船内を探検? *2
「水の音ね。……この部屋のそこら中に響いているけど? ……というか、ユノくんはそろそろ復活しようか?」
「ぎゃーっ! ……え、ユオリ? 何スか、脅かさないで下さいッス」
ユノくんは、話し掛けただけで悲鳴を上げながら大きく飛び上がった。
……うん、これは重症だね。
ひーちゃん、もしかして、コレを解っていて……?
「ときに、ユノくん? キミ、さっきまでの話を聞いていたのかな?」
「え? 何の話ッスか?」
ボクは、全く理解していない様子のユノくんにヨイくんの状態を説明した。
話を聞くにつれて幽霊の仕業ではないと解ったのか、ユノくんは落ち着いてきた。
「つまり、ヒントからアイツを捜せば良いんスね?」
「そういうこと」
ヨイくんのサイズから考えると、場所は限られてくるよね……。
……いや、ヨイくんの材質(と言っては語弊があるけど)が分からない以上、もしかしたら予想外に狭い場所に居るのかもしれないね。
「ここッスか?」
「……ユノくん、流石にゴミ箱には居ないと思うよ?」
それ以降も、ユノくんは明らかに居ないと思われる場所や居て欲しくない場所ばかり元気に騒ぎながら確認して行った。
ボクも戸棚などを片っ端から調べてみたけど、ヨイくんは見当たらなかった。
「……もう、空耳だったってことで良くないッスか?」
先程の声の正体がヨイくんだと分かっていても暗い船内を長時間彷徨きたくないのか、ユノくんが見て見ぬふりを提案してきた。
――おいてったら、ユノ? のろう? のろうー! ……きゃははは!
「……」
「おーい、ユノくん?」
耳元で名前を呼びながら手を振ってみたけど、反応無し。
……返事がない、ただの屍のようだ。というメッセージが頭の中で再生されたボクは悪くないと思う。
しかし、ピンポイントでユノくんの弱点をつくヨイくんって……。
「ヨイくん、そこは暗いのかな?」
「うん、うん! まっくら、まっくら! うふふー」
「……もしかして?」
ボクは排水口の蓋を取って、中を覗き込んだ。
「……」
「みつかったー、みつかっちゃったー!」
そこには、少し薄汚れた黄緑色の物体が、一寸の狂いも無く見事にはまっていた。
……というか、「みつかっちゃった」って、かくれんぼではないのだからね。主旨が変わっていないかい?
思わずつっこみながら、ボクはヨイくんを引っ張った。
「みょーん、みょーん! のびるのびるー。きゃー、きゃーっ!」
説明するまでもなく、ヨイくんが言っている通りの事態が起こっている。
……いやー、頬の時も思ったけど、良く伸びるね。
茹でたての餅みたいに伸びるお陰で、なかなか出て来ないのだけど……。
見つけてからの救出の方が難しい、だと?
「ユノくん、手伝ってくれないかな?」
「……」
うーん、やっぱり駄目か……。
【炎転。燃え盛る炎、我に宿りて強化せよ。……身体強化】
ボクは、ユノくんを諦めて魔術に頼ることにした。
「……せいっ」
ボクは気合の掛け声と共に、ヨイくんを引っ張った。
――スッポーン
小気味良い音と共に吹っ飛んだヨイくんは、
「ぶべっ」
ユノくんの顔面に直撃した。




