び襲ってきたことでダメージを負っていたあたしは、癒織にお兄様の相手を任せることにして一時的に席を外した。
用意していたお菓子のことを思い出して少しだけ気持ちが上向いた。
今日のことが決まった日のうちに予約しておいたお菓子。
あたしのお気に入りのお店の看板商品で、人気も高く手に入らないことも多いが、癒織にもあたしの好きなものを食べてもらいたいと普段しないおねだりまでして用意したもの。
あたしは棚の上から箱を取り出して中身をお皿に出してから、手早くお茶を淹れる準備をした。
この家の子になった当初はお茶のことなどまるで知らなかったが、今では必要な知識だと詰め込まれたお陰で色々と出来ることが増えた。
それが良いことなのかは、あたしには分からないけど。
取り敢えず、お兄様が癒織に余計なことを言っていないように祈っておくの。
あたしは、お茶が出来るまでの待ち時間を小さな祈りに費やした。




