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第十三話 神獣みたいなペット飼いたいんですが

第十三話 神獣みたいなペット飼いたいんですが


 神の加護は得られない、鍛えてもクラップシリイの住人には敵わない、だからそこは諦めろとアリスに言われたが、あと一つの可能性があることに気が付いた。

 本人が強くなくても、神獣みたいなやつを仲間にすれば良いのではないだろうか。俺の代わりに戦ってくれる奴。何か存在だけで敵が逃げていくくらいの強い奴。

 俺にとってはアリスがすでにそのような存在なのだが、そうじゃなくてペットみたいなやつが良い。

 とりあえず、アリスに聞いてみようかと思う。


「ねぇねぇ、アリス。強いペットが欲しいよ。」

「強いってなに?体が強いの?病気にかからないみたいな?」

「違うよ、戦闘が出来るやつ。」

「あぁ、そっちの強いね。魔獣とかかしら。」

「そうそう、そういうやつ。見た目がかっこよくて、従順で、頭が良くて、いつでも僕を守ってくれるような魔獣。」

「いないわよ、そんなの。でも、子供のうちから育てて訓練していけば、ショーヘイが望む魔獣に育てることが出来るかもね。」

「うーん、そんなに待てないよ。いきなり強い神獣みたいなのいないの?伝説の生き物的なやつ。」

「そんな生物いたとしても、どうやって手懐けるのよ。凶暴かもしれないわよ。」

「そこで、アリス先生の出番なのですよ。」

「あー、はいはい。無理ね。」

「そこを何とか。アリス先生のお力でお願いしますよ。」

「もう、しょーもないこと言ってないで、早く寝なさい。

 それに、あなたは私が守るから、そんなペット必要ないでしょ。それに傭兵を3人も雇っているんだから。」

「いや、彼女たちを守りたいんだよ、僕が。」

「まだ言っているのね、そんなこと。結局ペット頼りにしていたら、自分で守ったことにはならないと思うけど。

まぁでも、それがショーヘイの良いところかしら。分かったわ、魔獣のペットを探しましょ。でもね、ショーヘイが考えるように簡単ではないわよ。」

「うん、アリス。簡単には行かないことは分かった。だから僕頑張るよ。」

「そのショーヘイの素直な所が可愛いわ。」

 そう言ってアリスは優しく抱きしめてくれた。


 魔獣はリージェン村の近く、フロシティ帝国との国境付近の森で探すことにした。この森は人の手がほとんど入っておらず、まともな道さえもない。

 森にはアリスとデスティニーの3人で入ることにした。チャリティーとファニーの実力では今は未だ足手まといになるようだ。

 森の奥に入るにつれ、植物は所かまわず繁殖している様に見える。小動物の姿は見かけるが、魔獣の気配は感じられなかった。

 しばらく進むと、デスティニーが警戒し始めた。どうやら何かがいるようだ。


 さらに進むと、痩せた狼型の獣、体長は2m以上ありそうな魔獣が、大きな木の根元に横たわっていた。良く見ると他の魔獣にやられたのか、体に爪で裂かれたのか、大きな怪我をしており、虫の息だった。

 人が近づいても立ち上がる気力もないようだ。少し可哀そうに見えるが、魔獣であり、大きな口からは長い牙が見え、足の爪も鋭い。うかつに近づいたら、一瞬で殺されてしまうような気がした。

 その魔獣をデスティニーは見たまま動かなかった。


「どうしたの、デスティニー。あの魔獣何か気になるの?」

「すみません、昭平さん。あの魔獣、今にも死にそうですが、警戒が必要です。動いていませんが、明らかにこちらに敵意を向けています。」

「え、そうなの?何にも感じないけど。」

「そうですね、昭平さんには理解してもらえないかもしれませんが、私の様な傭兵には必要な感覚です。

 それに、魔獣の生命力を侮っては、こちらがやられてしまいます。手負いの獣は思わぬ力を発揮するものです。」

「そうなんだね、勉強になるよ。デスティニーは頼りになるよね、ほんと。」

「いえ、傭兵として当たり前のことですから。」

 デスティニーは獣から視線を外さず、受け答えしていた。


 アリスが何か気が付いたようだった。アリスは無造作に魔獣に近づいていった。すると魔獣は一瞬で立ち上がり、アリスの上半身にあっという間に噛みついた。

 しかし、当然その牙はアリスに届くことなく、アリスの体から僅かに離れ、止まっている。アリスは魔獣の口を持ち、ゆっくりと自分の体から引き離した。

 魔獣はもう抵抗する気力もないようで、されるがままになり、アリスが手を離すと、そのまま地面に倒れこみ、微動だにしなかった。

 アリスはその様子を眺め、その後、魔獣が最初に横たわっていた大木の根元に近づいた。そして、根元に屈み何かを拾い上げ、こちらに戻ってきた。

 アリスの胸には、一匹の魔獣の子供が抱きかかえられていた。


「これはヘルガードドッグの子供ね。まだ目も開いていないわ。ショーヘイ、この子を育ててみる気はある?成体になれば、あそこにいる母親くらいの大きさになるけど。」

「それは大きいね。どのくらいで成体になるのかな?」

「そうね、20年くらいかしら。病気や怪我に気をつければ、100年は生きるわよ。」

「僕より長生きする可能性あるんだね。」

「そうなるわね。だから最後まで面倒見なさいとは言えないわ。ただ、母親を亡くしたこの子を、自分で獲物を獲れるくらいまでは、責任もって育てることが出来るかしら。」

「うん。僕一人では足りない部分があるから、皆にも手伝ってもらえれば。デスティニーは手伝ってくれるかな。」

「私は構いません。後の二人も嫌とは言わないでしょう。ただ、魔獣です。成体になって、こちらを攻撃しないとは言い切れません。ですので、面倒を見れる内は、ということでお願いします。」

「ありがとう、デスティニー。」


 その後、村まで戻り、扉を使ってイグノランスまで戻った。

 チャリティーとファニーは魔獣の幼体をみると、可愛いと言って交互に抱きしめていた。これから皆で面倒を見て、育てることを話すと、とても喜んでいた。

 アリスから聞くとヘルガードドッグの育て方は犬と変わらないようだ。雑食だし、ストレスがかからない様に、毎日運動さえ、させてやれば、特に気を付けることもなさそうだ。

 但し、トイレトレーニングはしっかりしないとならない。糞尿はとても匂いがきつかった。


 この子の名前をつけてやらなければならない。

 だいたい犬だから、ラッシーとかジョリィとかが良いだろうか。でも何かイメージが違うなぁ。毛が短くて真っ黒だ。

 戦闘に参加できるなら、フレンダーでも良いか。いや、犬じゃないけど見た目的に、ロデムに似ているな、よし、ロデムにしよう。

ロデムはクロヒョウだけど、あんな万能的に活躍できる相棒を目指し、ロデムには頑張ってもらおう。

 名前はロデムと決め、皆に伝え、その日は家に帰った。


「アリス、ロデムの件はありがとう。」

「どういたしまして。ちゃんと責任を持って育てるのよ。」

「うん。仲良くなれば僕を助けてくれるかな。」

「そうね、愛情を持ってお世話をすれば、必ず分かってくれるわ。」

「じゃぁ、いっぱい可愛がるね。」

「ちゃんと悪い事したら叱るのよ。それから主従関係はしっかりわからせてね。」

「そうか、可愛がるだけじゃダメなんだね。」

「もちろんよ、人間の中で生活するなら、しっかりと人間のルールを教え込まないとね。」

「皆にも協力してもらって、ロデムが人間社会で暮らしていけるようにするよ。」

「ショーヘイ、ただね、ずっと一緒には暮らせないのよ、長くて成体になるまでの間ね。例え、ショーヘイに危害を加えないように育ったとしても、他の人に危害を加えるかもしれない。予想もつかない害を及ぼすかもしれない。それだけは分かって頂戴ね。」

「うん、わかった。でも、その時にならないと、別れの時がこないと、分からないよ。悲しい別れは嫌だよ。」

「ショーヘイは素直でよろしい。別れの悲しみを想像するのは止めて、今はロデムの成長を楽しみなさい。」

「わかったよ、アリス、おやすみなさい。」

「ゆっくり眠るのよ、私の可愛いショーヘイ。」

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