第二話 異世界の設定ってこんな感じ
第二話 異世界の設定ってこんな感じ
良く分からない場所に来てしまった僕は、家に帰るべく、今しばらく、サイコパスな痴女と話しをしなければならなくなった。
痴女は僕を、恋する乙女の様な目で見つめてくる。なかなかに話しづらい。見た目がドストライク過ぎて、下半身が反応してしまうからだ。
「あの、さっきも言ったんですが、帰り道を教えてもらって良いですか?」
「帰したくないわ、ずっとここにいて欲しいの。でも、あなたがどうしてもと言うのなら、帰してあげてもいいわ。」
「じゃぁ、どうしてもです。お願いします。」
「つれないこと言うのね。まぁいいわ。あなたとはいつでも会えるし。」
いや、いつでも会えるって、怖いんですけど。なんか聞いたことある、これストーキングってやつかな。
でもサイコパスを刺激したら、首切られて防腐処理されて、飾られちゃう的なやつになるかもしれない。なるべく刺激しない様にしよう。
「でもその前に、自己紹介とあなたがこの世界に来た理由を教えてあげるわ。
私の名前は、アリス・キテラ。この世界クラップシリイで最強の魔女よ。私には何でも出来るわ、この世界を亡ぼすことも。
でも出来ないことが一つあったの、人の心を支配する力よ。その力を奪うため、あなたをこの世界に呼んだの。
でも、私はあなたの魅力に取り憑かれたわ。だからわたしをあなたの自由にしてちょうだい。何でも言うことを聞くわ。」
いや、設定がムズイって。異世界設定なのか、であれば、エルフのコスプレ希望だったな。いや、獣人猫耳でもいいか。
いやいや、そんな事より、これ以上、わけのわからんプレイには付き合いきれないぞ、とにかく、帰り方をはやく教えてくれ。
「だから、あなたといつでも会えるように、あなたの家の、あなたの部屋に、この世界と行き来する扉をつけるわ。
この扉は、あなたと私しか使えないから安心してね。」
痴女は、そう言うと、目の前にどこからともなく扉を出した。そして、その扉を開けると、俺の部屋が見えた。それは紛れもなく、俺の部屋だ。
今朝、脱いだままのパジャマが床に畳の上に落ちている。読みかけの漫画雑誌も、そのままだ。
俺は恐る恐る自転車を押しながら、扉に向かって進み、そして扉を通った。そこは間違いなく俺の部屋だった。
ウォークインクローゼットとその世界が繋がったようだ。自転車の泥と靴の泥が、畳を汚す。慌てて、靴を脱ぎ、自転車を1階に降ろす。
階段で自転車を何度もぶつけ、壁紙に傷がつく、おかんにばれたら殺されてしまう。とにかく、おかんがパートから帰ってくる前までに掃除まで完了しなければならない。
何とか掃除、片付けを済ませ部屋に戻ると、クローゼットは開いていたが、いつもの通り、服がかかっているだけだった。
悪い夢でも見たようだった。思春期のストレスで幻覚を見る、これは良くある話だ、多分。漫画と小説で読んだ気がする。
ただ、無敵の俺にストレスなど無縁のはず、その点が分からなかった。万万が一だが、部活からの帰りに自転車でコケ、頭を打ったのではないだろうか。
その可能性もあるが、もう忘れよう。今日は早く寝るか。
夕食を食べ、風呂に入る。テレビを見ながら爆笑し、オトンが帰宅する前に自分の部屋に引きこもる。別にオトンと何かある訳じゃないが、話しも続かないし、気まずい。
部屋に戻ったら、テキトーに宿題を片付け、漫画を読む。一通り読み終えると、布団に入る。いつもの様にオナニーして寝ようとティッシュを用意する。
パンツを下げると、クローゼットに何か気配を感じた。心臓の鼓動が早くなる。恐る恐るクローゼットの方を見ると、痴女がそこに立っていた。
痴女は黙って僕の寝ていた布団に入り、体を密着させる。その体の柔らかさと、良い匂いで、僕は我慢出来ず、イってしまった。
だが、そこは慣れたもので、全量をティッシュで受け止めた、さすが無敵の俺。
痴女はそれを察し、くすくす笑いながら更に体を寄せてくる。
「やめて、やめてよ、僕は恥ずかしいです。」
そう言って、彼女と少し離れて、パンツを上げた。
「もっと刺激的なことをしよう、ショーヘー。」
「な、何で僕の名前を知っているんですか、あなたストーカーとかいう奴じゃないんですか。ていうか、何でここにいるんですか。」
「言ったでしょ、いつでも会えるって。」
俺は震えが止まらなかった、これは俺の妄想が生んだヤバい奴だ。毎日オナニーすると頭が悪くなると聞いたが、これか、これなのか。
そんな痴女は僕の布団から出ることもなく、俺に話しかけた。
「いい加減、現実を見なさい。これは夢でもあなたの妄想でもないわ。
私は異世界から来た魔女で、あなたはその魔女を魅了した少年、異世界でもこの世界でも好きなように生きられるわ。
私がいれば何でも出来るし、何者にだって成れる。どう素晴らしいじゃない。」
そうか、俺は何でも出来るのか。
でも俺はそもそも無敵だ。何でも出来るし、何者にだって成れる。魔女の助けは必要無い。
ただ、異世界に興味があると言えばある。剣と魔法、魔物と魔獣、異種族の美少女とハーレム展開だ。
これが楽しめるのであれば、悪くはない。だが、そんなご都合主義の世界が果たしてあるのだろうか。
「聞きたいのですが、あなたがいる世界には魔物や魔獣、異種族はいますか。」
「あなたの想像とは違うかもしれないけど、魔物や魔獣もいるわ。
異種族は良く分からないけど、あなたと私は姿、形が似ているだけで、全く別の種だから、異種族と言えばそうなるかしら。」
「わかりました、僕は異世界であなたと活動して、魔法と魔物と魔獣を見て楽しみたいです。ただし、学校と部活は休めないので、週一日の活動で。」
「それがあなたの望みなのね、わかったわ。但し、私は毎晩ここにきて添い寝するわ。でも、あなたが成長して、早漏じゃなくなるまで、それ以上はお預けね。」
「はい、ではそれでお願いします、えっとお名前は何といいましたっけ。」
「アリス、アリス・キテラよ。」
僕は射精していたので、その後、直ぐに眠ってしまったようだ。朝目覚めると、アリスの姿はなく、いつもの朝だった。
いつもの様に起きて、自転車で学校に向かう。いつもの様につまらない授業が終わり、部活の時間になる。
俺はバレー部員だ。背も高くなく、ジャンプ力がある訳でもない、練習には欠かさず出るが、練習には力を入れない。
だから、いつも試合には出られない。出たくもないから別に構わない。
俺の目的はただ一つ、隣で練習している女子バレー部の満里奈ちゃん、彼女がジャンプするたびに揺れる胸、その胸を見るためだけに俺は練習を欠かしたことがない。
「ねぇねぇ、満里奈、山田のやつ、またあんたのこと見てるよ、キモイ。」
「私も顧問の先生に相談したんだけど、見てるだけだからって。」
「いや、見るのもダメっしょ。顧問もだらしないなぁ。」
ふ、そんな会話全部聞こえているぜ。顧問は俺を罰することなぞ出来ない。何せ見ているだけなのだからな。俺は無敵だ。
その後、予告通り毎晩アリスは現れた。アリスがきていると満里奈ちゃんをおかずにオナニーが出来ないので、アリスが来る前に済ませる。
だが、そうすると眠気が襲ってくるので、アリスに抱き着いたらすぐに寝てしまう。何とももったいない限りだ。
そんな一週間が過ぎ、いよいよ部活も休みになり、アリスの世界へ行くことになった。Tシャツとジーンズとスニーカーで、クローゼットを通り、アリスがいた部屋に向かう。
到着するとアリスの部屋で、クラップシリイの服に着替えさせられた。この世界ではこの服を着て活動するように言われた。
アリスがいた部屋はどうやら地下だったようで、アリスに地上まで案内してもらうと、そこには古い町並みがあり、まさに異世界が広がっていた。
中世くらいのヨーロッパの街並みか、煌びやかな服を着た西洋人たちが大勢歩き、馬車が走り、賑わいを見せていた。
「ここは海と陸との間にある世界ですか?オーラとかでロボット動きますか?」
「ごめんなさい、何を言っているのかが分からないわ。」
「大丈夫です、こっちの話しです。」
「で、ショーヘイ、まず、どうしたいの?何が見たいのかしら。」
アリスが聞いてきたので、俺は答える。
「僕の特別な能力は何でしょうか?世界最強クラスだと思うのですが。もしくは、僕の世界の知識や技能を使って、この世界で活躍したいと思います!」