家庭訪問 *9(岸原 友里音)
とうとう百話です!(^ω^*)
結局、現代組が出ないことに耐えられなかったので、後半で視点が変わります。時間軸的に少し分かりにくいかもしれないので、ご注意下さい。
部屋に戻ると、あたしの願いも虚しく……というか、案の定お兄様が癒織に絡んでいて溜息を押し殺すのに少し手間取った。
何とかお兄様を追い払ったは良いが、今度は癒織から質問攻めにあった。
……余計なことを。お兄様、恨むの。
結局全て答える羽目になって、しかも、癒織にあたしの考えを言い当てられた時は無性に恥ずかしさを覚えた。思えば、他人に自分の思いを此処まで打ち明けたのは初めてかもしれない。
妙な気恥ずかしさ毎飲み込んでしまおうと、少し放置されていたお茶に手を伸ばした。程好く温度が下がっていたので、猫舌気味のあたしでも美味しく飲めそうだ。
その時、癒織の表情が微かに険しくなったことにあたしは気付かなかった。
この時に気付いて飲むのを止めていたら、あんなことにはならなかったのに。
あたしは、癒織の動きを視認することが出来なかった。
何度か魔術を使うところは見せてもらったことがあったけど、あれは全然本気ではなかったということが漠然と理解できた。
はっと我に返って自分の手元を見ると、既にコップの姿はなくなっていた。
そのコップはテーブルの上に何事も無かったかのように乗っていて、あたしは一瞬何も起こっていなかったのではないかと錯覚した。
その時、先ほどの癒織の様子がふと脳裏を過ぎった。
どうして忘れていられたのかというのは、脳の処理が追いつかなかったからとしか言えない。
慌てて癒織を捜したあたしの視界に映り込んできたのは、白い塊だった。
「……え?」
癒織を心配する気持ちより先に出たのは、そんな呟きだった。でも、その隙間から火傷のような表現しがたいものが覗いていることに気付いた瞬間、あたしは悲鳴を上げた。
良く見なくても、分かってしまった。
あたしの最初の使用人が居なくなった時も似たようなものを見ていたから。恐らく、酸かなにかだと思う。
あたしが記憶を辿っている間にその白い塊は、ふっと掻き消えてしまった。
そのあとには、一枚の白い羽が落ちているだけだった。
「……良いなぁ」
無意識に呟いた言葉は、あたしの耳にすら届かずに空気に溶けた。
*Side:星砂 癒織
ボクは、お茶を啜りながら二人が話を理解するまで待つことにした。
流石に、一度に話し過ぎたかもしれない。
「……ええと、まだ話は続くんスよね?」
「うん、そうだよ。……どうかしたのかい?」
「いやあ、ここで切るってどういう神経してるんスか……」
「んー? ボクは話し上手って定評があるんだけど……」
「確かに、気になるッスけど。何か納得いかないッス」
ユノくんとのんびりおしゃべりに興じていると、ひーちゃんが「そういえば」と口を開いた。
「まだ名前のことについての説明が無いわよね。さっきは、びっくりしたのよ。……勿論、嬉しくてという意味よ」
「あ、それはオイラも気になっていたッス! オイラももちろん嬉しかったッスよ!!」
ひーちゃんに続いて全力の笑顔で言ったユノくんに、不覚にも和んでしまった。
……今しているのは、そんなに明るい話では無かった筈なのだけど。
思わず、心の中で突っ込んでしまった。
二人とも優しい笑顔でボクを見守ってくれているのを見て、ボクは顔が赤くなっていないか心配になりながら咳払いを一つした。
途端に、二人とも再び聞く体勢になった。
……異世界に来てこんなに良い人たちと出会えたボクは、きっと凄く幸せ者だね。




