表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
8/37

無駄な努力




 ザクロの正論ならぬ言い訳を黙って聞くシトロン。これだけ言えば何も言えまい、と心の底でふんぞり返るザクロ。すると、黙って聞いていたシトロンからため息が漏れた。


「はぁ……そうですか、残念です」



 気落ちさせてしまって申し訳ないとは思いつつも、これで自身の平穏な生活は保たれたと安堵が広がる。


「わかって頂けたようで嬉し」

「こちらとしては、どうしても薬師が必要でして」



 彼は人の言葉を遮る趣味でもあるのだろうか。



「と言いますのも、昨今、貴族の方々が薬師をお抱えになられるようになりまして。元々、成り手も少ない上に専業薬師という方はもっと少ないので、この迷宮都市から中級クラスの方々が出て行かれてしまったんです」


 なるほど、それでポーション不足なんて事案が発生したのか、と納得しつつ、自身の世情の疎さには多少なりとも反省する。

 セキの勧誘も、割と生活の掛かった本気の提案だったのだ。



「もちろん、我々も薬師を引き止める努力はしましたが、やはりそこは生活が掛かっていますからね。上級であればどこでも暮らしていけるでしょうが、今は上級の少ない時代です。中級で貴族に引っ張ってもらえるのなら、皆さんそちらに行きたがるのはどおりと言うものですよ」



 シトロンの話に耳を傾けながら、ん?と引っかかる。



「上級が少ない?」


 ザクロの母は上級だ。そしてザクロも上級。この迷宮都市に行けと母が言った時、母はこうも言っていた。


『迷宮都市は上級薬師が沢山いるから。ザクロ1人がポーション作るわけじゃないし、買い手も多い。店を出すならそこが一番よ!』


 まぁ、大通りの薬屋を見て、ポーションを作る必要無しと勝手に決めたのだが。

 だが、母は『上級薬師が沢山いる』と言っていた。その沢山の上級薬師はどこへ行った?



 聞いたら引き返せないと、頭の隅で訴える声がある。しかし、それ以上にこの疑問を解消したい気持ちが強い。ザクロは率直な質問をシトロンにぶつけてみることにした。



「あの、迷宮都市は上級薬師が多い地域じゃないんですか? そのように伺っていたのですが……」

「いえ? そもそも上級薬師になられる方自体が少ないですし、そういった方は教鞭をとっていらっしゃるか、研究室に篭りっきりの方が多いですからね。迷宮都市でもここ数年は上級薬師として働かれている方はいらっしゃいません」



 シトロンの言葉に、思わず口をあんぐりと開けてしまう。


 母よ、一体いつの時代の話をしてくれていたのか。


 ザクロの頭の中は大混乱だ。実家で母の手伝いをしながら過ごすだけで充分と思っていたが、母の一言でこの迷宮都市に来た。世界の広さを語る母の言葉にグラッと来てしまったあの時の自分が恨めしい。今からでもあの時に戻って、『ここで生きていく!』と力強く宣言したい。



 そんなザクロの混乱を他所に、シトロンは話を本筋に戻す。


「そんな訳でして、どうにか薬師を引き入れられないかと、縋る思いで薬師協会に連絡を入れたんです。そうしたらいるじゃないですか!上級薬師の方が!!



ねぇ、スプルースさん?」



 時戻りって魔法、どこかにないですか?





筆?が乗っているうちに書き進めたいところです。妄想よ、働け〜!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ