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野菜別!適した肥料ってな~んぞ?

おかげさまで、2度目の連載も無事に最終回を迎えることができた。


「家庭菜園を始めたいあなたへ」を書いていた時も日々のPV数には心底驚いていたのだが、おまけ編である「肥料ってな~んぞ?」のPV数にも現在進行系でたまげて目玉が飛び出す思いだ。肥料の話で1日50PV超えているなど信じられない。スマホを片手にすげぇ……とひとりごちたのが昨日の朝だ。


今回もお読みいただいた皆様に心から感謝申し上げたい。決してプロのように分かりやすくはない書き方だった、それでも読んでいただけたならそんなに嬉しいことはないし、もしも参考になったということがあれば、百姓としてもありがたいことこの上ない。皆様、ほんとうにありがとうございます。


連載の最後として、これまでに述べてきたいろいろな肥料を、家庭菜園で作ることの多い野菜と合わせながら紹介したいと思う。各ご家庭で使う土や、畑の特性によって少しずつ使う肥料や量も変わる。これから書くことがすべてではないが、おおよその傾向としては外さぬように書くつもりだ。それでは始めていこう。


まず、大抵の人が一度は家庭菜園で作るトマト・ミニトマトから。

これはわりと分かりやすいし失敗しにくい。トマトとミニトマトは、もとは南アメリカ、アンデスの乏しい土と岩だらけの山の中腹で生まれた植物だ。

だから、豊かな土はトマトには必要ない。つまり、肥料の三要素で言うなら、窒素肥料は少なくていいのだ。

逆に、実のなる野菜なので、花を咲かせて実をつけるリン酸は他の植物よりも多めに必要とする。カリウムも躍起になって施すほどではないが、少しおまじない程度にくれてやれば夏の炎天下からのダメージ回復が少し早くなるだろう。


というわけで、トマトにおすすめの肥料を紹介する。

苗が小さいうちは花が咲くまでは肥料をあげるのは我慢しよう。あとで背丈がとんでもないことになる。最初の花が咲いた瞬間から肥料をあげ始める。即効性を求めるなら液肥だ。なんの植物にも使えるタイプのものを、説明書どおりに薄めてまく。2日ほど経つと俄然元気になってくるはずだ。私のお勧めは花工場という商品名のもの。割高だがトマトの欲しがるリン酸が多めに含まれていてトマトから見ると素晴らしいバランスだ。


トマトは収穫時期が長く、緩効性肥料を株元に置いてあげてもいい。その場合、お薦めできるのはふたつある。

まず、鶏糞ペレット。そのままではニオイの強い鶏糞をぎゅっと圧縮して使いやすくしたもの。これは成分を考えて悶々とすることはない。ただ60グラム程度(手で軽くひとつかみ)を株元にそっと置いてやるだけだ。肥料の三要素としてもとてもトマト好みの良いバランスで、すこしリン酸多めなのがちょうどハマる。安いのもうれしい。

有機肥料と化学肥料の合成肥料なら、以前話したことのある花用の肥料をあげよう。これも50g程度を株元にそっとパラパラ置くだけ。花用肥料はリン酸多めなのでちょうどトマトにも適するのだ。


それからひとつ注意。トマトにはごく稀に、カルシウムが足りないことを示す病気が出る。人間なら野菜不足で肌が荒れてくることと同じようなものだ。

ふつうカルシウムが足りなくなることはそうないが、カルシウムが足りないと果実のおしりの部分から特徴的なへこみを伴う腐れが出てくる。めったにはないのだがそれを見つけたときには、スプーン1杯10g程度の苦土石灰(くどせっかい)か、牡蠣殻を砕いた有機石灰のどちらかをトマトに施してやるとよい。欠乏症なので石灰(カルシウム)を均一にまいてやるとすぐに治る。


夏の間の追肥は勢いが落ちたと思ったら行おう。特に暑い時期は、液肥のほうが水分補給にもなるためトマトの樹が長持ちする。おいしい秋トマトにバトンをつなぐためにも、トマトの夏バテは最小限に抑えたいところだ。


次にこちらも家庭菜園で人気の、ほうれん草。

「家庭菜園を始めたいあなたへ」でも出てきた小松菜と、栽培法はそうは変わらない。成長が早く、葉っぱが早めに育っていく植物だから、最初にプランターに入れる土に肥料を混ぜておこう。


肥料の三要素のなかでは最も窒素肥料を好む。リン酸はべつに花を咲かせるわけではないのでほぼ必要ない。


暇庭からのお勧めは、野菜培土になら先に鶏糞を混ぜてしまうこと。これが一番楽で安上がりかと思う。もちろんさっき出てきた液肥でも構わない。ちょっと専門的知識のある人は、尿素をあげてもいい。たちまち葉の色がぐっと濃くなるのがわかる。尿素が効いている証しだ。


あとはさっきの液肥。これもあげても特に問題はない。説明書どおりに薄めてあげればいい。


ただし、成長が大変遅く葉っぱが小さい時は、そもそも土が酸性に傾いていてほうれん草に適さない土になっている場合がある。

そんなときには苦土石灰も良いが、消石灰(しょうせっかい)のような強アルカリ性の肥料を施してやるとよい。消石灰だけは株元からすこし離して、ドーナツの輪のように株元とは離してくるりと10gを一周させてやる。そうすると、酸性だった土が中和されが収穫までずっとほうれん草によい土を用意できる。


これも家庭菜園で人気だという、にんじんもご紹介しよう。

にんじんは根っこを大きく育てる野菜なので、肥料三要素のなかでは比較的カリウムを欲する。

これについては他の植物では気にしなくても、にんじんに関してだけは、少しばかりカリウム肥料をくれてやる。雑草を燃やしたあと残った灰をあげてもいいし、カリウムを含んだ化成肥料をあげてもいい。8-8-8と言って窒素、リン酸、カリウムがそれぞれ含まれている化成肥料が代表的だ。これを5〜6株ごとに30グラムほどくれてやるのが適量かと思う。

ほかにも根菜専用肥料などというものもある。専用肥料になると窒素とリン酸の割合が少し下がる。にんじんに使う時は最初からピッタリ合った割合で成分が作られているので、それ1本で済むのが大変良いところだ。そして私が完全に思考停止で全植物向けの液肥をかけていても、問題なく普通に育つ。液肥は偉大だ……。



今回のおさらい


肥料はそれぞれ、作物にとって合う、合わないがあるため、なるべく合ったものを施してやろう。


ごく簡単なそれぞれの作物の傾向


トマト・ミニトマトなど実を収穫する野菜。

→リン酸を欲しがるのでリン酸やや多めに。鶏糞、液肥、など。


ほうれん草など葉っぱを収穫して食べる野菜。

→窒素をよく消費する。早めに収穫できる物が多いことも鑑みて、尿素をつかったり、鶏糞なら種をまく前に土に混ぜておくとよい。酸性が強い時は株の周りに一周消石灰をまくと酸性が中和して葉物に適した土になる。


にんじんなど根菜、根っこを食べる野菜。

→比較的カリウムをよく消費するので、草木灰や化成肥料の出番。根菜専用肥料でもよい。どうしてもカリウムだけの肥料が欲しければホームセンターなどで店員さんに聞いてみよう。意外とある。

最終回は肥料の作物に応じての使い方を書いた。

例外は多々あるが、だいたい傾向としてはこんな感じである。なんの肥料を使うかの参考になればうれしい。

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