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魔術師の異世界召喚  作者: かっぱまき
日本にて
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魔術とは

 今回は説明回です。



 とりあえず、久遠くんを連れて近場の公園に行った。封じたとはいえ、学校で話すのはどうかと思って移動することになったのだ。勿論、今は翼もしまってある。


「さてと、久遠くん。質問はあるかな? 答えられる範囲でなら、教えるよ」


 久遠くんは、あまり考える様子もなく口にした。多分、どれから尋ねるか事前に考えていたのだろう。


「まず、体育館から現れたものは何ですか?」

「あれは、世界の歪みの一種だよ。……まあ、今回のは、異世界の人が故意に行ったものだろうけどね」

「異世界、ですか?」

「うん。まあ、信じてくれなくても良いよ。最近増えているんだよね。で、それを調査したり、封じるのがボクの仕事」

「いえ、さきほどの様子を見れば嘘だとは思いませんが。……その、仕事? を行うのは、星砂だけなのですか?」

「そんなことはないよ。……一応、組織だからね。ただ、仕事量が一番多いのはボクだと思うよ」


 組織の中で一番魔力を上手く使えるのは、ボクだからね。

 ……これは、基礎練習の反復の賜物だけど。

 皆は、面倒くさがって途中で止めちゃうんだよね。


「……もしかして、今日倒れたのは、過労が原因ですか? いえ、体重が凄く軽かったので、少し心配になりまして」

「あ、そういえば、今日は有り難う。助かったよ。……原因はね。うーん、まあ、そんなところかな。普通は倒れたりはしないんだけど、最近はちょっとね……」

「……無敵、ですか?」


 久遠くんは、ボクの微妙な間を正確に読み取ってくれたようだ。


「……うん。本当は、昼休みは足りていない分の休息時間だったんだよね」

「最近は、ほとんど無敵に振り回されていますよね。それで、無理が祟ったと」

「おお、久遠くんは分かってくれる? だよね、振り回されているのはボクの方だよね? いや、クラスの女子がね、無敵くんが居ない時に、『彼を振り回さないで! 迷惑なのよ!』とか言い出して。……あ、ごめん。愚痴になっちゃったよ」

「あー、言いそうですね。最近の女子生徒のパワーは凄まじいです。僕も、ああいう方達は苦手で」


 少し遠い目になりながら言う久遠くんに、ボクはある感情を抱いた。


「……おお、同志だ」

「ふふっ、ですね」


 思わず呟いた言葉に、苦笑しながら同意してくれる久遠くん。


「そういえば、久遠くん。キミはどうしてあんな時間に体育館にいたの?」

「……ええと、ですね。部活動の大会が近いので、自主練習をしていたんです」


 久遠くんは、照れ笑いしながら答えた。


「へぇ。部活ってこんなに遅くまでやっているんだ。……あ、でも、他の人は? 久遠くんは……、弓道部だったっけ?」

「……よく知っていますね。ええ、僕以外の方は皆さん経験者なので、帰ってしまったんです。で、僕は顧問に特別に許可をもらいまして」

「なるほどね。あ、部活は女子達の会話で知っていたんだ。……で、ええと、他に質問はない? ボクがやっていたこととか、真っ先に聞かれると思ったんだけど……」

「勿論、気にはなりますが、そこは尋ねてはいけない部類かと……」

「あー、まあね。普通は教えないんだけど、久遠くんなら良いかなって。……ボク、自分の勘を信じることにしているんだ。で、裏切られたら自分の責任だと思えば、悔しくはあるけど怒りはわかないじゃない?」


 これは、ボクのモットーみたいなものなんだけどさ。今のところ、勘が外れたことはないよ。

 ……まあ、そもそも勘で動くことが少ないからかもしれないけど。


「はあ、そういうものですか。……では、無敵には話していないのですか?」

「勿論。そもそも、こういう状況にでもならなければ話さないしね。無敵くんに話す予定はないよ。彼、普通に口を滑らして言っちゃいそうだし。何より、人の話を聞かないから信用出来ない。……賭けても良いけど、無敵くんは近いうちに何かやらかすよ。まあ、これも勘なんだけどね」


 ああいう見極めが出来ないで突っ走る人は、大抵問題を起こすからね。『何か』の大きさは分からないけど。


「まあ、確かに何かやりそうではありますね。……ええと、では、質問しますが、あれは何ですか」

「ええとね、あれは、ファンタジーの代名詞である魔法の部類だよ。まあ、ボクが使ったのは魔術だけどね」

「魔術ですか。……魔法と魔術の違いは何なのですか?」


 ある程度予想していたのか、久遠くんの反応にあまり驚きは見られなかった。


「ボクの認識では、魔法は魔術の劣化版だね。魔術の方が、少ない魔力で効果が高い。でも、魔術の方がコツを掴むのが難しいから、どちらが効率的とは一概には言えないのだけど」


 組織では、先輩からコツを教えてもらうことで、魔術習得率百%をほこっている。とは言っても、魔法の方が得意そうなメンバーがちらほら居るのも事実だったりする。

 因みに、ボクは純魔術師だから魔法は使えない。


「それから、相性が違うかな。ボクが喋っていたあれは、詠唱というんだ。魔法はその詠唱との相性が悪い代わりに、イメージが反映されやすいという特徴がある、かな」


 魔術では詠唱でイメージを形作っていくのに対して、魔法は動作くらいしか行わないから、イメージがそのまま反映されるというのはある意味当然だけど。仮に詠唱をしても、無駄に消費魔力量が増えるだけで効果はあまり変わらないんだよね。


「あとは……、魔法は何かを媒介にしないといけないから、発動に時間がかかりやすい傾向にあるかな。ただ、詠唱で無駄に長いものもあるから、どちらが実戦向きかは正直微妙なところ。……今思いつく範囲では、これくらいかな」


 ……まあ、言った様にボクの認識では、だから客観的に見たら違うのかもしれないけど。


 組織の人達も調査しているらしいが、明確な答えは出ていない。


「……魔力は誰にでもあるものなのですか?」

「うん、そうだね。生まれながらに持っている量は、皆大体同じだよ。家系によって多少の差はあるけど」

「では、星砂は鍛えたりしているということですか?」

「そうだよ。さっきも言ったけど、仕事だからね。保護者にきっちりと指導されたよ。……まあ、おすすめはしないかな。あれは、生まれてすぐに始めた人にはどうあがいても追い付けないしね」

「色々と大変なんですね。……そういえば、先ほど魔術や魔法に色がついていたように見えたのですが、あれは何ですか?」


 目敏い。そこまで見る余裕があるとは、正直思っていなかったよ。……のみ込みも早いし、久遠くんには魔法関連の適性があるのかもしれないね。


「魔力の属性だよ。まあ、基本的にイメージ通りの色だと思うよ。火が赤とか水が青とか。因みに、違う属性の色だと効率は著しく下がるし消費も馬鹿にならないけど、魔力の扱いに慣れていれば使えるんだ。フェイントとかに役立つよ」


 先ほど使った【転】の魔術は、魔力のタイプを切り換えてその属性を使うのに適した状態にする効果がある。それを使わずに別の属性の魔術を使えば、自然と前の属性の色で発動できる。


「では、先ほどのブラックホールみたいなものは闇属性とかですか?」

「あー、そう思うよね。でも、あれは多分無属性の空間魔法だよ。一応、魔力の扱いが上手いほど澄んだ色になるんだ。で、無属性は基本透明で比較的扱い易い属性だから、あれだけの色にできるのはある意味才能だよ」


 自慢ではないが、ボクは魔力操作が得意だ。物凄く集中すればだけど、得意な風属性ならほぼ視認出来ない状態にして使うことも可能だったりする。


「何だか、少し賢くなった気がします。いえ、何かの参考になるわけではないのですが……」

「質問は、終わりかな?」

「……そうですね。また思いついたら聞きますね」

「いつでもどうぞ。……今度はボクから、質問良いかな?」

「……構いませんよ」


 心当たりがないのか不思議そうな表情ではあったが、了承をもらった。


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