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薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
22/37

対ウィンドホーク




 迷宮をさらに進んでいき、ようやく目的の階層へと辿り着いた。時折魔獣と出くわし、ドラバイトが討伐していく。素材に関してはザクロが鑑定をし、良いものや使える部分だけを採取していく。採取した素材は、とりあえずザクロのマジックバッグに入れておき、ポーションに必要な素材以外は後で分けることとなっている。




「そろそろウィンドホークの縄張りに入る」



 ドラバイトが呟くのを聞いて、ザクロは改めて魔物隠しの香を振りかける。念には念を、だ。足手纏いになるのはわかっているので、できるだけの自衛は必須である。ドラバイトはザクロの準備を待ちつつ、五感の全てを使って周囲を警戒していく。



 少しずつ風が強くなってきた。これは魔獣が近付いてくると起こる現象の一つで、冒険者は風の動きに敏感だ。ここの階層は木々が生い茂っており、風が吹くと木の葉の揺れる音がする。魔獣が動くと、木の葉とは違った物音がするため、それが合図となるのだ。

 ただ、残念ながらザクロにはイマイチそれがわからない。なんてったって、そこら辺のことは全くと言っていいほど教わらなかった。知らないことに疑問も持たなかったのだ。だって、「あんたは気にせず鑑定してなさい」と言われていたし、このまま一緒に生活するものだとばかり思っていたから。




「くる!」



 ドラバイトが一言そういうと、左側の木々が騒がしい。ザクロはすぐさま右側に寄り、自身の周囲の安全を確認すると身を潜めた。


 ザクロが身を潜めたと同時に、一羽の緑と白の羽根を持った鳥獣が現れた。これがウィンドホークだ。猛禽類らしい鋭い目と嘴を持ち、獲物と見定めたドラバイトに向かって雄叫びを上げている。ドラバイトは一歩も引いた様子はなく、剣を隙なく構えて対峙する。



 互いの睨み合いがどれだけ続いたのだろう。ザクロにとっては長く感じたが、おそらく1分も経っていないのだろう。同時に動き出し、ウィンドホークのかぎ爪とドラバイトの剣がぶつかる。力は拮抗しており、どちらも引かない。すると、先にウィンドホークの方が戦法を変えてきた。空高く飛び上がると、ドラバイトに向かって翼を一振りする。すると風を纏い、まるで刃のような鋭さを持った羽根が飛んでくる。ドラバイトは二、三歩下がって攻撃を卒なくかわす。そしてもう一度ウィンドホークが翼をはためかせようとする前に、ボール状のアイテムを投げつけた。


 すると、一瞬にしてウィンドホークの周りに黒い靄がかかる。投げつけたのは『目隠し玉』というアイテムで、少しの間目眩しとして使えるものだ。ウィンドホークは視界が奪われたことに混乱したのか、体をバサバサと動かしながら落下してくる。それに合わせ、ドラバイトは距離を詰めると剣戟を繰り出した。無防備なところに入った攻撃に、ウィンドホークはなす術もなく斃れた。




 ドラバイトが安全を確認し終えると、ザクロに向かって声を掛ける。



「もう出てきていいぞ」



 息一つ切れていないその様子に、冒険者の凄さを感じる。やはり自分には冒険者は向いていない。



「ドラバイトさん、すごいですね!しかも綺麗に倒してくれているから、活用できる素材も多いですよ!」

「大したことはしていない。まぁ、素材が多く取れたなら良かった。俺もポーションを必要としているからな」



 ザクロはウキウキしながら鑑定を進めていく。流石に大物の魔獣なので、1人で採取するととてつもない時間が掛かる。そのため、ザクロが鑑定してドラバイトが採取するという分担を決め、手際よく進めていく。正直、ウィンドホーク討伐は時間が掛かると踏んでいたため、こんなに短時間で採取にまで漕ぎ着けるとは思わなかった。

 残るミストリーフは、丁度ドラバイトが生息地に行ったことがあるというので、場所は特定出来ている。



 その日はもう陽も落ちる頃合いだったため、迷宮内にあるキャンプ地へ行き一泊した。


 翌日は真っ直ぐミストリーフの採取に行き、第1回ポーション素材採集の旅は終了した。




手書きノートにキャラクターの名前や素材の名前などをメモっているんですが、よくそのページがどこかわからなくなります。付箋貼ればいいんですけどね。

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