家庭訪問 *7
お久しぶりです。過去編が無駄に長くて申し訳ありません。正直、私も此処まで長くなるとは思っていませんでした。
そろそろユノくんたちが恋しくなってきました。
(百話は現代編で迎えたかったのですが、厳しいような気もします)
一応、今回グロ注意です。
「……別に深い意味は無いの」
「……」
顔を逸らしてぼそりと呟いた友里音ちゃんを無言でじっと見詰めてみた。それに対して、友里音ちゃんは居心地が悪そうに視線を彷徨わせた後諦めたように口を開いた。
「……お友達があたしの事に巻き込まれていなくなっちゃうって話はしたでしょう」
「うん、その話が途中で終わっちゃったから気になっていたというのもあるしね」
返事をしながら、頭の中ではボクがその言葉を聞いた時の映像がまた再生されていた。
恐らく、このことが彼女の使用人の話に繋がるのだろう。今までに分かった情報から察するに、友里音ちゃんが何らかの関わりを持ってきた人はあまり居ないようだし。
「その原因がさっき話した噂なの」
「使用人が辞めたという話にも関係ある?」
「その通りなの。……やっぱり、そこまで話していたのね」
ここまで聞いて知らない振りをするというのも何だか悪い気がしたから尋ねてみた。
そのことはすでに予想していたようで、友里音ちゃんは諦めの表情で溜息と一緒に言葉を吐き出した。
「……ええと、何か御免よ」
「別に怒ってないの」
友里音ちゃんはそう言うと、「気にしなくて良い」というように手を顔の前で動かした。
「……その噂を信じた人があたしの使用人に色々したらしいの。詳しくは教えてもらえなかったけど、怪我をした人もいたみたいなの。……だから、今はあたしに付いている人は居ないの」
「つまり、人形ならそういうことがあっても大丈夫ではないかと思ったというわけね」
「そういうこともあって、自分のことは自分でするようになったの」
……どうやら、今の生活は始まりはさておき、友里音ちゃんの意志で送られているものらしいね。
一息に語りきった友里音ちゃんは、先ほど持ってきた飲み物が入ったコップを手に取った。長く語ったから喉が渇いたのかもしれない。
ボクは聞いたばかりの内容を頭の中でまとめながら、友里音ちゃんの動きを視界の隅に捉えていた。
友里音ちゃんがコップを口に近づけて傾けようとしたのを眺めていると、ボクは何か妙な感覚に襲われた。
――それに触れてはいけない。
特にそう思う根拠があったわけではないけど、何となくそう思った。
日ごろから勘は大事にするように父上から言われていたこともあり、その言葉が頭に浮かんでからの行動は早かった。
先程までこの部屋のものを傷つけないようにと引け腰になっていたことも忘れて、ボクは友里音ちゃんの手からコップを弾き飛ばした。
その時に、コップの中から零れだした液体が宙を舞うのを見た。
スローモーションで再生されているような視界の中で、その液体が友里音ちゃんに掛からないように念じた。魔術に変換する時間は無かった。
水気を帯びた音と、何かがとけるような音。
鈍い痛みと、軽くなる体。
そして、誰かの悲鳴を最後に、ボクの視界は白に染まった。




