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卒業前の包茎手術

作者: kodomozurumuke

現実としてこうであって欲しいなという私の願望が強く込められた小説です。

 昔から真性包茎は保険医療の対象となっている。病気として認定されている証拠だ。一方、仮性包茎は保険医療の対象外で自由診療となる。20☓☓年、期間限定で仮性包茎の手術に保険が適用され、安価で手術を受けることが可能になった。導入された背景はいくつかあるが、主たる理由としてはエイズに感染するリスクを大いに下げることができるという科学的データが実証されたこと、思春期に過度の自慰行為を行い身体発達や学業への悪影響を避けること、性の低年齢化にブレーキをかける一助となること、などがあげられる。適用されるのは


A:小学6年生の3月1日~4月1日

B:中学3年生の3月1日~4月1日



の2回である。この期間、手術申込み書に保護者が捺印をして提出し、医師が認めれば保険適用で手術が行われる。個人の負担は1万円程度に抑えられるため、利用者も少なくない。本人の署名欄はないので、保護者が捺印すれば子どもたちに拒否権はない。手術適用はAが「容易に包皮をむくことができない」「包皮の余りが1cm以上ある」「包皮が長く今後の改善が期待できないもの」となっている。そしてBは「包皮が亀頭の半分以上を覆っているもの」「その他医師が適用と判断したもの」となっている。これからわかるように、医師の裁量による部分が大きく、医師が必要と判断すれば大抵は認められる。中には小学生ですでに亀頭が半分近く出ているのにもかかわらず手術を希望する親もいるが、そこまでの状態であるとさすがに「手術不要」と判断される。



 小学6年生の男子児童は卒業を間近に控えた2月、保護者と共に説明会にのぞむ。手術適用が説明され家に帰るとそれぞれ判断が下される。子どもの考えに任せてくれる家、親の方針で手術を受けさせない家もある。あるいはパンツを下ろさせ親がチェックをして判断する場合もある。思春期の少年達にとっては親に性器をじっくり監察されるのはかなり拷問である。結局、手術を受けることになるのは5人~6人に1人程度である。手術は学校ごとに日時が指定され、引率の教諭と共にバスで近くの病院に向かう。今回は手術を受けない仲間や女子の視線が痛い。中山健太くんはそこまで包皮が余っているわけでもなく容易にむくことができるが、包茎をよしと考えない両親が泣きじゃくる健太に構わず申込みをしてしまった。容易にむくことができるが包皮が長すぎるということで手術を受けさせられる田中裕也くんはバスに乗る段階で既に泣いていた。小学生であるから、自ら手術を希望する者などほとんどいない。親に説得されたか強制された子がほとんどである。病院で診察を受けた後、手術台に寝かされ、局所麻酔の注射を性器に打ち込まれ、余分な包皮が取り除かれる。麻酔が切れるとやはり痛い。何より完全露出した自らの性器をみて、ショックを受けてしまう。その性器に、よくしみる消毒を何回も行い、約2週間後に学校を訪れた医師によって術後を確認される。




 中学3年生の男子生徒も同じように保護者同伴の説明会が行われる。本来なら性について親と話すだけで恥ずかしい年頃である。まして説明会に参加している半分は母親であり、女性にこの話題を触れられるだけでも嫌だというのが本心である。母親達はそんな息子の心境を鑑みることもなく、説明する医師へと質問をするなどしている。基本的にこの時点で包皮が被っていれば手術の対象となる。この制度が導入になるまで、中学3年生の包茎率は80%程度といわれていたが、小学生のうちに重度の包茎が手術されることや手術を回避したい少年達が一生懸命剥くことにより、30%程度に減少している。つまりこの時点でまだ被っているのは少数派の負け組なのである。それでも手術を嫌がり、それを認める家もある。手術を嫌がってもむけていないことを許さない家もあり、中学生ともなれば自ら希望するケースも多い。義務教育と共に包茎も卒業するのだ。中学生は学校単位ではなく各自で日時を決め、手術を申し込む。この日は公欠扱いとなる。病院には色々な学校から手術を受けにきた少年達がいる。場所が場所だけに、やはり緊張した顔をしている少年が多い。中学3年生ともなれば陰毛は相当生えそろっているが、手術前は原則剃毛を行う。小学生の時のようなつるつるの性器が露わになり、竿を覆っていた包皮がメスで切り取られていく。少年達は義務教育と共に包茎を卒業し、社会へと羽ばたいていく。麻酔注射の痛みや消毒の痛みは大人になるための通過儀礼である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 内容が予想と違って 真面目なものだったので その点でまず驚きました。 包茎を治すことの口実 「エイズに感染するリスクを下げる」 を用意していたのが 個人的に最も印象的でした。 ただ不衛生で片…
[一言] 読んでたら急に痛くなりました。 でも、面白い発想だと思います。
[良い点] 制度の設定が妥当で、また描写が具体的で、本当に近い将来実現してくれるのではないかと期待してしまうくらいでした。 [気になる点] 個人的には、小学卒業の時点で手術を行うのは少し早すぎる気はし…
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