お見舞い
お久しぶりです。こんなに更新しないつもりは無かったのですが、他の小説の締め切りなどと重なってしまった結果がこれです。
……次話は今回ほど空けないで更新できるよう頑張ります。
ボクは自宅謹慎の間、暇をもて余していた。
一度隊長には公園に行ってもらい、友里音ちゃんに「謹慎が解けたら会いに行く」と説明してもらっておいたので心配はいらない。気にすることがないからこそ、折角の休みなのに布団とお友達にならなくてはいけないのが面白くない。
……どうせなら、魔術の研究でもしたかったのに。
最近は仕事が楽しくて予定を詰めすぎていたため、こんな長期休暇は久しぶりなのだ。そして、これだけの暇があれば自分の魔術を極めたいと思うのが魔術師の性というものだ。
だけど、久方ぶりの休暇は、隊長(と書いて鶴と読む)の一声で本当にただの休みになった。
隊長の決定に異を唱えるつもりなど毛頭無いけど、やはり少し不満は残るというものだ。
……友里音ちゃんはどうしているかな?
他にすることが無いので、思考は自然にそちらへと流れていく。
あの時はそれしか思いつかなかったとはいえ、やはり目の前で怪我をしてしまったのは良くなかった……と思う。
他にも、何か方法があったのではないかな?
思考がぐるぐると堂々巡りになった時、誰かが部屋の扉を叩く音が響いた。
「……どうぞー」
態々ボクの部屋に来る人物などたかが知れているのでおざなりに返事をした。
「大人しくしていたか?」
「あれ、隊長?」
「……なんだ、俺が来たら不味かったか?」
思わず呟くと、それを聞きつけた隊長は少し不満そうに言ってきた。ボクは慌てて弁明する。
「いや、だってさ、「明日は仕事が入っているから来られない」って昨日言っていたよね?」
隊長の機嫌を損ねると面倒なんだ。
にやにや笑いながら謝るまで地味な嫌がらせを続けるんだよね。しかも、無駄に器用だから関係ない人の前では普通の笑みしか浮かべないこともあって、他の人には嫌がらせがバレないというね。
……嫌がらせの対象になっている人からすれば、その爽やかな笑顔が一番怖いのだけど。
基本的に理不尽なことではその嫌がらせは発動しないけど、今回はボクに既に過失があるからその限りではない。
愛故だとは思うけど、以上がボクたちが隊長の機嫌を損ねたくない理由だ。
ボクは、どきどきとしながら隊長の判決を待つ。
「あ? そういやそうだったか。……親父から休みをもぎ取ってきた。どうだ、凄いだろ?」
「ほう。……それは凄いね。どうやったの?」
隊長のお父さんである本部長は、仕事人間として有名だ。自分も余程のことでない限り休まないかわりに、部下達にもなかなか休みをくれない。
勿論、本部長が休憩を必要と判断した場合には速やかに休まないと、こってりと絞られるけど。そのあたりは、本当に隊長にそっくりだ。
だからこそ、他人の見舞いなんて用事に彼が休みの許可を出すとは思えなかったのだ。
ボクの疑問に対し、隊長は得意そうな表情になった。
「癒織の見舞いだって言ったらすぐに許可は出たぞ。……寧ろ自分が行きたいと駄々をこねる親父を黙らせる方が面倒だったくらいだ」
「? ……ええと、お疲れ様?」
後半はぼそぼそと言っていたので聞き取れなかったけど、隊長が疲れているようだったので労わっておいた。




