起床
お久しぶりです。軽くスランプにはまっていました……。
*Side:星砂 癒織
目を開くと見覚えのある天井が広がっていて、ボクは何があったのか思い出そうと瞬きを繰り返した。
「……う、」
ボクが身動ぎをしたと同時に、足元の方から微かな唸り声が聞こえてくる。そちらに視線を向けると布団に突っ伏しているユノくんの姿があった。
これは、もしかしなくても寝ている感じかな?
ボクは音を立てないように布団から這い出ると、タオルケットを手にとってユノくんに近付いた。
「お疲れ様……って、うわっ」
「む?」
タオルを掛けてあげようとしたところで、ユノくんは突然上体を起き上がらせると辺りをきょろきょろと見回し始めた。良く見ると目は開いておらず半分寝ぼけているようだ。
眉間に皺をよせたままの表情で辺りを見ているユノくんの姿は、何処と無く小動物を彷彿とさせてボクの顔に少しだけ笑みが浮かんだ。
「むにゅ……、む。……ハッ! おはようッス!」
「……あ、うん。お早う」
何の前触れも無く両の目を見開いたユノくんに若干気圧されながらボクは答えた。
「なかなか起きないから心配したんスよ?」
「悪かったね。……ところで、ボクはどれくらい寝ていたのかな?」
「まる二日ッスよ~!」
「おや」
予想外に長かったことに驚いて口にすると、その反応が気に入らなかったのかユノくんが半目でボクを見てきた。
「……まあ、無事だったから良いんスけどね。あ、そうッス、伝言を頼まれていたんスよ」
脱力したように呟いたユノくんは、次の瞬間「良いことを思い出した」というような至極楽しそうな表情になった。
何と無く嫌な予感しかしないので、ボクは無言で距離をとって身構えた。
「シロクさんから、「隊長が怒っていた」と伝えるように言わたッス」
「……」
……嫌な予感というのは、何故こうも高確率で当るのか。
「……んー、後で連絡するよ。伝えてくれて有り難う」
ユノくんに罪はないからと礼を言えば、彼は少し驚いたように目を見開いた。
「……ユオリって、変な所で律儀ッスよね」
「?」
「あと、ユオリが起きたら自分の所に来るようにってキリーが言っていたッス」
「ん、了解。なら、早いところ行ってくるよ」
ボクは、部屋から出て慣れた廊下を進んでいく。
同時に波の音が聞こえてきて、漸く船が動いていることに気付いた。浮いていたせいか、振動には気付かなかったようだ。
……んー、ティーさんとまともなお別れが出来なかったことが少し心残りかな。まあ、同じ魔術の使い手だしまた会うこともあるかもしれないよね。
そんなことを考えながら無言で翼を動かし続けていると、何時の間にか目的地まで辿り着いていた。
……この船にも大分馴染んできたよね。自分の部屋くらいなら、目を瞑っていても行ける自信がある。
「きーさん、居る?」
ボクは扉を軽く叩きながら尋ねた。




