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第三話 異世界で金持ちを助けたい

第三話 異世界で金持ちを助けたい


 アリスは困った顔をしていた。僕の質問の意味が分からないのだろうか。

「えっと、特別な能力と言うのは、世界のルールを無視したようなとか、そう言う意味です。」

 アリスはそれを聞いて、分かった様な表情をして答えた。

「世界のルールを無視した能力ね、あなたの場合は、魅了ね。望めば誰でも虜に出来るわ。

 でも、今はそんなに使えないわね。訓練も必要だし。」

 訓練とは少しがっかりしたが、それでも特別には違いない、その能力を使えば、いずれ満里奈ちゃんの揺れる胸を生で触れる日が来るに違いない。


「あと、僕の世界の知識や技能を使って何か特別なことは出来ませんか。」

「あー、ショーヘイは何の知識があるのかしら、技能とはどのようなことを言っているのかしら。」

「えっと、義務教育は受けています。」

「うーん、分からないわ。面倒だから頭の中を見せてね。」

 アリスはそう言うと僕のおでこに自分のおでこをつけた。アリスの甘い息が僕の鼻を、口をくすぐる。いや僕の敏感なアソコが反応してしまう、街中なのに。


 アリスはしばらくするとおでこを離し、少し言い難そうに言った。

「残念だわ、ショーヘイ。あなたの知識はこの世界では誰もが持っている程度よ。

 確かにこの世界に無い物を知っているわ、でも、それをあなたの頭は理解していないもの、説明できないでしょ、作り方とか原理とか。」

「あ、はい。無理です。」

「それに、あなたの知識や記憶のほとんどが、女性に関するものばかりね。しかも間違ったものばかりだわ。」

 そんな馬鹿な、俺の知識はエロ雑誌から仕入れたもので、信憑性が高い記事のはずだ。

 その記事を読みたいがために、大学生の兄貴がいる良く知らんクラスメートに近づき、エロ雑誌の入手ルートを確保したのだ。

 つまり、この世界での女性に関する知識が日本とは違う、そう言うことか。


 しかし、おかしい。異世界では現代知識で金を儲けられるはずだ。この世界には無い、紙を造ったり、石鹼やシャンプーを造ったり、便利グッズ造ったり。

 でもつくり方は知らないな、授業で聞いた気もするが、全く覚えていないぞ。


 いやいや待てよ。これは、あれだ、異世界と行き来出来るパターンだから、日本で仕入れて、ここで売ればいいやつだ。

 パッケージを変えて売れば良いんだ。よし、行ける、行ける。

 次は、伝手だな。えっと、何か偉い人、もしくは、金持ちを助ける的なやつだ。盗賊に襲われている馬車や旅人を探そう。


「アリス、僕は、街道で魔獣とか盗賊に襲われている金持ちを助けたい。」

「また、良く分からない要望ね。でも、とりあえず街の外を歩いてみましょうか。」

「あ、助けたいって言ったけど、僕は何も出来ないから、盗賊や魔物を退治するのは、アリスにお願いね。」

「そうね、ショーヘイには無理ね。」

「それから、僕のこともちゃんと守ってね。」

「もちろん、守るわ。必ずね。」


 街の外に出て、街道を歩く。しかし、街の中は臭かった、人の臭い、糞尿の臭い、食べ物が腐った臭い、様々な悪臭が混ざっていた。

 外に出ればマシだ、悪臭が薄れる。だが、緑が濃いせいか、青臭い、これもまた、気分を悪くさせる。


 しばらくアリスと並んで歩く。しかしアリスは美人だ、歳はいくつくらいだろう。大学出たばかりの22歳、いや、OL二年目24歳か。

 比較がアダルトビデオなのが心もとないが、だいたい合っているだろう。

 隣を歩いて、少し手が触れるだけでも体が感じてしまう。周りには誰も歩いてはいない、今抱き着いて胸をもんでしまおうか。

 そんな欲望を抱え、結局実行できる勇気も出ないまま、1時間くらい歩いた。そしてただ、疲れた。


 人っ子一人歩いていない、馬車も通らない、魔物も出ない。

「アリス、誰もいないね。」

「そうね、そもそもそんなに人が多くないから。もう少し頑張ってみる?」

「いや、いいよ、何か飽きた。帰ろ。」

「わかったわ、引き返しましょ。」

「なんかさ、この間の僕の部屋と繋げた扉でさ、直ぐに街に帰れたりしないの?」

「無理ね、ここには何も無いから。道具と準備がいるのよ、あれ。」

「えーまじかぁ、ポケットに入ってないの。」

「そんなに大きいポケットがついてる服、着てるようにみえる?」

「いや、全く。でもさ、別の次元から取り出す的なやつとかありそうじゃん。」

「あー魔法ね。それならあるけど、収納していなから無理。」

「結局無理かぁ。じゃさ、空飛ぶ奴は。なんか乗り物的なやつ。」

「私は乗れるけど、あなたは無理よ、落ちたら死ぬもの。」

「死なない乗り物はないの? 絶対落ち無いやつとか。」

「ないわね、絶対は無理。でも、安全性が高い物ならあるわ、今度用意しておくわね。」

「やったー、これで次からは歩かなくて済む。」


 また一時間歩いて、臭い街に戻った。臭いは慣れると言うが、慣れるまではしばらくかかりそうだ。

 往復2時間歩いたが、何もなかった。どこに行ったら、魔物や盗賊に襲われている金持ちに会えるのだろうか。


 歩いてお腹が空いたので、アリスにお願いしてみる。

「ねぇ、お腹が空いたよ、アリス。何か食べさせて。」

「わかったわ、この近くに美味しいって評判のお店があるの、そこへ行きましょう。」


 店に入り、一番人気の何かの肉を何かで煮込んだ料理を頼んだ。運ばれてきた料理は、湯気が出ていて美味しそうだった。

 一口食べる。不味い。味がしない、いや薄い。化学調味料に慣れた舌では薄すぎる。それでも残さず食べるのが基本、時間はかかったが完食した。

 アリスは飲み物だけだ、ダイエットだろうか。

 一緒に頼んだ水を飲む、温い。常温の水など飲んだことない。それでも喉が渇いていたので、飲み干した。


「美味しかったかしら、この街で一番の人気店らしいわよ。」

「少し、僕には合わなかったみたい。でも不味くなかったよ。」

「そう、それは残念だわ。それから、あなたの体では消化できないものあるから、酵素を補っておくわ、後、水に含まれていた細菌類は取り除くわね。」

「あ、ありがとう。で、アリスは何故食べないの?ダイエット?」

「あら、そう言えば、言って無かったかしら、私、食事を必要としないのよ。」

「え、食べなくても平気なの?」

「そうよ、食事も睡眠も必要ないわ。」

「それはすごいね。」

「ふふ、すごいでしょ。それに私、不老不死だから。」


 不老不死、歳を取ることがない、死ぬこともない、永遠に生きる。ん?アリスの歳はいったい、いくつなのだろうか。

 俺はおそるおそる聞いてみた。

「アリス、女性に聞くのは失礼かも知れないけど、君の歳はいくつなの?」

「えー、やだぁ、んとね、アリスは永遠の20歳。」

 急に恐ろしくぶりっ子になった。これは見たことがある、テレビで芸人のおばさんが歳を聞かれた時のやつだ。

 あぁ、これは聞いてはいけなかったのだ、まさか、無敵の俺がこんな罠に落ちるなんて。残念だ。残念ではあるが、事実を受け止めよう。

 俺は、オカンより年上のババァに欲情していたのだ。いや、歳はババァでも見た目がアレなら良いのではないか。歳よりも見た目が良ければ。

 だが、このダメージはでかい。今日はもう家に帰ろう。


「アリス、今日はもう探すの止めて、家に帰るよ。」

「そう、もう帰るのね、残念だわ。」

「うん、でも夜は待っているから。」

「うふ、ありがと、ショーヘイ。」


 俺は全身を襲う悪寒に耐え、何とか帰宅した。落ち着け俺、落ち着く為に、満里奈ちゃんでオナニーでもするか。

 パンツを下ろすが、どうにもアリスの歳が気になり、オナニーに集中出来なかった。こんなことは初めてだ、無敵の俺が射精出来ないなんて。


 夜、ベッドに横になって目を閉じていると、いつもの様にアリスが現れた。アリスが布団に入ってくる。射精出来ていないせいで、今日は眠気がない。

 アリスの体は温かい、いつもより意識して後ろから抱きしめる。アリスの胸に手のひらを乗せ、少し力を入れる。とても柔らかい。

 目を開けるとアリスが振り向いてこちらを見ている。あぁ、歳なんて関係ない。俺はアリスにキスをした、そして射精した。


 パンツの中が恐ろしく冷たい。オカンに見つからない様に下着を洗いにいかねばならぬ。だが、今はまだアリスの体温、柔らかさを感じていたかった。

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