表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師の異世界召喚  作者: かっぱまき
日本にて
1/109

プロローグ

「俺ら、友達だろっ!?」


 目の前に立った少年が、悲痛な表情で訴えてきた。

 ボクがため息を吐くと、彼は期待するような視線を向けてくる。


 ――嗚呼、吐き気がする。どれだけおめでたい頭なのだろうか。


 まあ、この期待の眼差しは、今までのボクの行いが原因なのかもしれないが。もしそうなら、その甘い考えをボクがばっさりと切り捨ててあげるべきなのだろう。


 ボクは、今まで彼にむけたことのない一番の笑顔を顔にはりつけて言った。


「そうだったら、どんなに良かっただろうね」


 ……キミにとっては、だけど。


 ボクの笑顔を見て安心しきっていた彼の表情が、歪んだ。

 ボクが言ったことを理解するのを拒んでいるのだろう。


「彼を牢に」


 彼が口を開く前に、ボクは言った。

 ボクの言葉を聞いて、周りにいた船員たちが動いて彼を連れて行った。

 その場に残った人たちは、「知り合いなのではないのか?」という表情でボクを少し心配そうに見てきた。

 それに対して、ボクは軽く頷くだけにとどめて部屋に戻った。



 ボクのために空けてもらった質素な部屋を見回した。

 白を基調とした無駄のない家具を視界に納めて、漸く少し落ち着いた。


 思えば、ここに来てからまだ三月ほどしか経っていないんだよね。

随分長く……それこそ、年単位で居るような気持ちになっていたけど、全く代わらない彼の態度から思い知らされた。


 椅子に座り手帳を開いてから、この件の原因である先ほどの少年を思い浮かべて言った。


 ――ボクは、キミが大嫌いだったよ。


 この呟きは、誰にも聞かれることなく海に溶けた。



 流石に短すぎるので、後でもう一話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ