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セシル・ローズ曰く【可能なら惑星をも併合したい】

プロローグ

『神は世界地図がより多く英国領に塗られることを望んでおられる。

私は【可能なら惑星をも併合したい】』


英国領ケープ植民地の政治家「セシル・ローズ」は自らの著書でこう述べた。


近代――

それは帝国主義が世界を支配していた時代。

屈指の国力と軍事力を持つ「七大列強」が世界を巻き込んだ勢力争いを繰り返した時代。


この言葉はそんな悪名高い時代を鮮明に表す比喩として深く歴史に刻まれていた。


やがて、そんな言葉が教科書から消え、忘れ去れ、膨大な歴史に埋もれ、人々から帝国主義への恐怖が失われ数千年経った頃、人類は地球を捨てた。


度重なる大戦争、止まらない温暖化、終わりなき消費。

大気は濁り、大海は死に、大地は毒に侵され、

地球はもはや人類の故郷ではなくなっていた。


それでも人類はまだ死にたくなかったのだろう。

人は生き延びるため、

その目を広大な空――宇宙に向けた。


歴史を振り返ればそれは必然と言っていい。

ユダヤ人のバビロン捕囚、ゲルマン民族の大移動、アイルランド大飢饉によるアメリカ移住……

あの時から何も変わっていないのだから。


探検隊が組織され、

巨大移民船団が地球を離れ、

コロニーが建設され、

遠い恒星系に新たな「生活圏」が広がっていく。


だが、生存競争はすぐに別の形を取る。


限られた居住可能惑星。

限られた資源。

限られた航路と利権。


国家は再び力を求め、

惑星一つ一つを自国領土とする思想――「惑星国家主義」が主流となった。

“世界”はもはや一つの星ではない。

無数の惑星が奪い合う対象となった。


時は紀元一万千三百六年、英弘(えいこう)八十九年、西暦10788年…


地球は遥か過去の記録の中にのみ存在する。

青かったあの星はもはや帰る場所ではない。


技術は進歩した。

だが、人の心は変わらなかった。


新たな資源を。

新たな領土を。

新たな支配を。


帝国主義の悪夢は数千年の時から蘇り宇宙に権限する。


一人の惑星植民地の政治家は歴史上のある人物の言葉を借りてこう言った。


【可能なら宇宙をも併合したい】


歴史は“今日”も繰り返す……

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