1話 面接
よろしくお願いします
サイトウ カズキの部屋
カズキ「うーむ、アニメも消化してしまったし、やることがないなぁ、寝るか」
母「カズキー、ちょっときなさーい」
カズキ「……チッ」
1階・リビング
カズキ「なに?」
母「なにじゃないよ、あんてこれ見てみなさい」
カズキ「えーどれどれ? なにこれ、簡単お小遣い稼ぎ! 誰でも出来ます……?」
母「あんたにぴったりじゃないの、この仕事何もしなくていいらしいから」
カズキ「なにもしなくていいって……怪しいじゃないか」
母「何言ってんの、高校出て働いてないやつが」
カズキ「でも」
母「でもじゃないよ、ほら、面接だけでも行きなさい」
カズキ「……」
母「い き な さ い!」
カズキ「……わかったよ」
市内・サッカー場
審判「ピピィイー!! 試合終了!」
ケイスケ「ふぅ、勝ったな!」
モブオ「ああ、ヤマダさんのおかげだよ! 全くすごいやつだ」
ケイスケ「いやいや、大したことないよ」
ケイスケ「さて、と」
ヨコタ ユカの部屋
ユカ「どうしよう、お店に入って一カ月……全然売れないわ」
ユカ「うーん……このバイト……怪しいけど、やってみようかなぁ……面接の時詳しく聞けるだろうし、よさそうだったらやろう」
ユカ「はぁ……」
面接日当日
怪しいマンション 6階
カズキ「(地図にはここって書いてあるけど…………)」
カズキ「(あ、美人がいる……たまには外に出るものいいなぁ)」
ユカ「(なによここ、まさか本当にここじゃないでしょうねぇ)」
ユカ「(なによこのデブ、ちらちらこっち見て……気持ちが悪いなぁ)」
ケイスケ「ふう、ここかな? ん? 君たちは……?」
カズキ「あ、あの……」
ケイスケ「もしかして、今日面接だって呼ばれた人たちですか?」
ユカ「そうなんですー」
ユカ「(きゃー、イケメンじゃないの、ラッキー! こんな人と一緒に働きたいわぁ)」
カズキ「皆さんも、めめ、面接なんでしょうか?」
ケイスケ「そうだよ」
ユカ「……」
ケイスケ「とりあえず、部屋に入ってみよう、確かここだったよね」
コンコン、とスポーツマンが返事を待たずにノックをした。
???「はいー、あ、もしかして面接の方たち~? よかった~こないかと思ってた」
スポーツマン「はい、遅れてすみません、後ろの彼らも一緒です」
???「勢揃いってわけね~それじゃ、奥に入って入って~」
毛玉だらけの上下スウェットを着た50代ほどの男に案内される。
外見の割に部屋の中は綺麗だ。むしろ、何も家具が置いていなく、面接用の長テーブルと、その向かいに椅子が置いてあるだけのワンルームだ。
ケイスケ「失礼します」
ユカ「失礼します」
カズキ「し、失礼します」
左から、カズキ、ユカ、ケイスケと並んだ。
???「えー本日は面接官を務めさせていただきます、ヨシダと申します、よろしく。軽く自己紹介したら勝手に座っていいから、あなたからどうぞ」
左に座っているカズキへと指される。
カズキ「あ、えーっと、サイトウ カズキです……〇〇高等学校を卒業しました、趣味は……えーっと……」
ヨシダ「あ、もう結構ですよ、お座りください」
カズキ「あっ……はい、すみません」
顔を真っ赤にして座る
ユカ「はい、ヨコタ ユカと申します、本日はよろしくお願いします」
端的に言って、ユカは座る。
ケイスケ「はい、××大学より参りました、ヤマダケイスケと申します! 本日は面接の方よろしくお願いします!」
元気に言い切り、ケイスケは座る。
ヨシダ「はいはぁーい、皆さん素晴らしいですね~、それじゃあ面接の方を終了します。あなたたちの残りの寿命と、それに準じたお金をあげますので、こちらの書類に、あなたたちの寿命と金額が明記されていますのでーお渡ししますねー」
ユカ「はぁ!? 寿命!? 何言ってるの!? 私たちは、バイトをしに……」
ヨシダ「立派なお仕事よ? おそらくあなたたちの家に届いた求人票を見てここに来たんだと思うけどねぇ、あなたたちは要するに……選ばれたのよ」