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薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
28/37

仕事明け




 ザクロが起きたのは、それから2日経ってからだった。

 本人の思っていた以上に、体も魔力も酷使されており、休息を求めていたようだ。

 起きて一番に感じたのは空腹で、頭痛や発熱などの症状が無いことに思わず安堵した。あんなことは二度とごめんだ。たとえ無理をしたとしても、ギリギリで自己管理が出来ていたのだろう。





 正直、寝る前の記憶は曖昧だ。ポーションを作り切ったのは覚えているが、その後はどうしたのか。



 ベッドから起き上がると、フラフラとその足を工房に向ける。片付いた作業台、無くなっている木箱……。



 少しずつ、記憶が蘇ってくる。


 確か、シトロンとマラヤが来て、色々やってくれていた気がする。思えば思うほど、謎の組み合わせだ。

 『ポーションを運んでいた』『あぁ、食事が冷蔵庫とか話していたな』など、断片的な記憶を拾い集め、ぼんやりした頭で自身の活動を開始した。



 マラヤが持ってきてくれた料理は、シンプルな焼き飯だった。普段であれば物足りなさを感じるが、久々の食事ということもあって丁度いい。

 ロードも自分と似たような性質を持った職人だ。だからだろう、必要な食事の形態がわかっている。

 その心遣いが、今のザクロにはとてもありがたい。



 落ち着いたら、一度、顔を見せに行かなくては。



 1時間ほど時間をかけて食事をし、椅子に座ってぼーっとする。

 作業期間は、とりあえず栄養を、という考えが優先しており、食事という食事はとっていなかった。そんなことをするくらいなら、作業時間に充てなくては、との焦りもあったのだろう。


 それが、こんなにのんびりと食事が出来ている。


 一ヶ月前であれば当たり前だったが、今はこのひと時がどれほど貴重な時間だったのか、と思わされる。


 あの頃は、ただただ楽がしたいという気持ちで、その時間を無駄に費やしていた。あれはあれで良かったが、やり切った後のこの時間は格別だ。安らぎが骨身に沁み入る。




「そういえば、薬草園……」



 ふと、作って間もない薬草園を思い出す。

 一応、ポーション作成時も様子を見に行ってはいたが、どうなっているだろう。


 薬草園を覗くと、問題なく育っていた。これで枯れていたら、一からやり直しだったので、ほっと一息つく。


 薬草園で育てている薬草は、どこでも育つような適応力の高いものだ。迷宮探索に行くこともあるので、世話ができない日もあることを考えて、自生力の高い種を選んでいたのが良かったようだ。



 安堵して店内工房に戻り、そのまま店舗スペースに足を向ける。同じ建物内にいたはずなのに、ずっと工房に篭っていたため、なんだか久しぶりに見る景色だ。

 辺りを見渡すと、ただでさえ広い店内は、商品棚も空っぽで寂しささえ感じさせる。



 その時、カウンターに置かれた紙が目に入った。



 近付いて手に取ると、シトロンからだ。『ギルドに連絡を』と短く書かれていた。



 そういえば、そんなことを言っていたような気がする。きっと、ザクロの様子を見て、話が頭に入っていないとわかっていたのだろう。見透かされていることを恥じるべきか、それとも素直に感謝するべきか。




 たくさん寝てぼーっとしていた頭も、少しずつ起き始めている。魔力もいつも通りに感じているので、特段問題は無いだろう。



 ザクロは、通話魔法を使ってギルドに連絡し、その日のうちにシトロンと会う約束を取り付けた。




あんまり上手に膨らませられませんでした……すいません。

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