百物語3
「零時。零の数字が霊を髣髴とさせるから生まれた怪談。駄洒落に近い。四を死と連想させるのと同じ。あるいは日付の変わり目が不思議なことを呼び起こすことを髣髴させた。境界線。彼岸」
隼人の怖い話の後、五月が言った。
「怖い話のパターンは大きく分けて連想と境界の二つのファクターに結びつく」
「白川解説ありがとう。でもそういうのって雰囲気が壊れてしまわないかな」
隼人がぼやく。
「でも、とても怖かったから」
怖いんかい。達昭は思わずつっこんだ。だからといって五月の表情が変わることはなかった。本当に何を考えているかわからない。
「あーつまり、説明付けることで心を落ち着かせようとしてたんだね。あるよね」
沙紀が言う。
「そういえば、隼人君、この前人魂見たときあれはプラズマなんだって叫んでた」
「いやいや、プラズマだから。すべての超常現象は科学で証明出来るから」
「だったら、なんでこんなことやろうって言い出したの。怖いのでしょ?」
桃奈は隼人を見つめる。
「ばか、そんなんじゃねえよ」
「でも、五月でも怖いことあるんだね。てっきりそういうの全然平気だと思ってた」
「日付って人間が考え出した概念でしかないのに、それがもとで自然がざわつくのって恐ろしい。まるで自然すらもコントロールできるんだって思いあがっているようで」
今日は失敗かもしれないぞ。達昭が隼人と桃奈、沙紀の三人とアイコンタクトを取った。
我々は百物語を続ける。
「じゃあ、次は誰の番だ?」
「それでは不肖、私が一つ」
沙紀が話を始めた。
「人の降る橋。それは河川敷に建てられた何の変哲もない石橋で・・・」
沙紀は不適に笑みを零した。桃奈の表情がひきつった。
「桃奈、どうした?」
「ちょっと、寒くなってきちゃった」
寒くなってきちゃった?
達昭は桃奈をじっと見る。いよいよ霊が出てきたのだろうか。隼人に目線を送ったが、彼は沙紀の話に夢中だった。沙紀はお構いなしという感じで話を続けた。
もっと内容を膨らませたいのですがねえ・・・