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墓参り

「早めにここから逃げるぜ。さっきまではバカみたいな魔力にビビってた獣が、血の匂いに誘われて寄ってくる」


 ミクツが爺やの死体を抱きかかえた。


「立派な剣士だった」


 その顔には哀愁が漂っている。


「近くの街に向かいましょう。きっと埋葬もしてくれるはずです」




「爺や……」


「爺や!爺や!」


 爺やの埋葬が終わった。


 街の外れにある墓に、埋め終わった。


 そこにはたくさんの人が来ていて、皆が爺やの死を悼んでいる。


 泣いている人も少なくなかった。


「その剣……どうしたんですか?」


 埋葬に来ていた鍛冶屋がミクツに聞く。


「ジジィが守ってた偽物の聖剣だ」


「偽物の聖剣……よかったら、私が鞘を作りましょうか?」


「あぁ、頼むよ」


 ミクツが鍛冶屋に剣を手渡す。


「これが爺やの……」


 鍛冶屋は微かに笑い、


「そういえば、そんな話もあったっけ」


 と、一筋の涙をこぼした。


 数日後。


 僕たちは、町を出た。




「あ」


 ジンが声を出す。


「悪ぃ。ちょっと寄り道してもらってもいいか?」


 草原を歩いている最中。


 ジンが、そのような提案をしてきた。


「いいですよ。どこに行きたいんですか?」


「この近くに俺の家族の墓があるんだ。手でも合わせに行こうと思ってな」


 ジンが言う。


「分かりました。道案内お願いします」


「おう。こっちだぜ」


 そして、僕たちはジンの故郷である村へ向かうことになった。




「久しぶりだな。村長」


「久しいのぅジン。また少しデカくなったか?」


 村長の家の中。


 ジンと村長が握手をした。


「年齢的に前来たと身長は変わらねぇよ」


「そうか……隣の嬢ちゃんは娘か?」


「私は大人だ」


「そうか……大きくなったな。ジン」

 村長は同じようなことを繰り返している。もうかなりの年だろうし、耄碌としているのかもしれない。


「ジンよ。この村の周辺は最近魔物が多いからな。気を付けてくれ」


「墓参りのついでに魔物退治もしてやろうか?」


「最近は魔物が多いからなぁ。気を付けてくれよ」


「……そうか。じゃあ、行ってくるぜ」


 ジンが村長の家を出た。




 ジンの家族の墓への道中。


「魔物だ」


 僕たちの視界に映ったのは、竜の形をした巨大な魔物。


 黒く、額から角を生やしている。


「竜か……面倒くせぇ」


「戦いますよ」


 竜型の魔族との戦闘が始まった。




「流石竜。山の主とは比べ物にならないくらい強かったぜ」


「疲れたねー」


 魔物の強さは魔物の姿によって変わる。


 虫の魔物は虫と同じような強さだし、竜の魔物の強さは竜と同じだ。


「でも、そろそろ見えてく……」


 ジンが駆け足になった。


 僕たちもジンについていくように走った。


 視界に映ったのは、掘り返されて骨一つも残っていない墓。

 墓石だけが壊れ、倒されていた。


「あの村はもう何十年も前は結構デカい村でな。ここら辺に教会があったんだ。もう取り壊されてて俺は見たこともないが、墓はここに作るっていう習慣があった」


 ジンが跪き、祈るように手を合わせる。


 アルテも同じようにした。


「意味あるの?それ」


 ミクツの問いに、


「意味はあるぜ。これをやると、家族を思い出せる。最悪な気分だ」


 とジンは答え、


「アルテは?」


「……仕事」


 と、アルテは答えた。


 変わった二人だ。


 しかし、僕は親しい人が死んだことがないから、分からない感情である。


 でも……ジンにとっては大切な人だったのだろう。


 僕はジンの隣に座る。


「僕が死んだら手を合わせに来てくださいね」


「きっとお前は長生きするぜ。俺の勘はよく当たるんだ」


 そして、しばらく形だけ手を合わせた。


「そろそろ行くか。悪いな俺の都合に付き合わせて」


 ジンが立ち上がる。


 そして、次の目的地である東の国の関所へ向かうことにした。

最後まで読んで下さりありがとうございました!


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