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薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
16/37

第一の難題




 マラヤの協力の元、魔道具発注に漕ぎ着けることができた。作成に当たるロードはといえば、煽られたことにより、変なスイッチが入ってしまったのかいつもよりハイテンションな気がする。



「で、どんなもんが欲しいんだ?」


 先程の興奮もあってか、ロードの目がギラギラしている。……怖い。


「えっと、作らなくちゃいけないポーションが特効もあるんで、相当材料も幅が出ちゃうんで……魔力に対する頑丈さは欲しいです」



 ポーションは通常の薬と違って、素材や作成者本人の魔力を使った瞬間回復薬だ。通常の薬は、素材の効能と患者の自己治癒力を使って時間を掛けて直していく。

 しかし、ポーションを使う場面は基本緊急時だ。そのため、即時の効果が求められる。

 その際、素材の効能と共に外せないのは『魔力』である。魔力が込められているほど効果は高く、尚且つ特効ポーションに至っては魔力の性質も関係してくる。解呪ポーションは闇特性の力を使っているので、ただの魔力では意味がない。解石ポーションは水特性と光特性の混合なので、魔力を混ぜ込むという作業が入ってくる。

 それゆえ、魔力耐性が求められるのだ。特別なポーションになるほどに。


「なるほどな。てことは、通常のマンガン鋼材だと持たねぇな。加工するには良いんだが、魔力耐性が低い」

「大きさは寸胴鍋くらいが理想なんですが」

「通常の3倍くらいの大きさか……そんなデカさまで伸ばして、硬度や耐久性を保てる金属あるか? 鉱物から作るにも、そんなデカさのもん見たことねぇしなぁ」


 思った以上に無理難題のようだ。自分に出来ることを考えるが、そもそも魔道具に関しては使う側にしか立ったことがないので、構造に関してはど素人だ。自ら提案なんて出来るわけもない。

 2人でうんうん唸りながら頭を捻っていると、マラヤがお茶を入れてきてくれた。



「ねぇ、金属ってさ、合金とかあるじゃない?」

「ん? ああ」

「合金の中に、魔力耐性のある鉱物とか、硬度の高い鉱物とか混ぜることって出来るの?」



 話を聞いていて疑問に思ったようだ。確かに、混ぜたら相乗効果が生まれそうだ。



「それは無理だ。そもそも魔力耐性の高い鉱石ってのは硬度が高い。だから魔石は小さくても1cmくらいの大きさがあるだろ。人工魔石はそもそもそういうためのもんじゃねぇしなぁ」



 うーん、無理かぁ。



 ちなみに人工魔石というのは、生活に欠かせない道具の一つだ。日頃から使う冷蔵庫やコンロなどは、魔石を動力源にしている。魔石は主に、迷宮内に自生している岩や魔獣から取れる。冒険者が戦闘時に使うこともあり、一時は魔石不足に陥った。

 そんな経緯があり、長年を掛けてある科学者が人工魔石を作り出した。

 さらにそこから、近年は充填人工魔石なるものが開発された。人工魔石も使い捨てだったのだが、充填人工魔石は3回充填が可能だ。そのため、魔力充填を生業としている者もいる。




「……ん? いや待てよ。アレは確か……」


 ロードの中に、何か思い当たるものがあったらしい。ぶつぶつと独り言を言っているが、専門用語過ぎて何を言っているかわからない。きっと、薬の製法を考えている時の自分は、他人から見るとあんな感じなんだろう。



 ……すごく不気味だ。




お話を書くのって知識がいるなぁ、と書く度に思う今日この頃。学校の勉強や先生の雑談って大切なんですよねぇ。(マジメに受けてこなかった人)

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