表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ZEROミッシングリンクⅠ【1】ZERO MISSING LINK1  作者: タイニ
第四章 ベガスミラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/79

50 知らない期待

※加筆修正があります。


拙い小説を読んで下さりありがとうございます!


アーツメンバーや藤湾学校にたくさんのキャラが出てきますが、

アーツはサルガスとヴァーゴ。藤湾はカーフくらい覚えておけば大丈夫です!


最終的にこの2組織で個としてストーリーの軸に関わるのはサルガスのみです。今のところ。


アーツの試用期間が終わった段階で、物語大枠が進み出します。誤字が多すぎて直してばかりですみません。よろしくお願いいたします。





「公爵?」

アンタレスに公爵なんているのか?まず公爵が分からない。貴族とか偉い人ではあるのだろう。



しかし、ネット小説(ぜい)はすぐ分かる。公爵は相当偉い。主人公がなるのは、平民男爵承商人など平凡スタート系以外ではだいたい王家や大公、公爵前後だ。もしくは近い関係者に必ずいる。やっと妄想CDチームがABチーム以上に役に立つときが来たのだ。

「公爵ですね。なるほど。」

と、とりあえず威張っておく。

そしてオミクロンという一族は、多分、先みたいなユラスの一派みたいなのと予想する。しかし、ファクトは別の分野から知っている。軍隊好きなのでオミクロン軍の名前くらいは分かる。世界の軍隊トップスリーに入るからだ。


「えっと、公爵は王政で例えると、カウス様は王の兄弟の子、甥っ子になるのかな。それくらい身分の大きい分家の息子です。もう身分制度はないし、オミクロンは分散勢力なので豪族みたいな感じですけど。」

結局説明は学生がしている。分かってはいても、この大人数の中で発言する勇気のない妄想チーム。


ふ~ん。

もう驚かないが、それがカウスというのにアーツ一同納得できない。



「で、『様』付けするほどすごいの?」

「はは……。」

直球な言い分に高校生、笑うしかない。


身分的なことを言っても分かりにくいと思ったのか、高校生は別の角度から攻めて来た。

少し周りを確認しているので聞かれたくない話なのか。席を離れてみんな高校生ズに近付き耳を澄ます。


「いやいや、アジアに公爵なんていねーだろ。旧華族とか豪族とかだろ。」

「いるかもしれないけど、よう分からん。武家とか?」



「もともとカウスさんって、一般にはとくに知られていない人だったのですけれど…」

「うんうん、それで?」

「…世界で30人ほど、その時代ごとの最新のニューロスヒューマノイドを相手に素手で勝った人間がいるのですが………その1人です。しかも結構な数ぶち壊して、この世界では有名です。」

「…………。」


これは分かり易い。

下町ズがグッドサインを送る。ただ、どの世界だ。


でも、それは確かに敬称を贈りたい。

「この世界」とは、女の子たちが声援を送るような世界ではないことは確かだろう。カウスはアンタレスに来るまで、完全にバックグランドの人間だったそうだ。


そして修了式の対戦を思い出して考える。

チコさんにハンディもらわなくてもよかったんじゃないか。負けたけれど、もうズタズタにされたらよかったのに。チコがどんなにニューロス化しても、人間部分がある限り男性の筋力相手に負担がないわけがない。


「補助機器は使いますが、高価なヒューマノイドを再起不能まで壊したりして、敵味方限らずちょっと嫌がられてもいまして…。」

なるほど。心当たりがある。「ニューロスにも人権を」の改革派を怒らせるタイプだ。しかも戦闘機並みの予算のニューロスを壊すとは。

ファクトが、カウスさんは借金を負わなかったのかな?と疑問に思う。高機能最新機とか10億どころでないらしい。


隣りの別のメンズも慌てて付け足す。

「でも尊敬されているんすよ!その界隈の方々に!」

だから、どの界隈だ。


「このことはあまり言わないでくださいね。みんながみんな知っていることではないので…。」

そりゃあ知らなくていいだろう。そんな話。そもそも家柄とは関係ない。


実はファクトもカウスをひそかに尊敬している。

ぜひファーコックの戦友にしたい系キャラという事が判明したからだ。試用期間が終わったら、カウス系のキャラを作ろう。身元が分かったらヤバそうなのであくまでデザインの土台だ。



隣りにいたちょっとガタイのいい安心系男子が言う。

「それで先輩たち、すごく期待されていて会いたくて待っていたんです。」

だからそこに話を戻さないでほしい。

「この学校のみんなも…ユラスの人たちの間でも話題で。」


………。


ほー。それは困る。

めっちゃ勘違いされてない?


もしかして、学生たちが正装で迎えていたのは、そんな公爵に仕えるような一軍が来るとでも思われたのだろうか。Tシャツや普通のボトムで来てすみません…。


下町ズはまたしてもグレーな気分で押し黙る。


俺たちタダ飯食ってる試用期間なのに、なぜ勝手に噂が広がり期待されてんだ?3か月と少し前まで、朝昼逆転するほど自堕落な生活をしていたのだ。20代前半で腹筋10回ができないメンバーもいたのに。

傾国の美女に備えて、ドキドキしつつも負けない!と気合を入れていた午前の自分が懐かしい。それ以上にやばい話になって来た。


「俺の兄が軍の上官なんですけれど、先輩たちけっこう有名ですよ。」


なぜ!本当に軍まで出て来た!


「チコ様とカウス様で新しい精鋭部隊を作ってるって…」


「…お前ら知ってる?」

イオニアがみんなに尋ねる。

みんな首を振る。知るわけがない。

「サルガス聴いてた?」

「いや?」

もちろん知らない。

ヴァーゴも首を振る。

「他の部隊じゃないっすか?」


「ベガス南海の『アーツベガス』って聞きました。」


マジか!!


みんな頭を抱える。めっちゃ勘違いをしている。この人たち。


「チコ様とカウス様が対戦した映像が一部で話題になっています。内々しか知りませんが、俺も見ました。そんなの見たことがなかったです!」

「僕も、警備室の方でみました!」

見るな!


情報を提供しているのは知っていたが、内々がどれだけ広いんだ。


「なんだこれは。チコはそういうつもりだったのか?俺らなんて、捨て駒としてしか役に立たんだろ。」

「いや、人質としてもあまり役に立たなさそうだ。」

「本当に捨て駒にする気か?!」

「警察とかも知っていますよ。」

「警察?!!」

本当になぜ!?俺らを生殺しにする気か?!!



どうやら裏の世界では、噂が噂を呼び、VEGAの事務局に訪れる人が増え、内々に、内々にと、どこまでーも内々に広まったらしい。

元々は商工会や自治体の活動。警備や警察たちも警備範囲。機密事項も何も、初めから成果を発表する計画なので、みんなこのことを知っていると。さすがに一般生徒までは観ていないが、コネで観た者もいるとのこと。


こっちとしては修了式の余興程度でしたことでも、謎の噂と相まって、興味津々な人がいっぱいいたという。


「あの二人が対戦するなんて誰も思ってもなかったですから。」

だから、あの二人であって、自分たちは見ていただけだ。

「ユラス現地でも、カウスさんクラス同士が対戦するなんて、したとしても多分外には漏れない話です。同じ部隊だった人たち見たかったでしょうね!ていうか、一緒に対戦したかったんじゃないかな?」

同じ部隊?カウス以外にもいるのか?そんな奴らが。


シグマ、思った以上にすごいことをしでかしたな。シグマが音頭をとらなければ、対戦なんてしなかったのだ。



「それから…ポラリス博士のご子息が来ているっているのも、すごく話題になっていて!」

「俺?」

思わず自分を指す。


「『鷹がフェニックスを生んだ』って!」


『鷹がトンビを生んだ』の間違いである。生まれる前の期待としてはあっているが。


しかも、生まれてみたら鷹でもなかった。

さらにトンビでもなく、ジュウシマツの『ジュウシー君』だ。


研究所界隈の話までは知らないが、小学生の時からファクトを見ている大房メンバーは、彼が『ジュウシー君』だという事はリゲルから聞いている。下町でもしばらくそう言われていたくらいだ。


「ファクト、頑張れよ!」

「………。」

さすがのファクトも何を言ったらいいのか分からない。期待されても何も出てこないのである。

多分ここにいる高校生より勉強できない自信がある。正直、母や父の仕事の話は呪文のようで、何を言っているのかさっぱり分からない。他の国立に受かっても、東アジア大には受からない自信だけは満々にある。奇跡的に受かっても全うできないであろう。



天才両親を持ちながら、ファクトは『図解!ニューロスの世界』という、絵や写真が満載の本ですらあまりよく分からなかったのだ。


あの人たちは、メカニック、数学、各工学分野、医学、コンピューターなどに加え、哲学、サイコス、霊性にも精通している。二人は神学校を卒業しているので牧師でもあり、父は生物学の中でも動物に詳しく、なぜか仏教学も学んでいた。

知識だけは無限にある人もいるが、ニューロス分野は外科の執刀医と同じだ。知識を形にするいくつかの手の才能もいる。もしくはバラバラの能力を持つ人たちとその技術を統制できる力。研究員の頭の中は、一体どうなっているのだ。


自分は研究所でおかしい扱いされたけれど、息子の自分でも両親の方がちょっとおかしい人たちだと思う。



そんな時、後ろからかわいい声が聴こえて来た。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ