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銀河鉄道の夜

挿絵(By みてみん)


 少し話は遡り、旅行に行く前の話。

 『賢治が夢見た遥かなる宇宙へ、カムパネルラ号で行く「銀河鉄道の夜」を巡るツアー』というモノを29日の夜に行く為に申し込みました。初日にしたのは、天気予報の様子で一番雨を避けれそうだったから。

 すると旅行会社からメールが帰ってきました。

『この度は弊社主催ツアーへお申込みいただき誠にありがとうございます。

花巻温泉はここ数日暖かさで桜も見ごろになってまいりました。

スタッフ一同(桜も)白い黒猫様のおこしをお待ちしております』

 行く前から、ホンワカと幸せな気持ちにしてくれるメールって素敵ですよね。


挿絵(By みてみん)


 旅で楽しむべきは何か? その土地にある名所・旧跡? 自然? 郷土料理? それもありますが、その土地の人との交流というのも楽しむべきモノの一つですよね。今回の花巻は土地の人の味のある対話にホッコリと幸せな気持ちになせてくれた事の多い旅でした。その一つがこのツアー。


挿絵(By みてみん)


 このツアーも一応売りは『銀河鉄道の夜』のような世界を体感するというモノ。花巻温泉郷の各ホテルにカムパネルラ号というバスがお迎えに来て、宮沢賢治童話村の入口銀河ステーションから入り童話村の芝生に寝ころび満点の夜空を眺め、そのあとその夜空の下でライトアップされた眼鏡橋の上を電車が走っていく様子を眺め、銀河地球鉄道壁画を楽しみ帰るというもの。


挿絵(By みてみん)


あえて車内の電気を消したバスが満点の星空の下、明かりも少なく暗い夜道を走っていく。まさに童話の世界そのものの光景を体現できる筈でした。しかしこの日は曇天で童話村ではなく、花巻駅前のなはん広場でアニメーション上映に変更になってしまうなど、そういう意味では残念な結果になったツアーでした。しかし星空がなくてもこのツアーに参加した事が、この旅行においても大きな意味を感じた時間でした。というのは裏名物がもう一つこのツアーにはあったようです。

 まずこのバスが木製でなんとも味わいのあるレトロで素敵。乗車した途端に木の良い香りに包まれて癒される感じです。そしてこのバスもう一つ素敵だったのが運転手さん。初老の細身の男性が正装して運転手を務めてくださったのですが、この方がまた素敵な岩手弁を話される味わいのある人物。昼間はタクシー運転手をされているという事で岩手の事に詳しい事詳しい事。星空が楽しめなくて申し訳ないと言いながら宮沢賢治の事、花巻という土地の歴史、街のお祭りの話、抱負な話題で私たちに語り続けくれました。退屈なんてする暇もなく楽しくほっこりとしたひと時を過ごせました。またそんな方の語られる震災の時の体験は心にズンと響いてくるものがありました。

この土地に暮らし続けていた人ならではの言葉、体験の生の伝承、それこそが旅しなければ得られない貴重な時間ともいうべき事ですよね。岩手の方は、穏やかで温かい人が多いのか、遠野の博物館の受付の方に話を聞いた時、雨宿りに逃げ込んだ花巻文化会館においても、『あら~神奈川からおいでなすったんか~。そりゃよう来なすった』とか言いながら花巻を楽しんでもらえたかを気遣ってくださり、『最高に楽しめた』と伝えると本当に嬉しそうな顔をして、最後本当に温かい笑顔で送り出してくれるんですよね。それが有名観光地にありがちの事務的な感じではなく、地で接してくれて普通に話をしてくれる方が多いのが印象的でした。もしかしてこういったふれあいがまったくなかったら、この岩手旅行の楽しさって半分以下だったかもしれません。


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