子供たちとプレゼント
「じゃーん、イルカだぜっ!」
「私は、クラゲさん」
「……金魚なんだけど、二人のやつと比べるとちょっと浮いてる気が」
口々に何を作ったのか説明してくる子供たちを見て和みながら、ボクは自分に出来ることを考えた。
……一応、ボクも、きーさんには結構お世話になっているからね。
「……見事に、水棲生物ばかりだね。フワくんの選択によっては、全部海ものになっていたけどね」
「まあ、キリーは海のというか、生き物はだいたい好きだから喜んでくれると思う」
「ふむ。……なら、動いた方が良いよね?」
「う、うん。……できるの?」
驚いたような表情で尋ねるフワくんに、ボクは少しだけ得意気な気持ちで頷いた。
「……」
ボクは、先ず三つの作品を手に取り軽く魔力を流してみた。
……実は、この加減が意外と難しいんだよね。
雑に流してしまうと、魔力が混ざり合って元の方を打ち消してしまうことになる。あくまでも、補助として相手の魔力に添うような形でなければならない。
ボクは、魔力の量と質を調節しながら作業を続けた。
「良し。イメージ通り」
ボクは、試しにイルカの尾を動かしてみてその様子を確認して頷いた。他の二つも幾つかの動きを試してみて、気に入った幾つかを登録した。
……こうすれば、ボクが魔力を流さなくても必要に応じて勝手に動いてくれるというわけだ。
「キミたち、水槽にリクエストは無いかな?」
「え……? まだ作るのか?」
どうせここまで作ったならとやる気になっているボクを見て、フワくんは少し驚いた様子だ。
まさか、ここで話を振られるとは思っていなかったというのもあるかもしれない。
「え、えっと。……じゃあ、金魚鉢で!」
「……本当に、それで良いのかい? 確かに、金魚はいるけども」
予想外の返しに、ボクは思わず念を押した。
「まあ、良いんじゃね? オレは止めないぜっ!」
「……ということで、よろしく!」
「はあ」
まあ、そこまで拘るなら別に良いけど。
……金魚鉢の中にイルカが居るというのは、なかなかにシュールな光景だよね。
ボクは子供たちの期待に応えるべく、また別の魔石を手に持って魔力を流した。
色は透明で普通の金魚鉢に遜色無い入れ物が完成した。
「後は、水だね」
ボクは、水道から汲んだ水を鉢に移してから、三匹をそっと水の中に入れた。
「おおっ!」
「泳いでるぜ」
「仲良さそうだね」
子供たちは、鉢を覗いて歓声を上げた。
……これだけで、やって良かったと思えるよね。
そういえば、誤解が有りそうだから言っておくけど、ボクは子供嫌いではないからね? 我が儘盛りの宇宙人みたいなやつらは嫌いだけど、素直な子は好きだよ。
「さて、誕生日が何時なのかは知らないけど、あげる直前に水を入れれば良いから今は捨てちゃうよ」
言いながら、ボクは金魚鉢にに手を伸ばした。
「あ、だいじょうぶ。誕生日、今日だから」
スイくんの言い分に、ボクは眩暈を感じた。
「……キミたちの中では、「もうすぐ」というのは「今日」という意味だったのか。勉強になったよ、うん」
「あ、えっと、最近、忙しかったから……」
確かに、ボクが現れたり、クレくんが救出されたり色々あったけれども。
……フワくんはともかく、他の二人にはいくらでも時間があったように感じるのだけど?
「あー、今、オレたちは暇だったはずだと思っただろ!? ……ざんねん! オレたちにも仕事があるんだな、これが」
何故だか、得意気な表情で語るスイくん。
「……オレたち船の子供には、島とのれんらく係という「重大なにんむ」があるのだ!!」
どうも、この言い方から察するに、大人から「重大な任務」だと言われてやっているみたいだね。
……いまいち重要度が分からないけど、今までのこの船での経験から考えるなら、恐らく態々子供にやらせるということにも何らかの意味があるのだろうね。




