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ZEROミッシングリンクⅠ【1】ZERO MISSING LINK1  作者: タイニ
第六章 それから後

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78 みんなの日常

『ZEROミッシングリング』

新章が始まりました。

新しい小説▼こちらになります。

https://ncode.syosetu.com/n8525hg/


小説は違いますが、同じ話として同じ感じで続いていきますのでよろしくお願いします!





「だからまだ本棚は要らないって。」

「でも、絵本やおもちゃの棚がいるだろ!」

「いつまでここにいるかも決めていないし、本なんて1歳前くらいのうちは要らないだろ?!」

「1歳でも情緒は大事だ。本はいる!感性教育は必要だろ!」

「え、いいし…。買ってもそんな本棚買うほどでもないだろうし。備え付けの棚や引き出しだけでいいよ。とりあえず。」


食堂で不毛な争いをしているのは、タウとタウ父。


まだ生まれていない子供のための、本棚で争っている。ネットに乗っていたパープルのくまさん本棚がほしいと言い張る父と、普通の家具でいいしまだいらないとたしなめるタウ。この子供用の机セットと一緒に買えばいいと、同じくまさんセットを出す。


その横でイータは女子たちと何も言えなくなってしまうが、リーブラは家具の可愛さにときめいている。


「あのさー。そう言って子供夫婦の生活に口出しまくると、嫁さんに嫌われるよ。後々子供に会わせてもらえないよ。」

タウが心底嫌そうだ。

「え!そうなのか?」

お父さんが心配そうにイータを見た。タウ父は反省する。自分も昔そういう母親とケンカしたのだ。あれも買いたい、これも買いたい。そして妻が注文しようと楽しみにしていたチェストを母が先に買ってしまった時には、大喧嘩をしてしまった。なのに今、同じことをしている。


「お父さん、そんなに広い家じゃないし、一度タウと話し合います。」

イータはやさしく笑った。タウパパは泣きそうだ。


そもそもイータの驚きはその次元にはない。

イータが考える赤ちゃんの準備は、ネットや本に載っている程度。服、オムツ、石鹸類やクリーム、おしり拭き、ベットや布団。


本棚なんてのは載っていなかった。



イータ、ファイや後ろの席にいたジェイたちには全く分からない世界だ。

子供のために本棚を買う?小学校の時だって本棚なんてなかった。でも、そういえば漫画やドラマの中の家にはあったかな…くらいだ。


貧しかったからではない。

それもあるが、親が関心がなかったからだ。

絵本は園や学校でもらう物だけ。部屋に山積みに置くのみ。読んでもらったこともない。そのうち埃をかぶってゴミの中に埋もれているか、いつの間にか消えている。


「なんか家庭って全然違うんだね。」

ファイが複雑な顔でつぶやく。


「俺んちなんて、超過干渉だぜ。母親に着せ替え人形のように好きでもない服をあれこれ着せられて、塾も習い事もオカンの好みのを幾つもさせられて、オトンが塾や服代にキレて、オカンも荒れ狂って、俺も中学でブチ切れて家出したからな。」

キファが机に伏せた。壮絶だな、とドン引きする周囲。


「もっと早く家出したかった…。社交ダンスなんてやりたくなかった。」

しかも、無理やり始めさせられた社交ダンス。筋が良かったキファは先生に気に入られて、大会まで行こうと先生と母の多大な期待を買ってしまい、辞めたいと言ったときはそれはもう大変だった。勝手に休んだ日の母のヒステリーはそれはそれはすごかったそうな。キファから見れば、ミザル博士は全然まともに見えるのだ。

みんな、それはイヤだと率直に思う。


「でも、出会いがありそうだから社交ダンスいいな!」

今日もハートマークのリーブラである。

「なんで社交ダンスいやだったの?いいじゃん。」

「あんな気持ち悪い期待の目をされたら引く…。」

話しただけで疲れているキファ。社交ダンスへの入り方が違っていたら、また違ったのかもしれない。



タウパパのせいで、すごく何かを消費しているタウ。イータは隣の席に来てタウを突っついた。

「大丈夫だよ。お父さんもうれしんだよ。小さいの、ベビーチェアか何か1つ買ってもらおうよ。他はもう少し後にお願いしよ。」

「分かった…。」


南海は出産も多いため、ずっと使うか分からないようなベビー用品は全部揃っている。人が増えてきてからそれを修理管理する窓口を作ったからだ。あとで管理清掃代だけ出せばよい。子供はあっという間にサイズアウトするため、新生児の服もほとんど貰っている。


2人は顔を見合わせ、机の上に置いた手をぎゅっと握りあった。




***




さて、こちらは妄想CDチーム。

なぜかそこにレサトとシャムも混ざっているのだが、彼らもクルバトのノートを覗いている。


「ここにハウメア、蛍に続く『ソラ』という逸材が入って来た…。」

「空手、柔道の道場からも数人入っている。まだ未知数だな。」

「ソラが高2というのがミソだ。これから伸びる。」

「聞いたところによると、キックボクシングからも男女1人ずつ1人入っているらしい。」


おおーーー!!!!!


アホな歓声が広がる。


「しかもな、最新情報…。今回は大房の枠を超えて、南斗の方からも来ているらしい…」

ウオオオーーー!!!!!!!


「ヤベー!昴星(むらぼし)のあるとこじゃん!」

男たちが盛り上がるので、レサトが不思議そうに聞く。

「何それ?強いの?」

「いや、男子の憧れ、昴星女子学校がある…。女子一貫校…。」

「…。」

誰もそれ以上話さない。


「分かった、お前らかわいそうだな。」

レサトが憐みの目で言う…。

「昔の憧れだから…。」

ラムダがさみしそうに言った。あの高校近くを通る時、誰もがドキドキしたものだ。


「なに女子高に夢を抱いてるの?」

「うわ!」

リーブラがやって来た。

「女子高なんてスカートにズボンはいて、冬はさらに毛布も巻いて、超テキトウだよー!ウチらなんて大きい毛布持ってきて、こたつまで作っちゃったよ。」

「お前らの女子高と、昴星は全然違う!」

「女子に話し掛けることもできないのに、何言ってるのー。それに私は共学です!」

「うるさい。リーブラ!今ミーティング中だ!」

妄想のミーティングである。


「アーツ2期は3チームに分けるはずだったけれど、なぜか増えて4チームになるらしい。」

「俺らと変わんないじゃん。」

リーブラもノートをのぞき込む。


「…そういえばシャウラがこっちに来たら、誰がアストロアーツにいるの?」

シャウラは大房の食堂の現店長。

「…。」

またしても沈黙が続く。


「整備屋はヴァーゴのじいちゃんが入っているらしいけれど、店の方はウヌクが入ったらしい。」

「ウヌク?」

何者かは知らないが、かなりかったるそうに生きている男である。

「ウヌクはケガしてテコンドー休んでる奴。高校の時店長バイトでカフェ回していたから呼んで来た。俺の友達。」

クルバトはパルクールはしないが、それなりにスポーツはできるので、ウヌクとは一緒にサッカーやバスケなどもする仲だ。

「……」


みんな思う。

嫌な予感がする。

それは絶対に後でベガスに来たがるタイプだ…。

こっちで軍隊仕込みの格闘術とか習っていると知ったらめっちゃ怒るであろう。大房アストロアーツは、一度入ったら替わりを連れてくるまで抜け出せないという、ホラーな場所になりつつある。



「まあ、今回最も変わったのはな…」

クルバトがノートを見ながらもったいぶる。


「…ラムダ!お前だ!!」

みんながラムダに注目した。


「え?僕?」

思わず自分を指す。

「うん!ラムダは変わった。」

それまで無言だったファクトがVサインを送る。


腹筋1回で呼吸困難になりそうだったのに、すっかり贅肉が取れてほっそりした。そして元々目がくりくりしていたので、くりくりかわいい少年になったのだ。20歳だけれど。


「元のラムダも好きだけれどね…」

ファクトがさみしそうに言うと、リーブラも同意する。

「分かるー!ぷにぷにラムダも好きだったー!」

「僕もそんな自分が好きでした!でも、長生きしたかったらもう少し頑張れって言われて…。というか、ここにいたら勝手に痩せたのだけれど…。疲れすぎて、お腹の空き具合に関係なくご飯食べられなかった…。」

ラムダや一部のメンバーは、毎晩倒れ込むように寝入っていた。

「ビフォアアフター撮っておけばよかったよね…。ベガスに来たら、こんなに自動で痩せられますって。」

「あるよ、写真。」

前向きラムダは、過去の自分も全く卑下していないので自撮りもちゃんとある。


「がんばったなあ!」

3人が訳の分からない友情をかみしめ合っている間に、ジェイたちは話を続けた。

「でもさ、ここまで踏み込んでいいのかは知らないけどさ、結局カウスさんは強いの?弱いの?」

「強いだろ。」

シャムが即答するが遮る。

「違う!前に自分は部下の中で弱い方だって言っていたから。あのカウス同僚の中でどのくらい強いのか…真実を知りたい…。」


「そうなのか?」

シャムが驚く。

「レサト、お前知らないのか?」

「さあ、カーフなら知ってるかもな。」

「なんでお前は知らないの?」

「学校しか通っていない。」

「それはカーフもだろ?」

「あいつは戦場にいたから…」


「……」

全員が停止する。


「あ、戦場っていうか、そういう地域にいたから。対戦状況があったかは知らないし、あの頃は子供だったし。まじめな話だからな。あんまり言うなよ。」

格闘経験豊富に留めておくことにみんな同意した。



後に知ることになるが、カウスより強い奴もいるらしい。

ただ、全く義体を着けていない中では、世界のトップクラスではあるだろうとのこと。つまりサイボーグ化していない中では世界トップクラスなのだ。対戦中は強化スーツは着用するが。



そのままカウスに向かったら、鍛錬した軍人でも一発で骨が砕けるらしい。


絶対に怒らせないようにしようと誓ったアーツ妄想チームであった。



こちらはいくつか掲載して、切りのいいところで完結したいです。

これからもよろしくお願いいたします!(追記 新しい話は新小説に入れるので。こちらは完結にします!)


誤字だらけでも許してくださいね。数日かけて修正します(TT)


『ZEROミッシングリング』

新章▼

https://ncode.syosetu.com/n8525hg/

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