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薬屋【アネモネ】  作者: 末畠ふゆ
第一部
12/37

確認は大切に




 専属契約書はいいとして、店舗契約書?

 ザクロ自身、小さいながら店を構えているし、なんだったらその店に今日シトロンはやってきた。それでなんで契約書になるんだ。




 それ以前に、なんでちゃんと確認しなかったんだ! おれ!!




「これからポーションを作られるでしょう? そうなると、様々な設備が必要になってくるのは当たり前です。そして、作る量も膨大だ。それについては申し訳なく思っていますが……」


  ザクロの混乱を他所に、シトロンは契約書の理由を話し始めた。



 要は、大通りの元薬屋の空き店舗にザクロの店を移す、ということらしい。広さはザクロの家兼店舗兼工房の2倍以上あり、大型の素材保存庫があるという。魔道具に関しては撤退時に一緒に持っていってしまったため無いが、改装工事を必要としない利点がある。

 また、ギルドにも近いため、やり取りがスムーズに行えるという。



 そう言われてしまえば、納得する部分が多くて突っぱねられない。

 ちなみに、契約は協会長と母の指示だそうだ……ぐぅっ……。



「それでてすね、家賃なんですが……こちらの事情込みでの移転となりますので、月、金貨2枚とさせて頂きます」




「金貨……2……まい……?」



 今住んでるところが、月………止めよう………。




「これでも頑張ったんですよ!大通りは人気物件なので、土地の値段も高いんです!本来であれば金貨4枚のところ、半額ですからね!!」



 これは、貯金に甘えていられないな……。



 頷いてしまったのだから、今更取り消せない。今までだらけていた分、しっかり働かなくてはいけないらしい。


「……わかりました。とにかく、今は少しでも急がなきゃいけないってことです。その店舗、とりあえず見せて頂いても?」

「はい、もちろん。ご案内しますよ」





 シトロンの案内のもと、新たな店舗へと足を踏み入れた。中は最近まで使われていたこともあり、傷みはほとんどなく、すぐに使えそうだ。店舗スペースが3分の1程度の広さで、残りが工房や事務室になっている。2階もあり、以前は倉庫として使用していたようだ。

 工房内の素材保存庫も、割と新しい形式のもののようで当たりを引いた。作業台の高さも丁度いい。

 工房スペースには勝手口があり、覗いてみると小さいながら庭がある。庭について聞くと、自由に使っていいとのことなので、薬草園にでもしてしまおう。



 経営する上で便利であり問題なのは、この広さだ。

 今の店は1人で作って売るには丁度良いのだ。だが、これからを考えると工房の広さは欲しい。素材とは別に、薬品保管庫も必要だ。その分、この店は充分な広さと言える。しかし、作成も接客も1人でしないといけないとなると、かなりキツい。

 これは従業員についても考えなくてはいけないか……。



 店舗はわかったとして、ポーションを作るために必要な魔道具を調達する必要がある。これについては、馴染みの魔道具店のオヤジさんに頭を下げるしか無いだろう。

 うぅ……怒鳴られるに違いない……。



 やることは山積みだ。

 シトロンに準備のため離れることを告げ、新店舗から出る。まずは魔道具だ。保管庫や冷蔵庫ならいいが、薬師専門の道具は市販品で賄えるものは少ないのだ。大体がオーダーメイドになるので、早く動くに越したことはない。



 ザクロは足早に、道具街に向かっていった。




やっと外に出た〜!

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