寝ている間の出来事 *2(リューノ)
《今の状況を詳しく教えてもらえると助かるんだが……》
互いに少し打ち解けてきたところで、シロクさんはそう言った。
最初に感じた苛立ちは彼と話すうちに薄れていたので、オイラは今日あったことを思い出しながら口にした。
それを聞いたシロクさんの表情が曇る。
「……そんなに不味い状況なんスか?」
《あ、いや、そういうわけでは無いんだが……。ただ、必要無いと言ってはあれだが、優先度の低いことにも魔力を使っていたのかと思ってな》
呆れたような表情で言うシロクさんに納得する。
確かに、倒れるのを覚悟してまで必要なことだったかといわれれば疑問が残る。
……まあ、ユオリらしいとも思うッスけど。
《でな、恐らくだが、癒織が目覚めるには多少時間が掛かると思う。……俺もこれだけの魔力を一度に使うところを見たことがないので何とも言えないが、早くても今日中に起きることはないだろうな》
その言葉に少なくない衝撃を受けた。
だが、それと同時に当然だとも思った。
元々少し気負い過ぎている感じはあったし、これでしっかり休んでくれるなら一安心ってところッスね。
すっかり子供を見守る保護者のような気持ちになっていることに苦笑した。
《……今回の件から何となく察しているかもしれないが、これからも癒織にはあのような仕事をやってもらうことになる。……だから、あー、俺が言うことではないんだが、あまり無茶をしないように見張っててやって欲しい》
「勿論ッス。ユオリはオイラたちの恩人ッスから」
《……頼もしいな。そうしてもらえると助かるよ》
シロクさんは、少し安心したような表情で呟いた。
「あ、ところで、シロクさんは何か用事があって連絡してきたんスよね?」
《ああ。……まあ、二人が無事に着いたということを伝えがてら、様子を聞こうと思っていただけだ。話は君から聞けたから充分だから、一応前者だけ伝えておいてもらえるか?》
「分かったッス」
《……あと、もう一つお願いがあるんだが》
ここで、シロクさんは初めて言いよどんだ。
オイラは、少し身構えながら視線で先を促した。
《俺も癒織もそちらの常識には疎くてな。……いつまで癒織と一緒に居てくれるか分からないが、その間だけで良い、出来るだけあいつが過ごしやすいように常識やらを教えてやって欲しい》
予想していたような深刻な内容ではなかったことに、オイラは肩から力が抜けるのを感じた。
「……そんなことッスか。言われなくてもそのつもりッス!」
《そうか。癒織は良い友人をもったな》
シロクさんは、今度こそ安心した表情で笑った。
何となく和やかな雰囲気になったところで、シロクさんは思い出したように口を開いた。
《……ああ、言い忘れていたが、癒織に「隊長が怒っていた」と伝えておいて欲しい》
シロクさんは、少し人が悪そうな表情でにやりと笑いながら言った。




