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薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
2/37

ポーション(回復薬)は大通りへどうぞ



 大通りに立ち並ぶ店舗は商売競争を勝ち上がってきた店舗ばかり。質の良いものを取り揃えている分、値段も比例して高くなる。ランクの高い冒険者ならまだしも、低ランクの冒険者からしてみるといささか敷居の高い店も存在する。特にポーションはお守り代わりに持つ駆け出し冒険者もいるほど、冒険者にはなくてはならないものである。

 そのため、冒険資金の節約を兼ねて裏路地へ足を運ぶものもいる。掘り出し物はないかとやってくるのだ。アネモネも例外ではなく、冒険に必要な薬を求めて足を向けるものも少なからずいるのだ。



 カラン



 入り口に目を向けると、そこにはいかにも冒険者といった男が立っていた。茶色の髪は短く刈り上げられ、切れ長の目元は青い光が見える。身長は180はあるであろう立派な体躯をしている。腰には剣を差しており、一目見て使い込まれていることがわかる。


「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」

 ザクロが声を掛けると、男は低めの声で端的に問うた。

「中級以上のポーションを探している。取り扱いはあるか?」


 ポーションは簡単にいえば回復薬である。低級から上級まであり、ランクが高いものほど効果も高い。他にも特効ポーションという特定の効果を持たせたものも存在するが、作れる人間も使う人間も限られるため、市場で見かけることはほとんどない。

 剣士はどうやら、これからの冒険に必要なポーションを探しにきたようである。“中級以上”という事は、迷宮の階層は10階以上か。低階層であれば低級ポーションがあれば十分だが、10階を超えるとそうはいかなくなる。モンスターの凶暴性が増し、油断をすれば命取りだ。そして、10階以上に行けるのはCランク以上の冒険者だ。冒険者ランクはS〜Fまでの7階級あり、Sが最高位である。Sランクの冒険者は国内で片手ほどしかいない。冒険者として信用を得られるようになるにはBランクが必要と言われているので、彼ももしかしたらそのような立場の人間なのかもしれない。



 と、そんな事を思いつつもザクロの返答は決まっている。


「申し訳ございません、お客様。当店は民間人向けの薬屋でございます。ポーションでしたら大通りに薬屋が数店舗ございますので、そちらでお買い求めください」



 ザクロが澱みなく一息に言い切ると、剣士は一瞬ポカンとした表情を見せた。


「ポーションが…ない?」

「はい」

「迷宮都市の薬屋なのにか?」

「はい。ポーションを取り扱っている店舗は多いですから、穴を見つけて商売していかないと生き残れないんですよ」


 ザクロの返答に、剣士は少しの納得と困惑したような表情を見せる。

「そうか、邪魔したな」

「いえいえ、軟膏程度でしたらございますので、お買い求めの際は宜しくお願い致します」

 その声掛けを背に、男はアネモネを後にした。



 扉が閉まり、一人となった店内に溜息が一つ。


 薬師になるためにポーション作成能力は必要ない。現にザクロの店はポーションは置いておらず、軟膏や風邪薬程度の品揃えだ。薬師登録は薬師協会の行う試験に合格する必要がある。薬草に関する基本的知識と基本となる傷薬軟膏の作成だ。勿論、薬師にもランクがあり、上級、中級、下級の3階級である。ポーション作成に関しては中級に上がるためには必要であるが、下級薬師には必要がない。



 と言っても、ザクロの階級は上級なのであるが……。



「ポーションなんて作って売ったら……忙しくなるじゃん……」



 薬屋【アネモネ】がポーションを置かない真の理由。それは店主の『楽がしたい』を優先させたが故の弊害であった。




一話の後書きで書くべきなのですが、初めて小説もどきを書いていますので、読みづらいところや説明不足なところが多々あるかと思います。先に謝ります。ごめんなさい!

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