表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師の異世界召喚  作者: かっぱまき
海上にて①
50/109

父上の誕生日 *1

「ねえ、父上の誕生日はいつなの?」

「儂か? さぁて、何時だったか……。ところで、突然どうしたのだ?」

「んー、お友達から聞いたんだ。お誕生日は、周りの人皆でお祝いするんだって」


 ボクは、一人の少女を頭の中に思い浮かべながら答えた。


「それは、一人称が「ボク」である子か? もしそうなら、会ってお礼を言いたいものだが」

「だから、その子は偶然会ったただの子供だし、何処に住んでいるかも知らないよ」

「しかしなぁ……」


 父上は、何故かボクの卵焼きを奪った少年をいたく気に入っているらしく、ことあるごとに聞いてくるんだよね。


「で、その話じゃなくてさ。……父上の周りにはボクしか居ないから、ボクが盛大にお祝いしてあげるんだから」


 後になって思えば無神経なボクの言葉に、父上は何かに耐えるような複雑な表情で笑った。


「そうだな……」

「……? でね、父上の欲しいものを聞こうと思ったんだけど、何かないの?」

「お前がくれる物なら何でも嬉しいさ。……とは言うものの、別に無理して用意してくれなくても良いのだよ? 儂は、その気持ちだけで充分だ」


 幸せそうな表情で語る父上を見て、ボクは何故だか対抗意識の様な感情を抱いた。


 ……絶対に父上を驚かせてやる、と思ったんだ。



「気合いだけは有るものの、どうすれば良いのか……」


 ボクは自分の部屋に戻って、プレゼントを何にするか思い付かなくて唸っていた。


「やっぱり、あの子に……。いや、自分で考えないと」


 ボクは、さっきから何度か浮かんでいた考えを打ち消した。


 だって、「誕生日」の話も聞いたのに、プレゼントの内容についてまで頼りでもしたら、情けないと思わない?



「うー、やっぱり駄目だー。……隊長に聞いてみようか」


 これならセーフだよね、と自分で自分に無意味な言い訳をしながら、ボクは組織の建物に向かった。


 最近、父上に紹介してもらえて漸く組織の一員になれたばかりだから、知り合いは少ないんだ。

 ……でも、隊長たちは優しいから、遊びに行っても退屈する心配は無いけど。


「隊長ー、居るー?」


 声を張り上げると、向こう側からばたばたと慌ただしい足音が聞こえてきた。


「良く来たな。……今日は何をして遊ぼうか?」

「隊長ー。毎回、遊びに来ている訳ではないし。今日は、相談があって来たんだ」


 ボクは、ここに来るに至った経緯を大まかに説明した。

 絶対に、凄いプレゼントをあげたいということも。


「……誕生日のプレゼントか。そういえば、いおりさんの誕生日っていつなんだ?」

「んー、分からないって」

「……誤魔化されたんじゃないのか?」

「でも、それなら、いつでも良いってことでしょう? ……だったら、たっぷり準備が出来るよ」


 ボクは、満面の笑みで意気込みを語った。


 因みに、庵というのは父上の名前。

 母上は、ユーリアっていうんだって。

 まあ、ボクが産まれる時に亡くなったと聞いたから、会ったこともなければ、顔すら分からないけど。

 名前から察するに、外人だったのかな? ……父上は、母上についてあまり話してくれないから知らないんだ。何故か、写真も無いし。


「なるほどな。そういう考え方もあるか……」


 隊長は、感心したような表情でボクの頭を撫でてくれた。


 ボクは、人に頭を撫でてもらうのが好き。何だか、安心感があってさ。

 ……父上は、滅多に撫でてくれないけど。

 やっぱり、ボクが悪いのかな。母上のことも……。


「よしっ! ……どんな物が良いか、一緒に考えようか」


 隊長の明るい声が、暗い思考を打ち消してくれた。


 隊長は、人の感情に敏感らしく、ボクが落ち込む暇を与えてくれない。……そういうのが、隊長の格好良いところだと思うし、尊敬している。

 まあ、調子にのられても困るから、言わないけど。

 癒織さんの喋り方が少し違うのは仕様です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ