決戦!月の女神
いきなりの最終決戦!
果たしてシュヴァルツブルクとヴィルヘルムは月の女神を倒して世界の平和を守ることができるのか!?
太陽神の力を奪い、自ら光を放つようになった月の上に三人は立つ。
空は黒く、星は無く、ただあるのは月のみの世界。
女神は白き光を放つ大翼を広げると、その光の中から金銀の武器を生み出し、自身の体を囲むように宙に展開した。
「バレてしまったのなら、仕方ありませんね。シュヴァルツブルク、ヴィルヘルム。貴方達は、初めから私に利用されていたのですよ」
月の女神は微笑んだ。
シュヴァルツブルクは、月の女神が放つ禍々しい光に気圧されることなく、毅然とした態度で、女神を見据えながら言った。
「そもそも私は最初から疑っていたんだ! だって、人のものを盗むのはいけないことだと母も言っていた!」
シュヴァルツブルクは、素直だった。
「女神よ、実を言うと私も疑っていた! なぜなら湖の中に住んでいる女神など神の中でも低級に違いないからだ!」
ヴィルヘルムは、偏見が強かった。
「ふふふ、だから言ったではありませんか。武器を集めていたのは神々と魔王軍の間で近いうちに決戦があるからで、湖に住んでいるように見えたのはあの湖が扉となっていたからだ、と。」
女神は、この期に及んでも微笑みを絶やさずに、丁寧に説明した。……額に青筋が浮かんでいる。
シュヴァルツブルクは納得しない。
「それは違う! 魔王軍は人類や神々と敵対してなどいなかった! 月の女神! お前の暗躍を止めるために行動していただけだったのを忘れたのか!」
「だから、それは私があなたたちを騙して……」
「ということは盗んだのは事実ではないか! それどころか騙しまで! なんて悪いやつなんだ!」
シュヴァルツブルクは激怒した。
「……間違ってはいませんが」
女神は声が少し小さくなった。
ヴィルヘルムが口を挟む。
「そうだ! 結局お前は神々の楽園から追放されていた! 私の勘は正しかったということだ!」
「あれは私の側から神々を見限って……」
「ではお前は神々から認められ、上級の神になれるというのか!」
「いや、そういう問題じゃ……そもそも彼等とは主義が違って……」
女神は声だけでなく、翼から放つ光まで弱くなってきた。
それを見たヴィルヘルムは自分の正しさを確信する。
「それみたことか! シュヴァルツブルク! お前のグレートアクスの敵討ちだ! 行くぞ!」
「おう!」
もう話すことはないとばかりにシュヴァルツブルクとヴィルヘルムは剣を抜いて女神に向かって駆け出した。
「あああああ、もう! 利用する相手間違えたぁ!」
女神は叫びながら両手に武器を生み出した。
戦いが、始まる……!(※始まりません)
期待させちゃったならごめんなさい。ギャグです。
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