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薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
36/37

残り1週間




 あれから、休みを挟んで1週間ほど経った。

 店の内装は、基本セレスティンに任せている。前回のこともあってか、セレスティンが自分からザクロに意見を求めるようになり、良いところは良い、悪いところは悪いと伝えることにより、前よりも良い関係が構築出来ていると感じている。と言っても、ほとんど指摘する部分はないのだが。

 飾り付けも、甘くなっていたところが少し落ち着いて、観葉植物を置いたり、ところどころにシックな色合いを配したりと工夫してくれているようで、これなら男性客でも入りやすいと思う。


 まぁ、会計口にいるぬいぐるみはご愛嬌だ。




 前回の迷宮で採取した分の余りを使ってポーションを作成していたザクロであるが、大半は使い切ってしまっているので、早めに補充をしなくてはいけない。1人では潜れないという致命的な欠点があるので、前回一緒に潜ったドラバイトに再び頼むこととなった。

 ギルドを通して連絡を入れると、丁度空いているということだったため、明日から3日間、持てる分だけ採取することになっている。マジックバッグを新調するかどうか悩みどころではあるが、『過度な採取は生態系を壊す』との教え(by母)を守り、そこはブレーキを掛けた。




 ちなみに、ドラバイトからは「なぜ、直接連絡しないんだ?」と不思議がられた。




 おれもしようとしたさ。そっちの方が早いから。






 連絡先、知らなかったんだよ!!!






 2人とも前回のやり取りで交換した気になっており、いざ連絡をしようとした時に、交換していないことに気が付いた。

 自分も抜けているが、ドラバイトも存外抜けているようだ。一緒に潜った時は、護衛も兼ねていたので気を張り巡らせていたのだろう。見た目や言動も相まって、年齢を聞いた時は自分よりも若いことに驚いたものだ。でも、このやり取りから見えるドラバイトは年相応な気もして安心した。



 抜けているのは自分だけじゃないんだ……。よかった。




 迷宮に潜っている間、セレスティンのみの出勤となることを伝えると、少し不安そうな顔を見せたものの、内装や予め決めていた薬品の値札の作成などの細々としたことを頼むと、「頑張ります!」と意気込んでいた。すぐに、のんびりやるように声は掛けたが。


 意気込むのは良いのだが、いかんせん、彼女は猪突猛進なところがある。1人の時はストッパーがいないこともあり、不安が残る。

 安心して素材採集に専念したいところではあるので、マラヤに応援を頼んでおいた。時々様子を見に来てもらい、暴走しているようなら止めてくれと言ってある。ロードやザクロに対しては実力行使なところがあるが、セレスティンにはそうではない。それに、セレスティンとマラヤは付き合いも長いということなので、話しやすい間柄ならではの意見交換などもできるのではと考えての人選だった。

 セレスティンにもマラヤが来ることを伝えると、素直に喜んでいた。これで店の方は大方大丈夫だろう。







 約一ヶ月ぶりの迷宮探索の日となった。

 相変わらずドラバイトは予定時間よりも早く着いており、こちらの装備の薄さに小言を言うのを忘れない。ドラバイト曰く、もっと筋肉を付けて頑丈な鎧を身につけろ、とのことだが、そこら辺の一般人にとって、冒険者が身に付けるような鎧は重過ぎて襲われたら逃げられない。それに、今の自分に筋力を底上げする時間があるのなら、薬を作る時間に回した方がいいくらいだ。


 敵はドラバイト、採取はザクロ、と役割を分けておけば問題ないと告げると、納得していないと言う顔をされたが、「じゃあ、護衛に自信がないんだろ?」と挑発すると、「そんなことはない」と言って迷宮入り口に足を向けた。



 意外と乗せられやすいタチなのかもしれない。





 探索は順調に進み、前回よりも多くの素材を手にすることができた。ドラバイトもマジックバッグを持っていたので、お言葉に甘えて素材を持ってもらえたのも助かった。これでしばらくは素材が足りそうだ。




 営業再開まで後1週間。拙い人脈ではあるが、一人一人の持っている力のおかげで、なんとかここまで漕ぎ着けることができた。大変ではあるが、後悔のないよう準備をしていこうと、ザクロは自身に喝を入れて手を動かすのだった。




文章の進みが遅いと思って早くすると、とんでもなく軽い文章になってしまう。難しい……。

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